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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-31 who is he?

 
前書き


彼は誰?



この場合は、夜神鳥麗矢。

 

 


「……っ」


いくつかのベットに間を仕切る白いカーテン。
大きい窓に何もない部屋、所謂保健室。いや、医務室か。
そこに麗矢はいた。


楯無との試合からそんなに時間は経っていないようだ。
太陽がまだてっぺん近くにある。勿論、日にちを跨いでいる可能性もあったが医務室に備え付けられていた時計に日付もあった。それで日にちが変わっていないことを確認。


麗矢はまだ少し痛む頭を押さえながら、先ほどの試合の内容を思い出そうとする。が、どうしても楯無と正面からぶつかった後のことを全く思い出せなかった。
吹き飛ばされたことは覚えている、というより感じた。
ここまで思い出した時、医務室の扉が開いて数人は入ってきた。


麗矢は誰かと確認はしなかった。
体はあちこちが痛むため動かせない。首だけを窓の方へ向けて、青空を見る。


「体の方は大丈夫そうだな」
「……ええ」


千冬が麗矢に話しかける。
だが、麗矢は千冬たちの方は決してみようとしない。身じろぎひとつすることなく、ただ空を眺め続けている。
その態度に何かくるものがあったのだろうか、拳を強く握って歯を食いしばって必死に自分を律しているようだった。おそらく一夏であろう。


そんなことはどうでもよかった。
ただ、任務を果たすために自分の感情をすべて捨ててまで戦っていたのに果たすことが出来なかった。
やはり、普段から対人戦闘訓練をしておくべきだったかと後悔する。
超電磁砲を生身の一夏に放つ時に一瞬躊躇ってしまったから楯無の介入を許してしまった。
平和ボケしているのは間違いなかった。


「どうしてお前はあそこまでに過剰な攻撃をした」
「…………」


千冬の二度目の問い。
しかし麗矢は口を開けようとはしない。顔を向けることさえもしない。
沈黙、これが麗矢の答え。
――――だが千冬も回りくどいことをする。


最初から単刀直入聞けばいいのに態々オブラートに包んでいる。
初っ端からこう言えばいいのに。
『何故、私の弟を殺そうとした』と。


「だんまりか……では質問を変える。……お前は誰だ。いや、こういうべきか」


千冬は質問の仕方を変えるために一つ間を置き、顔を向けようともしない麗矢の横顔を見ながら口を開いた。


「夜神鳥麗矢とは誰だ」


千冬の質問に麗矢は笑いを堪えられなくなった。それでも尚堪えようとするが。
麗矢は痛む体を堪えて起こす。
そして、ようやく千冬たちの方を見た。
そこには千冬、一夏、セシリア、鈴、ラウラがいた。さらにあたりを見ると麗矢が寝ているベットの向かいのベットに麗矢と同じように体だけを起こしている楯無とも目があった。


千冬の方を見て、あくまでも質問の意味が分からないように見せる。


「……どういうことだ」
「お前は不思議な点が多すぎた。ブレードを持つ時の癖と言い、言動といい、戦い方といいな。極めつけにお前は先ほどの戦いでまるで自分が戦争の中にいたようなこと言った」


麗矢は内心呻いた。
思わず呟いてしまったことなのだが、開放通信が拾っていたか。
もう言い逃れはできなかった。腹を括った。


「俺には前世の記憶がある。いや、そのあたりは曖昧なのか。……転生者か生まれ変わりと言った方が正しいのかもしれないな」
「転生者? 生まれ変わり?」


一夏が疑問に思っている。
それもそのはず、自分でさえもありえないと思っているのだから。
しかし、それが現実なのだ。現に俺はそう体験している。


「ここでは前世の俺と今の俺と仮定しよう。……前世の俺は昭和時代の戦争をすべて生き抜いていた。満州事変からの激動の時代を。太平洋戦争まで。歴史に乗っているあの大きい戦争だ。そこで前世の俺は機関銃と日本刀だけで何人もの人を殺していった。それこそ何千人とな。」


あまりに重くつらく悲しい過去に実際に起きた出来事。
今の人たちは教科書を見て、こんなことがあったのかと感慨深く思うだけ。
麗矢は違う。前世の記憶を持っているだけに過去の出来事が、フラッシュバックしてくる。
殺された人々の悲痛な叫びや仇を見る目、憎しみのこもった眼を数えきれないほど見ているのだ。


「……前世の記憶を持っているだけに今の俺はそれに精神を引っ張られて、周りの子供よりも大人らしかった。下手すれば大人より大人らしかったかもしれないが。そんな俺は疎まれる存在だった。
楯無だけは優しかったが今の俺はそれが壊れることが怖かったんだ」
「――――そんなことっ!!」
「やめろ、楯無。分かっていたさ、お前だけは俺の味方でいてくれるって。……だけど、当時の俺は周りに迷惑をかけたくなかったんだ。親も夜逃げした。借金を息子である俺に全部渡してな。……だから逃げた。」


楯無の反論を抑えてさらに続けられる麗矢の独白。
それはあまりにも想像を絶するもので、一夏は吐き気を催した。ほかの人も例外ではない。
そんな中でも千冬は常に冷静だった。
市場を自分の心の奥底に押し込んで、客観的な立場を保つ。


「――――そうか。これでお前に対する疑問が一つ溶けた。もう一つだ、何故一夏の命まで狙った」


来た。
大きく話はそれていたが、これが一番大きな本題だろう。
返答次第では殺すと、千冬から放たれる殺気が云っている。


麗矢の頬から汗が滴り落ちた。
夏の季節にそれなりに多い人数で一つの部屋にいると熱気がこもってくる。
今なら外の方が涼しいのかもしれない。
と、逸れたことを考えながら口を開こうとする。


「待った、だよ。ちーちゃん」


誰も気づくことなく開け放たれた窓のサッシに座っていた束が待ったをかけた。
何もない所から驚いているが、千冬と麗矢は驚くことなかった。
千冬は気配を感じて、麗矢は束が光学迷彩を使っていたため、微妙に光が屈折していたことで気付いていた。


「れーくんがいっくんの命を狙ったのは本当だけど、目的があったんだよ」
「ほう、目的とな?」
「今はまだ言えないけどね」


次の瞬間千冬の右腕が閃き、束の頭に拳を振り下ろした。
ここでいつもならゴチンと殴られるのだが、今日は違っていた。
束の背中にあった四角い機械からコードみたいなものが伸びて、束の頭の上で交差千冬の拳から守った。
そのいつもと違うことに目を若干開き、驚きを見せるもすぐに戻った。


「私がここに来た目的は、れーくんのISにあるんだよ。れーくん」


束は麗矢の名前をあだ名で呼び、差し出された掌に麗矢は自身の待機モードになっているISを置いた。
受け取ったISをそのままに片手で空中にディスプレイを展開。次々と打ち込んでいく。
一分にも満たない時間で束は麗矢にISを返した。
束は満足そうに頷くと麗矢に言った。


「れーくん、ISのコア人格を呼び出してみて」


麗矢は言われるがままに呼び出そうとするが、呼び方が分からない。
仕方がなしになんとなくイメージしてみる、あの時に会った古風なしゃべり方をする女性を。


するといきなりISが光りだし、瞬間光は人型の輪郭を作って消えた。
光が消えたところには一人の女性が立っていた。


「うん? 妾のことを呼んだのかの、お前様よ」


麗矢は唖然とする。言葉が何も出ない。
束はいつも通りの心の読めないような感じでニコニコ笑っている。
千冬は驚きで瞳が見開かれている。
ほかの人々も同じように驚いて言葉が出ない。
そんな中、何が起こっているのか理解していない人物――――織斑一夏が女性に問う。


「あの~、どちらさまで」


途端に女性は一夏を見て、嫌悪感を隠すことなく嫌そうな顔をして、舌打ちをしそうになっていたが堪えて口を開いた。


「まったく、人に名を訪ねるときは自分からと身内から言われなかったかの? 同じようなことを我が主様にも行ったぞ。……しょうがないのう……」


女性は腰に手を当てて、その豊満な胸を惜しげなく揺らしながら答えた。


「妾に名なんぞないわっ! じゃが、しいて言うのであればこう言っておこう」


――――《アルティメット・バード》じゃっ!!



 
 

 
後書き

作者の独自解釈も入っていますが、気にすることなく軽い気持ちで読んでもらいたかった。


まっ、こちらは素人なので期待されても困るんですが。


3/24修正。 
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