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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-29 conclusion and confron each other

 
前書き

決着と対峙。



この場合は、織斑一夏。鳳鈴音。夜神鳥麗矢。更識楯無。

 

 


「はああああっ!!!」


夏休みの中の練習試合。
一夏はそんな意識だろうが、麗矢は違う。


ここ第一アリーナで行われている模擬戦。
麗矢対一夏、鈴の一対二構成の戦いだった。今は違うが。


確認はしていないが、鈴は麗矢の超電磁砲を食らって落ちたはずである。
残りの一夏もダメージはさほど追ってはいないが、攻撃が当たらずに避けられてばかりでは精神的に来るものがあるのだろう。辛そうにしている。
対して麗矢はどうだろうか。


翼や武装、装甲に傷はほとんど見受けられない。
模擬戦で一度も言葉を発することもない。
多少は疲労していると思うが、それでもまだまだ戦える。
超電磁砲に関しては、もう使っているため熱を持っていて熱い。今は冷却システムが動いているが、それも一門だけ。超電磁砲はあと三門ある。大した問題ではなかった。
麗矢は改めて《スラッシャー》を握りしめ、一夏の迎撃に移る。


一夏の単一能力《ワンオフアビリティー》は、エネルギー構成体に無類の強さを発揮する。
例えば、プラズマブレード、レーザー砲、シールドバリアーもそのたぐいだ。
だが、物理ブレードだったら……?
ただのお飾りに成り下がる。


一夏の純粋な力は麗矢よりも強い。
麗矢はその差を戦闘経験で埋めているのだ。
闇雲に力で戦ってはいけない、初歩中の初歩である。
その初歩、基本さえできない一夏が負けるのは誰が見ても分かることだった。


突っ込んできた一夏を後ろへ受け流し、超電磁砲を一発放つ。
それは命中して、一夏を地面にたたき落とした。
舞い上がる土煙の中、麗矢は両手に持っている二本の《スラッシャー》を投げた。
そして一気に急上昇。
アリーナの限界高度まで上がると、《バルフィニカス》を展開。収束行動へと入る。


段々と土煙がはれてくる。
その中で一夏は動かなかった。いや、動けなかった。


ISの機械部分であるが手首のあたりに深々と刺さっている《スラッシャー》
それも両手首に刺さっている。
さらに《スラッシャー》は地面を穿ち、一夏を固定していた。
抜こうと思っても両手が塞がっているから、満足に動くことが出来ないでいた。


ふと上を見ると巨大な球体が綺麗な青空を覆っていた。
一夏はあの巨大な球体を見たことがある。
臨海学校の時に見たことがあった。


そしてあの球体が放たれた。
福音戦の時は16個までに分裂していた。
だが、今回は分裂しない。このまま一夏を押し潰そうとしているのか、それとも殺そうとしているのか。一夏は考えただけでぞっとしてきた。


どうにかして逃げようともがく。
しかし、逃げることも叶わない。
近づいてくるあの球体。これには死を覚悟した。


…………。
思った衝撃が来ない。
球体のほうに顔を向けると、鈴が《双天牙月》を交差させて抑えていた。


「おっ、おい!! 鈴っ!!」
「うっさいっ!! さっさとしなさい!!」


よく見ると鈴のISはいたるところに亀裂が奔り、今にも粉々に砕け散りそうだ。
それなのに一夏を庇うために身を挺して守っている。
どうしてそこまでするのか、一夏には分からなかった。


      ◯


麗矢は愁いていた。
鈴の行動はただ無駄死にしに行っただけだった。悲しくなってくる。


――――そういえば、戦争の時にあんな奴いたっけか……


麗矢が考える戦争とは何を指しているのだろうか。
今はまだ分からない。
いずれ知る機会が出来るはず、その時に麗矢は全てを語るのだろう。


麗矢は思う。
戦時中にあんな奴ばかりでは全滅していた。
だが、あんな奴が一人でもいれば、日本は変われていたのかもしれない。
そう思うがもはや後の祭り。
過去なんか取り戻せるはずもないのだ。


過去を数瞬の間に思い出していると、心の中で燻っていた想いが強くなってきた。
全てを蹂躙するあの時の想いが。
全てを壊してやろうという破壊衝動が。


いや、いい。
とりあえず終わらせよう。
麗矢は束が載せてくれた遠距離武装《ドゥームブリンガー》を展開した。
銃身が長く、口径も大きいこのライフル。放つのは――――炸裂弾。


「……エンド」


《ドゥームブリンガー》から放たれた炸裂弾は音速に届こうかという勢いで球体に向かっていき、当たる。
その瞬間、目もくらむような閃光を放って遅れて爆発。
学園全体を揺らすほどの衝撃を起こした。
爆発はアリーナ全体に届き、麗矢まで巻き込んだ。


時間的にはそんなに長くもなかったが、感覚的には長かったように感じた。
全てが晴れ、アリーナに再び光が差し込む。
アリーナには、あれだけ巨大なエネルギーが渦巻いていたのに装甲に煤をつけただけの麗矢と、絶対防御が発動させて操縦者を守るも、ISが解除されて横たわる一夏と鈴。


だが麗矢はこれだけでは終わらせようとしなかった。
意識を失った二人との距離を今の半分に詰め、超電磁砲を展開。リチャージが既に完了している砲身を一夏に向けた。
開放通信に響いてくる真耶の制止の声を振り切り、8つの銃口から紫電を迸らせ、弾丸を放つ。


直撃。


だが、一夏は消し飛んでいない。
その前に割り込んできた人物が水のヴェールで超電磁砲を止めた。


「もうやめてよ……麗矢」


更識楯無が。
夜神鳥麗矢が。


対峙。




力と想いを込めて、今ぶつかる――――




 
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