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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
  第4話:歌なら負けない!

(サラン)

サントハイム城付近の林の中で一晩を過ごし、アリーナを捜す者達の意識が他へ向かった頃、イケメン・トラブルメーカーを含む奇抜な四人組は堂々とサランの町へ辿り着く。
一晩とはいえ野宿をした彼女等は、一刻も早く宿屋へ向かい旅の疲れを取り去りたいのだが、若干一名が『あ、美女の匂いがするよ!』と急に走り出し、町中へと向かってしまった。

まだ旅をすると言う事に馴れてないサントハイムの三名は、唯一旅慣れした男とはぐれるのを不安に思い、渋々ながら後をついて行く。
勿論三人とも『美女の匂いって何だ!?』と疑問に思いながらだが…



(サラン)
リュカSIDE

俺の美女センサーが示す方へひたすら進んで行くと、そこには厳かな雰囲気の教会が佇んであった。
教会とは…
此処から漂う美女の気配と言えばアレしか居ないだろう!
う~ん…幸先良い!

教会の大きな扉を開け中へ入ると、神父さんがキョトンと此方を眺めている。
勿論そんなの無視して、気配の漂う二階へと早足で向かうのだ!
勝手に二階へ上がっても怒られないという事は、結構自由でOKみたい。好都合!

二階へ上がり周囲を見渡すと、一人のオッサンに口説かれている若く美しいシスターが一人…
年の頃なら20前後…白い肌と青い瞳、切れ長のまつげが印象的。
かなりの高得点だ!やはり俺の美女センサーに狂いはない!

シスターの向かい側に座るオッサンを押し退け、頻りに美しさを褒めるのは俺。
最初から居たオッサンが何やら文句を言ってきたから、股間を蹴り上げ黙らせる俺。
新たなる旅の仲間達が俺の行動にクレームを付けてきたので、お姫ちゃんのオッパイとシスターの胸を見比べて、盛大に溜息を吐く俺。

5分程、この6人の男女で問答を行っていると、この部屋に繋がるテラスからギターの様な楽器の音色と、下手くそな歌が響いてきた。
ただでさえナンパを邪魔されてるのに、下手すぎる歌を無理矢理聴かされて苛ついてくる。

「お前うるせーよ!下手くそなんだから上手くなるまで大声で歌うんじゃねー!」
我慢出来なくなった俺は思わずテラスへ出ると、歌ってた奴からギターを奪い取り歌う事を中止させる。
最初は奴もビックリしてたのだが、怒りが込み上げてきたのだろう…

「下手くそとは心外ですね!私の歌声は美しいと有名なんですよ!何せ『(さえず)りの蜜』を飲んだんですからね!」
「サエズリだがセンズリだか知らないが、下手くそな物は下手くそなんだよ!声が美しい事と、歌が上手い事とは別の事なんだよ!見せてやる…歌ってのはこう歌うんだ!」

自分でも論点が脱線してるなとは思ったのだが、ギターを持ったら歌いたくなってきて、思わず“ゆす”の『夏色』を歌っていたよ。
それはもう気持ち良く歌いきったね!

気が付けばテラスの下には町の人達が大勢…
こりゃテンションが上がっちゃうでしょう!
勢いそのままに『栄光の架橋』を歌い『虹』・『いちご』と立て続けに披露していた。

大分気分がスッキリした俺は、ギターをさっきの奴に返そうとしたのだが、『貴方の仰る通り、私はまだまだ未熟者でした。もっと精進したいと思いますので、それはお持ち下さい。貴方が使った方が人々を喜ばせる事が出来る』と、殊勝な物言いで拒絶される。

そうすると先程の剣幕が大人気なく感じるのが人という物…
厳しく怒鳴ってしまった事を謝罪しつつ、握手で自己紹介をする。
因みに彼の名前は『マローニ』…この世界で言う吟遊詩人だ。
良い奴に知り合えたみたいだ。

室内へ戻ると、アリーナ達も先程の歌に聴き惚れていたみたいで、夢見心地で呆然としている。
何よりシスターまでもがウットリしているのがポイント高いね。
これはアレだぞ…大人なアレでアレだぞ!

リュカSIDE END



(サラン)
ブライSIDE

教会で一悶着があったが何とかそれを落ち着かせ、我々は旅に必要な物を購入し宿屋へと向かう。
昨日から色々あり過ぎて、1名を除き疲れ切っていた…
食事を済ませると各自部屋へ入り、手間取ることなく熟睡した様子。

翌朝は日が昇りだした頃に目を覚ます。
年寄りは朝が早いと言われるが、ワシとしてもまだ寝ていたかったのだ…
しかし、隣の部屋から気になる声と音が聞こえてくるのだ!

勿論、隣の部屋に居るのは姫様やクリフトではない!
そう…リュカがワシの部屋の隣を使っているのだ。
町へ入るなりいきなり教会へ赴きシスターを口説く男だ…ワシ等が部屋へ入るのを確認して、夜の町へナンパに出たのだろう。

今後、旅を続けて行くに当たって、奴と姫様の部屋を隣同士にするのはやめよう。
純真無垢な姫様には悪影響この上ない!
現に今も、朝っぱらから迷惑千万。

奴の行為が終わり次第、厳重に注意してやろうと思い、自室から出て廊下で待機する。
どうやらクリフトも同じ事を考えたらしく、既にリュカの部屋の前で待機をしていた。
とんでもなく迷惑な男じゃ!



小一時間待っていたのだが一向に終わる気配がせず、激しさはヒートアップして行く。
ワシなんかは歳じゃし問題ないのだが、若いクリフトが僅かしそうにへっぴり腰でモジモジして居る。
文句を言おうと待機していた手前、今更戻って自家発電に勤しむ事が出来ないのだろう。

これは待っていたのでは埒が明かぬなぁ…
そう思ったワシは意を決してリュカの部屋へと怒鳴り込む!
「朝っぱらからいい加減にせ……い……!?」

ブライSIDE END



 
 

 
後書き
これぞ“リュカ”ってエピソードだね。
でも、既に4話目なのに、ちっとも冒険に出ないね…
リュカさんが絡むと話の進行が遅くなる気がする。
だってリュカさん、勝手に動いてくれるんだもん! 
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