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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第七十九話 時流エンジン

             第七十九話 時流エンジン
「!?ここは」
「一体」
ラージとフィオナは目覚めた。そこは闇の中だった。
「夢!?」
「いえ、違います」
夢なのかと疑ったラージにミズホが答えた。
「私達は起きています、確かに」
「それでもここは一体」
「目覚めたな」
ここで声がした」
「遂に」
「まさか」
「デュミナス!?」
「如何にも」
声は答えてきた。そうして闇の中に単眼を持つ脳が現われてきた。
「私の名はデュミナス」
彼はまた答えてきた。
「二人にやってもらいたいことがある」
「そうですか」
「やっぱり」
「わかっているようだな」
デュミナスは二人の言葉を聞いて述べた。
「私が何を欲しているのか」
「時流システムですね」
ラージが言うのはそれであった。
「それですね。エクサランスにある」
「貴方はそれを使いたいのですね」
「そう」
二人の問いに対して答えるのだった。
「私はエクサランスのフレームを望む。あのエンジンのシステムを知りたい」
「それはわかります」
ラージは今の彼の言葉には頷いた。
「だからこそ僕達はここに来ました」
「敵地に」
「その通りです。しかし」
ラージはあらためて彼に問う。
「何に使われるのですか」
「そうです」
ミズホも彼に問うのであった。
「貴方が何に使われるか」
「あのシステムは悪用すればそれこそ」
「心配することはない」
だがデュミナスはここで二人を安心させるように落ち着いた声を出してきた。
「私には野心はない」
「野心はない」
「そうだ」
そのことは保障するのだった。
「それはない。だから安心していい」
「では一体」
「システムを手に入れたら貴方は」
「私の望みは地球圏ではない」
こうも言うのであった。
「私の望みはあの時流エンジンさえあれば果たせる」
「あれさえあれば」
「そう。だから」
彼はさらに言葉を続ける。
「そうすれば貴方達を害しようとは思わない」
「僕達の命にも興味はないと」
「私にとっては」
「左様ですか」
「それであらためて聞きたい」
また二人に尋ねてきた。
「取引をしたいのだ」
「時流エンジンについてですね」
「既にデータは貴方達の頭にある筈」
「如何にも」
ラージははっきりとその問いに答えた。
「僕は全てを知っています」
「私もまた」
「だからこそ。貴方達の力を借りたいのだ」
また言うのであった。
「是非共」
「ミズホ」
ラージはここでミズホに声をかけてきた。一瞬だが目で言葉を交えさせてもいた。
「いいですね」
「はい」
ミズホもまた目の会話の後で二人に答えるのであった。
「それで」
「そういうことです、デュミナス」
ラージはあらためてデュミナスに答えた。
「僕達はこれでいいです」
「貴方達のことはわかっていました」
「わかっていた!?」
「そうです」
デュミナスは不意に二人に言ってきたのであった。二人もそれを聞く。
「貴方達が時流エンジンを作ったのはあらたなエネルギー開発の為でしたね」
「はい」
「その通りです」
二人もそれを認める。
「多くの人達が平和に生きる為」
デュミナスはこれについても言う。
「人の命を奪う行為は貴方達にはできない」
「では貴方はどうなのですか」
ミズホはここでデュミナスに問うた。
「貴方は」
「私は人の世界自体には興味はない」
あらためてこのことを言うのであった。
「それはさっき言った筈です」
「そうですか」
「ならば問題はない筈です。私はあくまでただ会いたいだけなのですから」
「会いたいだけ?」
「いづれわかります」
今はここから先は言おうとはしないデュミナスであった。
「いづれ。それでは」
「ええ」
こうして二人はデュミナスに協力することになった。デュミナス、ラージとミズホ、ロンド=ベル、そしてシュウ=シラカワ。再び役者達が揃ったのであった。
ロンド=ベルの面々はデュミナスについてシュウから話を聞いていた。それと共にあの三人の子供達のこともだ。
「じゃああいつ等はやっぱりよ」
「はい、そうです」
シュウはまずはラウルの言葉に答えていた。
「人造人間です。ホムンクルスとも言いましょうか」
「ホムンクルス」
「人間から生まれた者達ではありません」
こうも彼等に述べる。
「私も調べていてわかったのですがね」
「よくそんなことがわかったな」
「ネオグランゾンには様々な時空を超える能力がありましてね」
「かつてドレイク達を送り返したあの力か」
「その通りです」
ショウに対しても答える。
「もっともあの方々がああした結末を迎えるとは思いませんでしたが」
「野望の果てはあんなものだ」
ショウはそれについては冷静に述べた。
「結局はな」
「そういうことですね。最後はショット=ウェポンも滅びる運命だったのです」
「野心を持てばか」
「野心に溺れたならばそれだけで末路は決まります」
シュウの冷然な言い回しであった。
「それだけでね」
「それについてはわかったわ」
セニアはそれはいいとした。
「そしてあの子達のこともね」
「はい」
「けれどよ」
彼女はなおもシュウに対して問うのであった。
「それでもわからないことはあるわ」
「デュミナスのことですか」
「彼のいる世界はわかっているのよね」
「ええ、ですからこちらに参上したのですよ」
微笑んでセニアに答える。
「貴方達の前にね」
「それであたし達をそこに送るのね」
「私も同行させて頂きます」
「そこまでわかっているのならあらためて聞くわ」
セニアの目が光る。
「デュミナスは何者?」
彼女が尋ねるのはこのことだった。
「あの巨大な脳味噌は。何なの?」
「人造生命体です」
彼はまずはこう答えた。
「その正体は」
「人造生命体なの」
「その通りです」
またセニアに述べるのだった。
「そもそもあの様な姿をした生命体は存在しない筈ですが」
「まあ確かにね」
「それはその通りです」
セニアだけでなくウェンディもシュウの言葉に頷いた。
「あの姿はやはり」
「おそらく何者かが創り出したのです」
シュウはこれもわかっていた。
「何かしらの目的で」
「じゃあ何の為や?」
ロドニーはさらに突っ込んで尋ねた。
「あんなようわからんもんを。どうして創ったんや?」
「戦闘用でしょうか」
エリスの考えは軍人らしいものであった。
「やはりあれは」
「いや、それはどうかな」
しかしそれにはテリウスが懐疑的な意見を述べた。
「その割には闘争心とかはないし。修羅みたいな」
「そうなんだよね、あれは」
ガーネットがテリウスの今の言葉に頷く。
「どうもそういうのはないんだよ。あの三人の子供達も何かそういうのは他の連中に比べたらかなり希薄だろ?」
「あるのはあのピンクの髪のガキだけか」
ジャーダはティスのことを言っていた。
「あいつだけだな」
「そうです、彼女でもそれでも」
ラトゥーニもまたそこを指摘する。
「修羅やこれまで私達が戦った勢力にいる戦士達に比べれば」
「ジェリドさんよりヤザンさんよりもずっと低いんじゃないの?」
リオはティターンズの二人を見て言う。
「どう見ても」
「おい、俺達かよ」
「何でそこで名前が出るんだよ」
二人はそれがいささか不満であった。
「だが。デュミナスにそれが薄いのは確かだな」
「ああ、俺にもわかったぜ、それはな」
二人も感じていることであった。
「どうもな。戦う以外の理由で開発されたんじゃないのか?」
「戦闘用とは思えねえぜ」
「戦闘用で開発されたのではないことは間違いありません」
ここでシュウがまた言った。
「それは確かです」
「じゃあ一体」
「誰が何の為に」
ロンド=ベルの面々はいぶかしむ顔になる。しかしやはり答えは出ないのであった。これはシュウ自身においてもまた同じであった。
「残念ですが私もそこまではわからないのですよ」
「あんたでもなんだね」
「はい」
ライラに対して答える。
「申し訳ありませんが」
「いいさ、正直そこまでわかっただけでも凄いよ」
こう言ってシュウを宥めるライだであった。
「けれどね。それでもね」
「そこに大きな謎があるよね」
リョウトはここに注目していた。
「間違いなく」
「目的はこっちの世界の征服ではないな」
ユウキはこれは確かに感じていた。
「今までを見ているとだ」
「けれどラージさん達を攫って行ったね」
カーラはそこに注目する。
「っていうかラージさん達の方から向こうに行った!?」
「そういえばそんな感じだったわね」
それに頷くのはレオナだった。
「あれは」
「って何でだ?」
タスクにはそれがわからなかった。
「何であの人達が」
「エクサランスにこそその謎があります」
シュウは今度はエクサランスについて述べた。
「エクサランスに!?」
「その通りです。実はですね」
「ああ」
「ラージさんともミズホさんとも面識がありまして」
ここでもわかるシュウの奇妙な人脈であった。
「あの方々もまた新たなエネルギーの研究をされていました」
「エネルギーの」
「それがエクサランスにあるものです」
こう一同に述べるのであった。
「それは時流エンジン」
「時流エンジン!?」
「簡単に言えば時を超えることのできる装置です」
簡単に説明するのであった。
「今までそれが使われる機会はありませんでしたが」
「そんなものがエクサランスにあったのかよ」
「全然知らなかったわ」
「御二人にも時が来れば説明するおつもりだったようですが」
こうラウルとフィオナにも言うのだった。
「その時が来る前に」
「そうだったのかよ」
「それでデュミナスは時流エンジンを狙っていたのね」
「最初から貴方達を狙っていましたよ」
シュウの今の言葉に誰もが納得するものがあった。思い当たるふしが確かにあったのだ。
「だからかよ」
「あの時俺達を」
甲児やリュウセイが言う。
「捕まえようとしたんだな」
「それでだったのかよ」
「最初はあちらも何が彼にとって役に立つのかわかっていませんでした」
デュミナスの考えについても述べるシュウであった。
「ですが貴方達と戦っていくうちに」
「それがわかってきた」
「そういうことです」
こう皆に答えるのだった。
「そしてラージさん達もそれに気付かれ」
「ああいう動きに出たのかよ」
「それで」
「デュミナスは少なくとも貴方達にも彼等にもこれといって危害を加えることはないでしょう」
シュウは一同にこうも言うのであった。
「ですが」
「ですが。何だよ」
皆シュウの目の色が変わったのを見逃さなかった。その紫の目が。
「彼がその時流エンジンを手に入れ時空を移動し何かをすることによりどういった影響が出るかはわかりません」
「影響!?」
「そしてです」
彼はさらに言う。
「その時流エンジンをも狙っている存在がいるようです」
「デュミナスから」
「そうです。何者かが」
シュウは何時になく警戒するような顔になっていた。彼が滅多に見せない表情であった。それだけに事態が深刻であることを窺わせる。
「狙っているようです」
「バルマーか!?」
「いえ、より邪悪な何かです」
シュウですら今はこれ位しかわかっていないようだった。
「それが何かまでは今の私もわかっていませんが」
「そうなのか」
「しかし。それがその存在に渡れば事態は最悪の結果を招きます」
これは確かに言うのであった。
「ですからやはり」
「時流エンジンを取り戻す」
「デュミナスから」
「デュミナスが渡すことは考えられないな」
クワトロはこれを完全に認識していた。
「どうしてもな。その可能性はないですね」
「確かに」
「だからなのですよ」
皆がクワトロの言葉に頷くとシュウも応えてきた。
「このネオグランゾンですら時空は超えられません」
「そうだったのか」
「それができたならば私はより多くのことを知っています」
そしてこう言う。
「その場合にはね」
「御前がそういう力を手に入れてもそれだけかよ」
「私は権力やそういった類には興味はありませんので」
マサキにも言葉を返す。
「だからです」
「そうだな。御前は力を悪用するような奴じゃねえ」
「力に溺れては何ともありません」
シュウはこうも述べた。
「そういうことです。では」
「デュミナスを止めるんだな」
「それじゃあ今から」
ラウルとフィオナがまず声をあげた。
「行くぜ」
「今からね」
「それでは皆さん」
シュウは二人の言葉を受けたうえで一同に対して声をかけてきた。
「宜しいですね」
「ええ、どちらにしろ行くしかないわね」
「だからよ。それだったらな」
こうして全員でデュミナスのいる異世界に向かうことになった。早速ネオグランゾンでその異世界への扉を開くのだった。ここでチカがシュウに声をかける。
「ところで御主人様」
「何ですか、チカ」
全艦を集めた前で異空間を開こうとしている。そこで主に声をかけたのである。
「いえね。さっきデュミナスの他に時流システムを欲しがってる奴がいるって言ったじゃないですか」
「ええ」
「それなんですけれど」
チカが尋ねるのはこのことだった。
「誰なんですか、それって」
「そのもう一つの存在ですか」
「バルマーじゃないんですよね」
チカがまず名前を出したのは彼等だった。
「それは」
「はい、それはありません」
やはりそれは否定するシュウであった。
「彼等はそれよりも直接的なものを欲しています」
「直接的っていうと権力ですか」
「はい、それです」
彼が言うのはそれだった。
「色々と理由を付けていますがやはりそれです」
「若しくは生き残りですかね」
「彼等も彼等で辛いようですからね」
これはチカもわかっていることだった。
「まあそこもありますか」
「はい、そうです」
「バルマーじゃないとすると」
チカは他の勢力についても考えだした。
「シャドウミラーとか修羅もそうした連中ではありませんしね」
「そうです。彼等でもありません」
「後は」
チカはさらに考える。
「あいつですか?孫光龍ですか?」
「むっ!?」
ここでシュウの目が動いた。
「そういえば彼がいましたね」
「あいつ本当に何考えてるんでしょ」
チカは声を顰めさせていた。
「行動が意味不明なんですけれど」
「最初はガンエデンにいました」
シュウもそこを指摘する。
「ですが今は」
「バルマーについてますよね」
「しかもです」
シュウはさらに考えを及ばせる。
「ごく自然にです」
「あと御主人様」
チカもまたさらに言う。
「碇ゲンドウいたじゃないですか」
「彼は死んでいますね」
「死んだんですかね」
「!?彼が生きているとでも」
「そんな気しません?」
それは言ってもチカにも今一つ実感がないようであった。
「何か。あたしの気のせいかも知れませんけれど」
「そういえば」
しかし今のチカの言葉でシュウの考えが変わった。
「死んだという確かな証拠はありません」
「バルマー戦役の最後の方で消えています」
「はい、完全に」
そういうことになっているのである。
「綾波さんとね」
「彼女は生きていますよ」
「!?」
「クローンの何体めかであっても」
「ということは」
「誰が生き返らせたのでしょうか」
シュウの考えはさらに動く。
「ネルフの方々ではないですね」
「冬月司令でもないですよね」
「はい。ではやはり」
「それでも今地球圏にはいませんね」
チカはこのことも把握していた。
「何処にも」
「生きているかわかりませんがどうも私は決め付けていたようです」
「碇ゲンドウのことをですか?」
「他のこともです。孫光龍にしても」
そのこともだというのだ。
「色々と。調べなおしていきますか」
「そうですね。じゃあまずは」
「はい、開きましょう」
異世界への扉をであった。
「新たな戦いへの扉を」
「それでシュウさん」
レフィーナが異世界への扉が開くのを見つつシュウに声をかけてきた。
「何でしょうか」
「貴方も同行されるのですか?」
「ええ、是非」
こう答えるシュウであった。
「同行させて頂いて宜しいですね」
「っていうかあんたが来ないと駄目だろ」
「そうよそうよ」
ラウルとフィオナがそのシュウに対して言う。
「あんたしか知ってる奴がいないんだからな」
「だからよ。絶対に来てよね」
「わかっていますよ。それでは」
「ああ、じゃあよ」
「行きましょう」
「はい」
こうしてロンド=ベルは全軍で異世界に入った。扉から入ったその世界はカオスそのものの世界だった。砂と岩が下に広がっていた。
「砂漠か?」
「何か違うみたいだけれど」
下を見ながら皆言い合う。
「けれど何だろここ」
「ここがデュミナスの異世界?」
「修羅界になります」
シュウはこう一同に述べた。
「ここが修羅界です」
「修羅界、ここが」
「はい、そうです」
また一同に述べるのだった。
「ここにデュミナスはいます」
「それに修羅達もか」
「ええ」
「いかんな」
今度口を開いたのはフォルカであった。
「俺がいた時よりも荒廃が進んでいる」
「!?どういうことだよフォルカ」
コウタは今のフォルカの言葉にすぐに顔を向けた。
「荒廃が進んでるってよ」
「フォルカさん、まさかそれって」
「そのまさかだ」
コウタとショウコに対して尋ねた。
「ここは以前は緑の森林地帯だった」
「えっ!?」
「この砂漠が!?」
「そうだ。しかし今はこの有様だ」
その砂と岩の大地を見下ろして語る。
「瞬く間にな」
「修羅界は崩壊が進んでいるのです」
シュウは今度はこのことを話した。
「その為に彼等は私達の世界に来たのですから」
「俺達の世界を自分達の世界にする為かよ」
「そうです、限りなく戦いが繰り広げられる世界」
シュウはこうも言う。
「その世界にする為に」
「冗談じゃねえぜ」
コウタはシュウの口からそれを聞いてたまりかねて言った。
「何で俺達の世界がそんなのにされなくちゃいけねえんだよ」
「そうよ」
ショウコも兄の言葉に続く。
「住んでいる場所が大変なのはわかるけれどそれでも」
「そういえばセフィーロも同じだったぞ」
「そうね」
光と海もここで言った。
「こうして崩壊していって」
「ノヴァまで出て来て」
「全く同じですわね」
風が二人の言葉に頷く。
「何処までも」
「何か共通点があるわね」
プリシラが難しい顔になっていた。
「やっぱりこれは」
「複数の世界がほぼ同時に崩壊に向かっている」
クリフはこのことを考えていた。
「有り得ないが。偶然の一致にしては」
「そうです。こうしたことはやはり」
ラファーガがクリフの今の言葉に応える。
「有り得ません」
「どうにもこうにもな。おかしなことばかりだ」
「はい」
「何はともあれや」
カルディナがここで言った。
「ここに敵が来るで」
「あっ、本当だ」
アスコットがふと声をあげた。
「敵が来るよ」
「レーダーに反応です」
ナタルが報告する。
「これはデュミナスです」
「!?来たか」
ヘンケンはそれを聞いて顔を引き締めさせた。
「その数は」
「二千程度です」
「奴等にしては多くはないか」
「そうですね。まさか我々が来るとは思っていなかったようです」
それは彼等の第一声からもわかった。
「!?何でよ」
ティスが最初に驚きの声をあげた。
「あんた達、どうしてここに」
「何故修羅界に来ることができたんだ!?」
ラリアーも何時になく驚いていた。
「君達が」
「そろそろ決着を着ける時だと思い出して」
シュウが彼等に応える。
「シュウ=シラカワ」
デスピニスが彼の姿を認めてその名を呼んだ。
「まさか貴方が」
「その通りです。ラージさんとミズホさんを救出する為にです」
「言っておくけれどね、デュミナス様の為にはね」
ティスはそのシュウに対して少しムキになって声をかけてきた。
「あたし達だってね。やらなきゃいけないのよ」
「ティス、デスピニス」
ラリアーが他の二人に声をかける。
「まずは迎撃だ。いいね」
「うん。けれど」
デスピニスはここでいつもの戸惑った顔を見せていた。
「私達だけで」
「それですね」
シュウはここでデスピニスの言葉を捉えて言ってきた。
「貴方達はそういったように造られているのです」
「!?造られている!?」
「どういうことだ、それは」
ラーダとカイが今のシュウの言葉に顔を向けてきた。
「あの子達が人造人間であることはわかっていますけれど」
「それでも造られているだと」
「人格ですよ」
シュウはここで言った。
「彼等の人格が造られているのです」
「人格が!?」
「どういう意味だそりゃ」
「つまりです」
いぶかしむ一同に対してシュウはさらに言う。
「彼等の人格は子供のものですね」
「外見もだな」
「外見も含めてなのですよ」
マサキに対して答えた。
「外見もね。子供が相手ならば何か怯みますね」
「ああ」
マサキはシュウの言葉に対して頷いた。
「確かにな。やりにくいぜ」
「それだけではない」
レーツェルも言う。
「子供は純粋なもの、無邪気なものだと思ってしまう」
「手をかけるのは俺の流儀ではない」
ゼンガーなら余計にそうだった。
「それはな」
「そが答えです。つまり彼等はそれを考慮して子供として造られたのです」
「何か汚ねえな、そりゃよ」
「おそらくデュミナスはそこまで考えていたわけではないでしょう」
「考えてねえのか」
「そこまで悪意はありませんでした」
それは言うシュウだった。
「デュミナスには。悪意はないのです」
「あるのはやっぱりあれだけかニャ?」
「自分を知りたいっていうあれだよニャ」
「そう、その通りです」
これははっきりと述べるシュウだった。クロとシロに対しても。
「意識せずに行ったのです。確信犯ではないのです」
「ううむ」
「だが。それにしても」
「誰にでもあります」
シュウは今誰にでも、と言った。
「それはね。気付かない悪意というものは」
「気付かない悪意か」
「言われてみれば何か」
「ですから」
シュウはさらに言う。
「デュミナスにもそれはありますし当然私達にもあります」
「俺達にも」
「そして」
「そして?」
「あの子供達にもです」
「あの連中にもか」
「貴方達は確かに己の心があります」
シュウは今度は三人の子供達を見ていた。
「それは確かです」
「何が言いたいのよ」
「僕達の心って」
「何なのでしょうか」
「デュミナスを気遣うその心」
彼が指摘するのはこれだった。
「それは確かにあります」
「当たり前でしょ」
ティスが彼に反論する。
「あたし達はデュミナス様の子供よ。それでどうして」
「全てはデュミナス様の為に」
ラリアーも言う。
「僕達はあるんだ」
「それなのにどうして」
デスピニスは困惑した顔になっていた。
「私達がデュミナスを気遣わずにいられますか」
「貴方達は紛れもなく人間なのです」
シュウは今はっきりとこのことを言った。
「そう、紛れもなくね」
「何か僕と似ている?」
キラはシュウと三人の話を聞くうちにこう思うようになった。
「あの子達は」
「そうか?」
だがシンはそれには懐疑的な様子だった。
「御前とあの連中。何処が似てるんだ?」
「似てるのは出生か」
だがここでアスランが言う。
「キラとあの子達のそれはな」
「そういうことか」
こう言われてやっとわかったシンだった。
「それならそうか」
「わかったみたいだな」
「ああ。何かよ」
シンはここで何気なく指摘しただけだった。
「キラは随分人間らしいよな」
「そうだな」
アスランもそれは認める。
「それはな」
「御両親だっておられるしよ」
「けれどシン」
キラは難しい顔でシンに言ってきた。
「僕は。それは」
「育ての親だよ」
彼が言うのはこれだった。
「御前にいるのは育ての親だな」
「う、うん」
「それだよ。御前にもちゃんと親がいるだろ?」
「それはそうだけれど」
シンの今の言葉には頷くことのできたキラだった。
「だったらそれだよ。御前にも親御さんがいるんだ」
「シンが言うのはそれだったんだ」
「ああ。親御さんがいる」
こうはっきりと言い伝える。
「御前にもな」
「そうなんだ。僕にも」
「これは大事だぜ。例えばな」
ここで言わなくていいことを言うのがシンである。
「カガリとかフレイとかよ。まともな育ち方してねえのはな」
「おい、待て」
「今何つったのよ」
「猿みてえに育てられたからだって言おうと思ったんだがな」
「今言っただろうが!」
「あんたに言われたくないわよ!」
二人は早速怒った顔でシンに言い返す。
「大体御前は何だ!」
「それだけ馬鹿でね!」
「俺が馬鹿だと!」
キラを置いて完全に喧嘩に入っていた。
「俺の何処が馬鹿だ!」
「御前が馬鹿って言わないで何なんだ」
「そうよ」
二人も負けてはいない。
「それ以外の何でもないぞ」
「そうよ、カガリの言う通り」
「こいつ等・・・・・・許さないぞ!」
「だから待ってってシン」
「今は戦闘中だぞ」
キラとアスランが呆れながらも三人の間に入る。
「とにかく。あれだよね」
「あれって何だ?」
「だから。僕にお父さんとお母さんがいてくれて」
「ああ、それか」
「それが僕にとってよかったんだね」
「あの連中は何か人間っていうよりあれなんだよ」
シンは今度はティス達を指差していた。
「ロボットみてえな性格してねえか?」
「そういえば何か」
「デフォルメされたみたいにな」
キラとアスランは今度はシンの言葉に頷いた。何気なくカガリとフレイはシンから離している。喧嘩も止めていたのである。何気なくだが苦労が見られる。
「それが造っていったっていうんだろうな。シラカワ博士のな」
「シラカワ博士の」
「そういうことだな。さて、と」
ここであらためて戦局を見るのだった。デュミナスは援軍と合流し総攻撃にかかろうとしていた。
「行くか。派手にやるぜ」
「そうだね。戦わないとどうしようもないしね」
「どうせあれだよ」
シンはまた言う。
「敵を倒さないと帰れないってあれだろうしな」
「おや、おわかりでしたか」
今のシンの言葉に返すシュウだった。
「それについては」
「わからないも何もお約束だろ」
シンはこうシュウに返す。
「こういう流れだとよ」
「まずはデュミナスを何とかし」
「ああ」
「次は修羅です」
「修羅もか」
アスランはそれを聞いて考える顔になった。
「彼等も相手にしないといけないんだな」
「補給はどうするんですか?」
キラが気にするのはこのことだった。
「整備も。どうしましょう」
「それは御心配なく」
だがシュウはここで穏やかに笑って彼等に言葉を返すのだった。
「それについても」
「いいのかよ」
「はい、必要なものは私が元の世界から送り届けますので」
「流石はネオグランゾンだな」
アスランはこのマシンの存在に感嘆していた。
「まさに万能か」
「万能と言うには程遠いと思いますが」
「いや、それでもです」
アスランはそのシュウに言葉を返す。
「凄いマシンです」
「それでもまだブラックボックスになっている部分もありまして」
「ブラックボックス!?」
今の言葉には三人共目を動かした。
「あれ、確かグランゾンからよ」
「うん」
キラがシンの言葉に頷く。
「あれだよな。設計も何もかも」
「シラカワ博士がされたんじゃなかったんですか?」
「それはその通りです」
シュウもそれは認める。
「ですがゲストの技術も入っていまして」
「ゲストの」
「そうです。彼等のその部分がブラックボックスになっているのです」
彼が言うのはこのことだった。
「それがね。どうしても」
「まだわからないんですか」
「ネオグランゾンになろうともそれは変わりません」
「明らかに怪しいな」
シンはそのブラックボックスについて言った。
「何かよ、絶対秘密があるぜ」
「秘密って!?」
「俺の勘じゃとんでもないものだな」
シンの読みはこうであった。
「絶対にな。何かある」
「問題はその何かなんだ」
「今それについても調べているところです」
シュウは今度も答えた。
「では皆さん。お話はこれ位にして」
「おっと」
「そうですね」
シンとキラがシュウに応える。
「早いとここの連中を倒しておかないとな」
「まずはここで勝つことですか」
「その通りです」
またシンとキラに対して答えた。
「では。宜しいですね」
「戦うんなら理屈はいらねえぜ」
早速アドレナリンを分泌させるシンだった。
「行くぜ!今度もな!」
「それはいいけれどシン」
だがここでキラが彼を呼び止める。
「ちょっと待って」
「んっ、何だ!?」
「ちゃんと自分の小隊で行った方がいいよ」
「おっと、そうだったな」
言われてこのことを思い出すシンだった。
「そうよ、あんたさっきから好き勝手やってるけれど」
早速ルナマリアの声が届く。
「まさか一機で突っ込む気だったの?」
「ああ、そうだけれどよ」
「死にたいの?」
呆れた顔でそのシンに問い返すルナマリアだった。
「あんな中に一機でなんて」
「じゃあやっぱりあれかよ」
「そうよ。いつも通り行くわよ」
「ああ、わかった」
「俺がまずドラグーンで攻撃を仕掛ける」
最初にレイがまず言うのだった。
「それからだ。頼むぞ」
「よし」
次に名乗り出たのはセイバーに乗るハイネだった。
「次は俺が切り込む」
「で、あたしも行って」
「最後に俺か」
「あんたが切り込み隊長なんだからね」
ルナマリアはあらためてシンに対して言う。
「それでもちゃんと小隊で攻めないと」
「わかってるさ、そんなことは」
「いや、わかってないし」
ルナマリアの突っ込みはかなり厳しい。
「それも全然」
「何か今回かなり絡んでないか?御前」
「絡んでるんじゃなくて注意してるの」
少し怒ってまたシンに言ってきた。
「毎回毎回同じことしてるじゃない、あんた」
「勇敢なのはいいが独断は慎むべきだ」
ハイネもルナマリアの方に入った。
「それでは本当に戦死するぞ」
「戦死、俺が」
「今までだって危ない場面あったでしょ?気をつけなさいよ」
「俺はそう簡単に死なないんだがな」
「そういう油断が命取りよ。いい加減理解しなさい」
ルナマリアもかなり怒ってきていた。
「わかったらさあ」
「ああ、小隊でな」
「行くわよ」
こうしてシンは自分の小隊に戻った。まずはレイのレジェンドが動いた。
「行けっ」
ドラグーンを飛ばしまずは数機を撃墜する。それが合図となったロンド=ベルとデュミナスの修羅界での戦いが幕を開けたのであった。
戦いは暫く一進一退だったがそれはすぐに変わった。二機のエクサランスが派手に突進してきたのだ。
「どけどけっ!」
「邪魔しても無駄よ!」
ラウルとフィオナが縦横無尽に暴れ周囲の敵を蹴散らしていく。そうしてそのまま一直線にティス達の方へ向かうのである。恐ろしい速さであった。
「貴様等、教えろ!」
「正直に言いなさいよ!」
二人の後にロンド=ベルの軍が続く。彼等の突進と共に戦局は大きく動いてもいたのだ。
「ラージとミズホは何処だ!」
「言わないと酷いわよ!」
「来たわね」
彼等を見てティスが声をあげた。
「あんた達、今回は随分派手に暴れてるじゃない」
「それがどうした!」
「話は聞いてる筈よ」
「まあね」
ティスもそれは否定しない。
「聞いてるわよ。あの二人のことね」
「そうだ。何処だ!」
「何処に隠してるの!生きているんでしょうね!」
「安心していい」
二人のこの問いに答えたのはラリアーだった。
「彼等は僕達に必要。だからこそ」
「生きているんだな」
「指一本触れてはいない」
こうもラウルに答えるラリアーだった。
「それは決して」
「そうか、今は無事なのかよ」
「まずは安心ね」
「けれどね」
またティスが二人に言ってきた。
「あんた達は違うからね」
「どういうことだ」
「ここに来たのは運の尽きってやつよ」
まずはこう言うのであった。
「そういうことよ」
「ここで俺達が死ぬってころかよ」
「その通りよ」
彼女はあくまで強気であった。
「デュミナス様の邪魔はさせないから、絶対にね」
「だから悪いけれどここで」
「帰るか。それとも」
ラリアーとデスピニスも出て来た。
「帰ってくれればそれに越したことはないけれど」
「どうか。ここは」
「誰が帰るかよ!」
「そうよ!」
しかしこれにはラウルとフィオナがすぐに断ってきた。
「俺達だってただここに来たわけじゃないんだよ!」
「二人を何としても返してもらうわ!」
「はぁ!?そんなことできるわけないでしょ」
ティスが二人の言葉をすぐに打ち消した。
「あの二人の時流エンジンがあってはじめてデュミナス様が夢を果たされるのに」
「僕達がそれをどうして」
「助けないというのですか」
「やはりそうなりますね」
シュウは三人の言葉を聞いて納得したように頷くのだった。
「貴方達はあくまでデュミナスの子供達なのですから」
「そうよ、それの何処が悪いのよ」
ティスはそのことをむしろ誇りに思っているようだった。
「あたし達はデュミナス様の為にいるのよ」
「それ以外の何者でもない」
ラリアーも言う。
「僕達はただデュミナス様の為だけに」
「だから何かあればその時は」
デスピニスは弱々しい顔だったが決心はしていた。
「私達が命にかえても」
「他にも生き方はあるのですがね」
シュウは彼等のこの言葉を聞いてもこう述べるのだった。
「貴方達にも」
「とにかくよ」
ティスがここでまた言う。意固地な感じになっていた。
「あんた達は絶対に通さないわよ!」
「なら無理にでも通ってやる!」
「覚悟しなさい!」
ラウルとフィオナの突進は続く。そして遂に三人の前に来たのだった。
「時流エンジン始動」
まずはエクサランスの全てのスイッチを入れた。
「エネルギー変換効率五十から七十へ上昇」
「!?エクサランスが」
「普段と違う?」
ラリアーとデスピニスは二機のエクサランスの動きが変わったのを見て声をあげた。
「まさか」
「けれど」
「フレーム各駆動系異常なし」
「時流エンジン出力六〇パーセントから七十パーセントに」
「時流エネルギー流度A」
「全システム異常なし」
「!?これは」
テツヤはここでエクサランスを見ながら声をあげた。
「まさか」
「どうした、副長」
その彼にダイテツが問う。
「エクサランスで異変が起こっているのか」
「膨大なエネルギー反応です」
ダイテツに顔を向けて答えてきた。
「今までにない位の」
「それ程までにか」
「はい」
「艦長、物凄いエネルギーです」
エイタも彼に言ってきた。
「これは。最早通常のマシンのそれでは」
「ロンド=ベルのマシンの中でもかなりのものです」
テツヤはこうもダイテツに報告する。
「これは。一体」
「何が起ころうとしている」
「エクサランスライトニングフルパワー!」
「エクサランスエターナルフルパワー!」
ラウルとフィオナが同時に叫んだ。
「行くぞ!」
「行くわ!」
そしてティス達に向かって突っ込む。まずはティスが向かおうとする。
「面白いわね。じゃああたしが!」
「待て、ティス」
しかしここでラリアーが彼女を止める。
「ここは危険だ」
「危険だって。どうしたのよ」
「君一人では危ない。三人で行こう」
「へっ!?何言ってるのよ」
今のラリアーの言葉に思いきり顔を顰めさせるのだった。
「エクセランスならあたしがまず一機で誰かが一機で」
「それが危険だっていうんだ」
ラリアーも引かない。
「だからここは」
「三人でやれっていうの?」
「そうだ。それでいいね」
「デスピニス」
ティスはここで残る一人であるデスピニスに顔を向けて問うた。
「あんたはどう考えてるの?」
「私もやっぱり」
「ラリアーと同じ考えだっていうのね」
「ええ」
こくりと頷くのだった。
「ティス、やっぱりここは」
「わかったわよ」
不本意ながら、といった感じであった。
「それならね。三人でね」
「そうしよう、ここは」
「行くわよ、二人共!」
三人並んだところであらためてラウルとフィオナに対して言うのだった。
「あたし達三人の力、見せてあげるわ!」
「三人でもな!」
「やってやるわよ!」
二人の闘志は三機のマシンを前にしても衰えることはなかった。
「フィオナ!」
「ええ!」
妹に声をかけ兄に応える。
「全ての時はこの一瞬」
「永遠の時を力に変えて」
それぞれの口で言葉を出す。
「一瞬の連なりが時となる。その一瞬に全てを込める!」
「これがラージが私に託した永遠なる力!」
「ミズホの最高傑作、エクサランスライトニングの真の力!」
「エクサランスエターナルの本当の力を今ここに!」
「行くぞ!」
「決めてやるわよ!」
「答えろ!」
突き進みながらデスピニスに問うラウルだった。
「二人は何処だ!」
「仲間を助けに来たってわけね」
「そうだ!」
ラウルはティスに対して答えた。
「その為にここに来た!」
「だからよ!早く出しなさい!」
「出せって言われて出す馬鹿が何処にいるのよ」
フィオナも言うがそれでもティスは強気だった。
「ふざけてんの?あんた達」
「ふざけてるって言うんならな!」
「本気を見せてあげるわよ!」
「ティス」
ここでラリアーがティスに声をかけてきた。
「何よ」
「ここは言ってもいい」
「!?あんた何考えてるのよ」
「今デュミナスから通信が入ったんだ」
「!?デュミナスから」
「そうだ」
「まさか」
ラリアーの言葉を聞いてすぐに通信を開く。すると彼女の機体のモニターにもそのデュミナスが出て来たのである。異形の姿と単眼が見える。
「ティス」
優しい声で彼女に声をかけてきた。
「デュミナス、一体どうして」
「私は彼等に興味を持ちました」
「あの連中に!?」
「そうです。彼等はひょっとしたら教えてくれるかも知れない」
彼は言うのだ。
「私が何者かを」
「何者かを!?」
「そうです。だからです」
彼はさらに言う。
「彼等に教えてあげても」
「そうですか」
「それならいいですけれど」
デスピニスもこれにはとりあえず賛成はした。
「けれど」
「わかっています、ティス」
デュミナスはここで彼女にも言ってきた。
「そう簡単に行かせては意味がありません」
「そうですね。それは」
今度応えたのはラリアーだった。
「ただ行かせても。それで何かがわかるとは思えません」
「ここで倒れればそれまでのことです」
「ではまずは」
「貴方達に勝てれば、です」
こう三人に告げた。
「それができれば」
「わかりました。それでは」
「では御願いします」
デュミナスはここまで話してモニターから姿を消した。残った三人は崩壊していく戦局を見つつラウルとフィオナに対して言うのだった。
「わかったわよ」
「わかっただと!?」
「そうよ、教えてあげるわよ」
ティスが二人を見据えて言ってきていた。
「二人の居場所をね」
「何処だ!」
「嘘をついたら容赦しないわよ!」
「僕達は嘘はつかない」
ラリアーが二人に述べる。
「デュミナス様の言葉なら余計に」
「じゃあ早く教えろ!」
「何処なのよ、本当に!」
「教えて差し上げます。ですが」
デスピニスが言う。
「けれど。その前に」
「その前に?」
「あたし達の相手をしてもらうわ」
ティスが二人に言った。
「勝ったら教えてあげるわよ」
「そういうことだよ」
「それで。いいですよね」
「ああ、よくわかったぜ」
三人の言葉を聞いても臆するところのないラウルだった。
「じゃあよ、手前等まとめてぶっ潰して!」
「聞いてやるわよ!」
フィオナも続く。
「ここでな!覚悟しやがれ!」
「行くわよ!」
「幾らね。本当の力を出しても」
まずはティすが前に出た。
「あたしに勝てると思わないことね!」
「ティス、僕も行く!」
ラリアーも前に出て来た。
「油断はできない」
「私も」
デスピニスもそれに続く。
「デュミナスの為に」
「なら俺はラージとミズホの為だ!」
「行くわよ」
こうして二人と三人の戦いがはじまった。しかしこの戦いは一瞬で終わった。
「!?」
「これは」
「一体・・・・・・」
「時の流れよ!」
「時流エンジン出力一二〇パーセント!」
二機のエクサランスが動いた。ライトニングは右手に巨大な光の剣を持ちエターナルは全身が緑色に輝く。そうして今技を放つのだった。
「ライトニングに力を!」
「罪の十字を背負いなさい!」
光の剣が振り下ろされ十字になったマシンから光が放たれた。
「リアクター=クラッシュ!」
「ファイナルグランドクロス!」
「くっ、ラリアー、デスピニス!」
その二つの攻撃を前にしてティスが二人に叫ぶ。
「出ないで!」
「!?ティス、一体」
「どうしたの?」
「これは受けたらただじゃ済まないわ!なら!」
こう言うと自分が前に出た。そうして二機のエクサランスの攻撃を受けるのだった。
「くっ・・・・・・利くわね、やっぱり」
「ティス!」
「大丈夫なの!?」
「ええ、何とかね」
耐える声で二人に言葉を返した。
「大丈夫よ。生きているわ」
「そうか、よかった」
「心配したのよ」
「けれど、このあたしが」
忌々しげに二機のエクサランスを見る。
「ここまでやられるなんて」
「くっ、ティスが庇ってくれたとはいえ僕達も」
「ええ」
二人はここで言うのだった。
「このダメージは」
「まさか衝撃だけでこんなに」
「約束だな」
「そうだったわね」
ラウルとフィオナが三人に対して言う。
「二人の居場所を教えてもらおう」
「何処なの?」
「ちきしょう・・・・・・」
だがティスは答えずに二人を忌々しげに睨むだけだった。
「ちきしょう!このあたしが!」
「けれどティス」
ラリアーがここでそのティスの側に来た。
「僕達は敗れた。それは事実だ」
「敗れた・・・・・・あたしが」
「そうだ。敗れたんだ」
「今はもう無理よ」
デスピニスはティスの身体を気遣っていた。
「この傷じゃ。これ以上の戦いは」
「負けたのは認めるわよ」
それはティスも認めるしかなかった。
「じゃあ。仕方ないわね」
「うん、そうだ」
「ロンド=ベルの皆さん」
デスピニスが彼等に告げてきた。
「デュミナス様はここから北に行けば巨大な神殿があります」
「神殿!?」
「そう、修羅の神殿です」
こう彼等に言うのだった。
「修羅の神殿にいます」
「言ったわよ」
ティスは忌々しげな様子のまま彼等に告げた。
「これでわかったわね。そこにいるわよ」
「ああ、わかった」
「そこなのね」
ラウルとフィオナがそれに頷く。これでまずは目的は達した。
「ならその修羅の神殿に」
「行きましょう、皆」
「わかりました」
エゼキエルが二人に答える。
「では皆さん。進路は北です」
「了解」
「わかりました」
皆それに応える。こうして行く先も決まった。
「けれどね」
「今度は何だよ」
「覚えておきなさい」
こうラウルに返すティスであった。
「この借りは絶対に返すわよ」
「また戦うってことかよ」
「デュミナスの為にね」
これはティスだけの言葉ではなかった。
「あたし達は最後まで戦うわよ」
「だから今ここで敗れても」
「私達は」
そのラリアーとデスピニスも続く。
「戦う。このままずっと」
「デュミナスを守って」
こう言い残して姿を消すのだった。彼等が姿を消すと軍も姿を消した。ロンド=ベルは戦いが終わるとまずは軍を集結させたのだった。
「まずは終わりですね」
「そうですね。この世界での最初の戦いは」
美穂が彼に言葉を返す。まだレーダーを見て警戒は怠っていない。
「私達の勝利です」
「しかしこれで終わりではありません」
エキセドルは釘を刺すようにして述べた。
「ではマシンを全て収容したならばすぐに」
「はい、北にですね」
「待ってろよラージ、ミズホ」
ラウルはクロガネの格納庫の中で一人呟いていた。まだエクサランスのコクピットにいる。
「絶対に御前等を助け出してやるからな」
「何があってもね」
それはフィオナも同じだった。二人は今意を決していた。その意で次の戦いに向かうのだった。修羅の世界での果てしなき戦いの中に。

第七十九話完

2008・9・18  
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