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チェネレントラ

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第一幕その六


第一幕その六

「閣下から陛下か。ふふふ」
「さてさて」
 だがそれを見ながらダンディーニとラミーロは全く別のことを考えていた。
「この三人は上手く動いてくれそうだな。面白いことになってきた」
「あの娘は何処だ」
 これから起こるであろうことを思いほくそ笑んでいるダンディーニに対してラミーロはチェネレントラを探していた。
「何も隠れることはないのに」
「さて」
 だがここでダンディーニが芝居をはじめた。
「そこにある二輪の花」
「私達のことでしょうか!?」
「無論」
 彼はそれを受けて頷いた。
「はい、その通り」
 ダンディーニは頷いてみせた。
「どちらもまるでエトルリアの像」
「まあ」
 二人はそれを聞いて思わず喜びの声をあげた。
「身に余る光栄でございます」
「いやいや」
 彼は鷹揚に頷く。そしてまたラミーロに囁いた。
「如何ですか」
「中々いいぞ」
 ラミーロはそれを受けて頷いた。
「その調子だ、いいな」
「わかりました」
 彼は主にそう言われるとまたはじめた。
「私がある国に使節として向かいこの国に帰ったその時既に父であられる王は病床にあられた」
「はい」
「おいたわしや」
 それを聞いて皆頭を垂れた。皆王への忠誠は持っていた。
「そして私にこう言われた。すぐに妻となるに相応しい者を探し出して選べと。それを受けて私は今この屋敷にいる」
「左様でございましたか」
「うむ。それで」
 ダンディーニは話を続ける。ラミーロはその間に辺りに目をやりチェネレントラを探す。そして遂に彼女を台所のところで見つけ出した。
「そこにいたのか」
 そしてダンディーニにまた囁いた。
「この屋敷にもう一人娘がいるかどうか尋ねてみろ」
「はい」
 彼はそれに応えた。そしてすぐにマニフィコに尋ねた。
「男爵」
「はい」
「この家にいる娘は二人だけかね。何でも三人いるそうだが」
「あ、それは・・・・・・」
 彼はここでバツの悪そうな顔をした。
「実は・・・・・・」
「何かあったのかね」
「はい」
 彼は暗い顔を作って答えた。
「実は亡くなってしまいまして」
「そんな・・・・・・」
 台所の方でそれを聞いていたチェネレントラは今にも泣き出しそうな顔になた。
「言うに事欠いて何ということを言うのだ」
 ラミーロはそれを聞いて怒りを覚えたがそれは何とか抑えた。そしてそのまま従者になりすまして様子を見守った。そしてダンディーニにまた言った。
「そこの台所のところにいる娘は何なのか聞いてみろ」
「はい」
 彼はそれに従いまたマニフィコに尋ねた。
「それではあそこにいる娘は何だね」
「あそこ?」
「台所のところだ」
「ああ、あの娘ですか」
 マニフィコは納得したように頷いてから答えた。
「使用人です。我が家の」
「そうだったのか。ふむ」
 ダンディーニはそれを聞き納得したふりをしてみせた。
「少しあの娘を見たいのだがいいかね」
「あの娘をですか」
「そうだ。よいかね」
「殿下のご命令とあれば。これ」
 彼はチェネレントラに声をかけた。
「殿下が御呼びだ。失礼のないようにな」
「けど・・・・・・」
 チェネレントラはそれに戸惑った。自らのみすぼらしい格好を恥じているのだ。だがここでラミーロはまたダンディーニに耳打ちした。
「格好はどうでもいい。早く来るように言え」
「わかりました」
 彼はそれに答えてまた言った。
「服装なんかは気にしない。早く来るように」
「殿下の御言葉だ。早く来なさい」
「わかりました」
 彼女はそれを受けて顔を俯け恥ずかしそうに出て来た。そしてラミーロ達の前にやって来た。
「彼女が我が家の使用人でございます」
「宜しくお願いします」
 チェネレントラは頭を下げた。ダンディーニは彼女に顔を上げるように言った。
「はい」
 彼女は顔をあげた。だがそれを見ているのはダンディーニではなくラミーロであった。彼女もそれは同じであった。
「それで」
 ラミーロはまたダンディーニに囁いた。
「彼女を宮殿に呼んではどうかと言ってみろ」
「はい」
 それを受けてまたマニフィコに対して言う。
 
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