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久遠の神話

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第十話 偶発戦その十四


「いや、御免御免」
「この娘も戦いに関係ないので」
 聡美もだ。中田に話す。
「端の方にいて」
「それでか」
「そうでした」
 樹里はこう中田に説明した。
「それで見ていまして」
「まあよかったよな」
「はい、上城君が戦わずに済んで」
 それでよかったとだ。樹里は微笑んで言うのである。
「ほっとしています」
「よかったよな。それはな」
「ですよね。戦ってそれで何かあったら」
 どうかとだ。彼女は言って。
 そうしてだった。さらにだ。
 上城を見てだ。こんなことも話した。
「よかったわ。本当にね」
「僕も覚悟したよ」
 上城もだ。見ればほっとした顔になっている。
 そしてその顔でだ。樹里に言うのだった。
「戦いになったらどうしようって」
「若し戦いになったらどうするつもりだったの?」
「それは」
「ああ、その心配はいらないさ」
 そのことはだ。中田が言うのだった。
「俺がいるからな」
「あの、それは幾ら何でも」
 上城はそんなことを言った中田にだ。困った顔になって述べた。
「僕のことは僕でしますから。それにです」
「それに、かい?」
「はい。中田さんにとって僕は敵ですよね」
「同じ剣士だからな」
 それは確かだとだ。中田も微笑んで話す。
「そうなるよな」
「けれどその僕をなんですか」
「助けるってことがおかしいっていうんだな」
「はい、そう思うんですけれど」
「そこはあれだよ」
「あれとは?」
「まあ義侠心ってやつだな」
 それだとだ。中田は上城に笑って述べた。 
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