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久遠の神話

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第十話 偶発戦その十三


 しかしだ。そのうえでだった。また中田に向かおうとする。しかしだ。
 その彼にだ。今度は聡美が言うのだった。
「あの」
「君は剣士ではないな」
「はい」 
 その通りだとだ。聡美は広瀬にこくりと頷いて答える。
「そうです」
「ならいい」
 興味がないといった口調でだ。彼は聡美に返した。
「俺が戦うのは怪物と剣士だけだ」
「その二つだけだ」
「そうですか。では私とは」
「戦わない。俺も誰彼なしじゃない」
 こう言ってだ。聡美には剣を向けなかった。
 そうしてだった。構えを解いて話した。
「それに気持ちも削がれた」
「それならですか」
「今日はこれでいい」
 戦いを止めるというのである。
「そうさせてもらおうか」
「それならいいさ」
 中田もだ。彼が構えを解いたのを見てだ。彼もそうした。
 しかしそれでもだった。まだ両手に刀を持っている。そうしながらだ。
 広瀬を見てだ。こう言うのだった。
「じゃあ早く帰るんだな」
「そうさせてもらう」
「それはよかった。俺としては戦うのは相手が戦う場合はな」
 どうかというのだ。彼の考えは。
「あくまで剣を持っている相手だけだ」
「剣士でもか」
「相手が剣を構えていたら戦うさ」
「しかしそれでもだな」
「ああ。剣を持っていないと戦わない」
 そうなるのだった。言い換えればだ。
「そうしたものを見るのも好きじゃないしな」
「そういうことか」
「ああ。じゃあまたな」
 広瀬を追い出す様にして述べた。
「戦おうな」
「次は倒させてもらう」 
 そうするとだ。彼は言ってだった。
 そのうえでだ。彼は姿を消したのだった。
 後に残った中田はだ。上城に顔を向けてだ。
 そうしてだ。また彼に言うのだった。
「じゃあ俺もな」
「帰られるんですか」
「戦いも終わったしな」
 それでだ。彼も帰るというのである。こう上城に話すのだった。
「また会おうな」
「あの、それで」
「何だ?」
「助けてくれて有り難うございます」
 上城は中田に頭を下げて一礼した。
「本当に」
「それはいいさ」
 だが、だ。中田はだった。
 そのことについてもだ。笑顔でこう返したのだった。
「俺だって君が剣を持っていれば戦うからな」
「だからですか」
「ああ。だからな」
 いいというのだ。その礼はだ。
「気にするなよ。後は」
「後は?」
「彼女待ってるんだよな」
 笑顔になってだ。上城に尋ねたのである。
「今ここにはいないけれどな」
「いえ、樹里ちゃんでしたら」
「いるのかい?ここに」
「はい、ここに」
 こう言ってだ。上城が右手を指し示すとだ。そこに彼女がいた。
 そうしてだ。その樹里も一礼して言うのだった。
「どうも」
「いたんだな。気付かなかったよ」
 笑ってだ。中田はその樹里に言った。 
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