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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
  26.ザ・シード

 
前書き
第26話投稿!!!

全てが終わった。

皆に平和な日常が戻る中、1人うかない顔をする直葉.......

 

 


「さ、寒..........」

ダウンジャケットを着ていても肌を刺すような寒さが体に襲ってくる。それもそのはずだ。

「..........雪、か」

夜空から大きな白く輝く雪片が二つ、三つと落ちてくる。

俺は家を飛び出し、真向かいの家、桐ヶ谷家へと向かう。
桐ヶ谷家の前には、自転車にまたがる和人とそれを見送るスグの姿が。

「よっ!」

和人は.......いや、キリトは俺に会うや否や真っ先にその言葉を口にした。

「シュウ.......ありが.....」

キリトの言葉が終わる前に言葉を出す。

「その言葉は全部終わってからだ。.........まだ終わってねぇだろ?」

「そうだな........」

無言でキリトは右の拳を俺に突き出す。それに俺も無言で拳を合わせる。こいつと拳を合わせるのもこれで何回目だろう。
初めては、βテスターの時、二度目は、いつだっただろうか............

(やっと守ることが出来たぜ)

キリトは自転車のペダルをしっかりと踏み込み彼女が待つ場所へと向かって行く。俺とスグは、キリトの姿が見えなくなるまで見送った。

キリトの姿が消えると沈黙が広がる。

「さて........!」

この沈黙を破ったのは、俺ではなくスグだった。スグはあらたまったように俺の方に体を向け、しっかりと俺の眼を見て話し出す。

「あのね........集也くん。.........さっき話があるって言ったじゃない」

「........うん」

「あのね........その........あのね......」

なかなか口を次の言葉を出そうとしないスグ。次第にスグの顔は頬を赤らめていき、ついに下をうつむきだす。

「........スグ?」

「.........つぶって......」

「ん?」

「.......目、瞑って.......集也くん......」

俺は言われるがまま目を瞑る。目を瞑ると辺りは暗闇に包まれさらに無音が一層際立つ。

「あのね.......集也くん......あたしね.......」

無音の暗闇の中、スグの声が響く。

「あたしね.........お兄ちゃんのことが好き」

(.....知っていたことだが、面と向かって言われるときついなぁー)

「でもね........あたしね。.........それ以上にね.......」

スグの言葉が急に途切れ、目を開けようとした瞬間に俺の唇に柔らかく、ほのかに暖かい感触。慌てて目を開けると眼を瞑るスグの顔が目の前に。俺とスグの距離は0.........

触れ合う互いの唇が離れ合い、スグが目を開ける。

「あたし.......集也くんのことが好き........大好きだよ!」

頭の中が真っ白になり思考が停止しそうになる。

「本当に........俺でいいのか?」

「冗談であたしの初めては捧げないよ。あたしは集也くんのことが........」

スグの言葉を遮り、唇を奪う。それはさっきよりも長くそれでいて深く、熱いキスだった。

「俺もだよ........スグ」




頭の中が空っぽになるほどで自転車を走らせる。雪は徐々に強くなるが一分、一秒でも早くアスナに会いたい。
だが、それと同時に嫌な想像をしてしまう..........アスナの目が覚めていなかったら......再びどこか知らない場所に消えてしまっていたら........

(嫌なことは考えるな!)

雪が顔を叩く。
いま一度自転車を加速させ、アスナの元へと........。

アスナがいる病院が見えてくる。
正門は固く閉ざされており、パーキングエリアの職員用に解放された小さな門から敷地へと乗り入れる。

自転車を駐車場の端に停め、走った。誰もいない駐車場を駆け抜ける。あと少しで病院に入れるというその時だった。濃い色のバンから人影が現れ、避けようとすると金属の輝きが横切る。

一瞬何が起きたのかわからなかった。足を止めるとアスファルトに白い雪とは違う赤い生々しい液体がどこからか落ちてくる。その赤い液体の正体はいっしゅんにしてわかった。

すると右腕に痛みが急に......
その痛みは、SAOやALOに斬られた時の痛みに似ている。
いや.......それ以上の痛みだ。

痛む腕を押さえ、よろけそうになる体をなんとか踏ん張り留まるとさっきのバンの方から足音が聞こえる。

「.......遅いよ、キリトくん」

その足音は徐々に近づいてくる。

「お......お前!?」

「僕が風邪ひいちゃったらどうするんだよ?」

影からあの男が姿を現す。

「す.......須郷......」

なぜこいつがここに!?
そして驚くべきことに須郷の手には大ぶりのサバイバルナイフが握られている。

「ひどいことするよね、キリトくん。まだ痛覚が消えないよ」

「須郷......お前はもう終わりだ。おとなしく方の裁きを受けろ」

「終わり?何が?僕を欲しいって企業は山ほどあるんだ。そう。研究を完成させれば僕は本物の王になれる。この世界での神になれる」

「........おまえ.......」

思わず声が漏れる。

「その前に........とりあえず君は殺すよ、キリトくん」

その瞬間、須郷は俺の腹部目掛けてナイフを突き出し突進してくる。ナイフを避けようとすると体がよろけその場に倒れこむ。

「おい......立てよ。立ってみろよ!!」

須郷は倒れる俺の腹部を二度、三度と蹴りつける。オベイロンの蹴りとは痛みが全然違う。右腕の痛みと腹部の痛みの両方が一気に襲いかかる。

アスファルトの上に倒れる俺を踏みつける。

「お前みたいなクズが僕の......この僕の足をひっぱりやがって!その罪に対する罰は当然.....死だ」

ナイフを振り上げ俺に向ける。

「死、以外.....ありえない!」

ナイフが振り下ろされる。ナイフは俺の目の前に振り下ろされる。

「あれ......?右目がボケるんで狙いがくるちゃったよ.......」

再び須郷がナイフを振り上げる。
すると須郷が急に泣き出す。

「.....クズが......。お前なんか......お前なんか!本当の力は何も持っちゃいないんだよ!!」

ナイフを両手で持ち大きく振り上げる。
須郷の言葉を聞いた時、須郷の姿と妖精王オベイロンの姿がかぶる。

(須郷.......お前だって同じだろ........)

「......死ねぇぇ!!小僧ぉぉぉ!!」

須郷の絶叫とともにナイフが振り下ろされる。

「うおぉぉぉ!!」

振り下ろされるナイフを握る手を右手で防ぎ、左手で首を絞め須郷を倒す。それと同時に須郷の握っていたナイフを奪い取る。

「貧弱な武器だ。......軽いし、リーチもない......」

右手でナイフを握りしめ立ち上がる。

「でも、お前を殺すには充分だ」

情けない声を上げ、逃げようとする須郷の頭を左手で鷲掴みにし、バンのドアに打ち付けた。そして須郷の首元にナイフを構える。

構えるナイフを須郷に近づける。それと同時にこれまでのことが怒りとなりこみあげる。

「うおぉぉぉ!!」

「ヒィィィィィ.......!」

須郷の絶叫が響き渡る。ナイフを離すと須郷も同時に倒れこむ。




暗いロビー、暗い階段、暗い廊下を抜け、暗い病室へと一歩一歩と足を踏み入れる。

このカーテンの向こうにはアスナがいる。だが、もしかしたら起きてないかもしれない........もしかしたら死んで......考えるな!

でも、恐怖心のせいでカーテンの向こうへと踏み込むことができない。動けない、これ以上進めない。声も出ない。

すると不意に、耳元で囁き声が......

『『ほらーー待ってるよ』』

『.......行けよ』

そして、そっと肩を押す手の感触。ユイ?直葉?
でも、最後の声ははっきりとわかった。三つの世界、SAO、ALO、そしてこの世界で俺のことをずっと助け、支え、守ってくれた彼の声だ。

右足を前へ。
さらにもう一歩。更に。更に。

そしてカーテンに手をかけ開く。

病室には月の光が差し込み明かりがなくとも明るい。

「........ああ」

喉から声が漏れた。

ベットの上で上体を起こし、こちらに背を向け窓の外を見る栗色の髪の少女。その少女は間違いなく俺が会いたかった少女........

「........アスナ」

アスナはゆっくりとこちらを向きゆっくりと口を動かす。

「.......キリ....ト......くん」

微笑み右手をゆっくりと伸ばす。俺の左手と絡め右手で優しくアスナを抱きしめる。

アスナは俺の頬の傷を撫でる。

「ああ......最後の......本当に最後の戦いがさっき終わったんだ......終わったんだ」

これまで抑えられていた感情が一気にこみ上げ涙が溢れ出す。

「ゴメンね.......まだ、音がちゃんと聞こえないの。........でも、わかるよ、キリトくんの言葉。.......終わったんだね。ようやく.......ようやく、君に会えた」

アスナの目からも大粒の涙が......

一度アスナと離れた互いに目を合わせる。

「はじめまして、結城、明日奈です。ーーただいま、キリトくん」

溢れ出る涙を拭い笑顔で応えた。

「桐ヶ谷和人です。........おかえり、アスナ」

お互いに顔を近づけ、唇が触れ合った。




二〇二五年五月十六日 金曜日

「それでは今日はここまで。課題ファイル25と26を転送するので来週までにアップロードしてもくこと」

鐘が鳴り響き午前中の授業が終わりを告げ、教師が教室から出ていくと昼食モードの空気が漂う。
和やかに談笑しながら、クラスのやつが教室を出て、カフェテリアへと歩く。

「おい、カズ、アツ、食堂行くなら席取っといて」

隣の席のやつが立ち上がる俺とカズ......まぁ、キリトに言う。

「了解。でも、和人はいつも通り、《姫》とお食事だからな」

キリトはすかさず俺の方を睨みつけるように見る。

「ちくしょう、いいなあ、《姫》と食事なんて」

「まあ、そういうことだ。悪いな」

連中のいつもの愚痴の中からキリトは離脱し、俺もキリトを追い教室から出る。

「キリト.........!」

拳を突き出しキリトもそれに合わせるように拳を突き出す。




カフェテリアに着くと見知った顔が二人ほど西側の窓際の席から窓の外を見ている。一人はパックのジュースを勢いよく吸い上げながら窓の外を睨むように見ている、少女。もう一人は椅子に座り込みその少女を見ている。

「よっ!里香、珪子!何やってんだよ?」

「何だ、あんたか........」

呆れたような顔をする里香。

「何だとは何だ。何だとは......」

「シュウさん、今日はカフェなんですね」

「ああ、今日が弁当ねぇからな。.......あと、シュウじゃなくて、集也な。ここではマナー違反だろ」

珪子が慌てたように口を押さえる。

「まあ、ここにいる生徒なんて大半がSAOプレーヤーだから俺の正体もばれてるだろうしな。珪子と里香は何してるんだ?」

この二人は、龍使いのシリカとリズベット武具店のリズだ。

里香は無言で窓の外へを指差す。
窓の外を見るとそこにはベンチに座るキリトと明日奈の姿が。明日奈はキリトの肩に頭をのせている。

「なんだろう..........こう......あの二人を見ているとその.........仲が良すぎて怒り増してくるな。いつか、キリト、一発斬ったろうかな」

「あんたがいうと冗談に聞こえないのが怖いわ。........でも、あんたってリーファと付き合ってるんでしょ?」

「まあな。........でも、あそこまでイチャイチャはしてねぇよ。最近、学校が忙しくてあんまり会えねんだよな」

思わず愚痴を漏らすと返答に困ったのか二人の言葉が止まる。

「まあ、それはそうと今日のオフ会、二人とも行くよな?」

二人は息を合わせて言う。

「「もちろん(です)!」」




エギルの店《ダイシー・カフェ》の扉には【本日貸切】という木札が掛けられている。

「スグってエギルと会ったことあったっけ?」

「うん、向こうで二回くらい一緒に狩りしたよ。おっきい人だよねぇ〜」

「言っとくけど、本物もあのマンマだからな。心の準備しとけよ」

何だろう、スグの表情が少し固いというか、なんていうか........

俺とキリト、明日奈、スグは《ダイシー・カフェ》の木の扉を開けた。

そこには見知った顔のみんなが広いとは言えない店内に、ぎゅっと詰まっている。

「ーーおいおい、俺たち遅刻はしてないぞ」

あっけ取られたキリトが言うと、制服姿の里香が来る。

「へっへ、主役は最後に登場するものですからね。あんた達にはちょっと遅い時間を伝えてたのよん。さ、入った入った!」

里香に引っ張られ、キリトは店内の奥の小さなステージに立たされる。

「えー、それでは皆さん、ご唱和ください。.........せーのぉ!」

「キリト、SAOクリア、おめでとー!!」

いくつものクラッカーと拍手、歓声が響く。キリトはポカンと口を開けたまま里香に飲み物を持たされる。

「カンパイッ!!」

乾杯の後、全員の簡単な自己紹介、それに続きキリトのスピーチ........それに巻き込まれ俺もスピーチをやらされ、クラインたちからは手荒い祝福をうけ、女性陣からはやや親密すぎる祝福をうけ、疲れ果てカウンターに座り込む。

「マスター、バーボン。ロックで」

「それじゃあ、俺も同じのを」

カウンターを二つのグラスが滑り俺たちの前で止まる。

(まさかエギルのやつガチで?)

恐る恐る口に運ぶとそれは普通の烏龍茶だった。

「エギル、俺には本物をくれ」

キリトの横にスーツ姿で頭にはいつものように赤いバンダナを巻くクラインが座る。

「クライン、いいのかよ。この後会社に戻るんだろ」

「へっ、残業なんて飲まずにやってられるかよ。それに.........」

クラインは、鼻の下を伸ばしまくり、女性陣を見ている。確かに、明日奈、里香、珪子、スグ、サーシャ、ユリエール、全員の集合写真が欲しいぐらいだ。

すると俺の隣にスーツ姿のビジネスマンの印象の元《軍》の最高責任者、シンカーさんが座る。

「やあ、お久しぶり」

「シンカーさん、お久しぶりです。そういえば、ユリエールさんと入籍したんですって。遅くなりましたがおめでとうございます」

シンカーの持っていたグラスと合わせる。

「おめでとうございます」

キリトも手を伸ばしグラスを合わせる。

「いや、まあ、まだ現実になれるのに精一杯って感じなんですけどね。ようやく仕事も軌道に乗ってきましたし......」

クラインが身を乗り出す。

「いや、実にめでたい。そういえば見てるっすよ、新生《MMOトゥデイ》」

「いやー、お恥ずかしい。まだまだコンテンツも少なくて、今のMMO事情じゃ攻略データとかニュースは無意味になりつつありますしね」

「まさしく宇宙誕生の混沌、って感じですもんね」

「なに言ってんだよ、キリト.......」

キリトは一度俺を睨むとカウンターの向こうのエギルに話す。

「エギル、どうだ?その後.......《種》のほうは」

「すげぇもんさ。今、ミラーサーバーがおよそ五十........ダウンロード総数はおよそ十万、実際に稼働しているサーバーがおよそ三百ってとこかな」

《世界の種子》............またの名を《ザ・シード》
キリトが茅場から託された種子。それをキリトはエギルに解析してもらったところ、その結果《世界の種子》は、茅場が開発したフルダイブ型VRMMO環境を動かすプログラムパッケージだとわかった。
ようはそこそこ太い回線を用意して《ザ・シード》をダウンロードすれば誰でもネット上に異世界を作れるのだ。それをキリトは、エギルに依頼し、誰もが《ザ・シード》を使えるように世界中のサーバーにアップロードしてもらった。そのアップロードを手助けするアイテムが俺が茅場から託された《鍵》........
それは全世界の回線をつなげられるほどの膨大な回線速度を持つほどの鍵。この二つのアイテムにより、死に絶えるはずだったVRMMOは再び蘇った。ALOも新しい運営会社に引き継がれ運営費されている。
新しく誕生した世界は、ALOだけではなかった。中小企業や個人まで数百のぼる運営社が名乗りを上げ、次々とヴァーチャルゲームサーバーが稼働したのだ。それらは接続されることになり、今では一つのヴァーチャルゲームで作ったキャラを他のゲーム世界へとコンバート出来るシステムも出来つつある。

「おい、二次会の予定は変更ないんだろうな」

「ああ、今夜十一時、イグドラシル・シティに集合だ」




アルヴヘイム・ケットシー領 首都 フリーリア上空

夜空を四枚の翅で飛翔する。
更に加速し、上空の月に向かい飛翔。更に加速。
そして、急にスピードが落ち、目の前に【WARNING 限界高度】の文字が浮かび上がり一直線に地上に向けて落下していく。

そして考える。

私にあの城の記憶はない。あの城.......お兄ちゃんや集也くんを閉じ込めた城で共に戦い、泣き、笑い、恋をしたーーそれは、現実世界に帰っても消えることのない強い光。お兄ちゃんや集也くんが言ったように仮想世界も現実なのだ。
あの世界の出来事はただのデータじゃない、現実と同じ価値なんだ。

考えてるせいか、翅が動かせない。すると、体を何かが受け止め、落下が止まる。

「どこまで行く気だよ。もうすぐ時間だぞ」

シュウくんの顔が目の前にあった。シュウくんは両手であたしを抱きかかえホバリングしている。

「......そう.......ありがとう.....」

シュウくんの両手から離れ、少し俯いて聞く。

「ねぇ.......あつ......シュウくん。ALOの運営会社が新しくなってSAOのアバターが使えるようになったのに......なんで他の人みたいにもとの姿に戻らなかったの?」

シュウくんは少し考え込んで結論を出す。

「そうだな.......元々、俺はキリトとアスナを助けるためにALOに潜ったんだしな。........それにゲームは最強データでやるより地道にレベリングしていく方が楽しいからさ」

「.......シュウくんらしいね。それじゃあ、インプのシュウくんと会って最初に旅したのは......あたしなんだ」

急に涙が溢れ出てくる。

「あたし......今日はこれで帰るね」

「えっ、なんで?」

「だって........遠すぎるよ。集也くんやお兄ちゃん、みんなのいるところが.........あたしじゃ、そこまで行けないよ」

「そんなことないよ.......」

集也くん/シュウくんは私の手を握り、世界樹に向けて急に加速し出す。

そして急に停止して、私はそのままシュウくんの胸に飛び込むような形になる。

「........来るぞ」

シュウくんは月に向かって指を指す。鳴り響く鐘の音。

「月が......どうかしたの?」

すると上空から何かが降りてくる。どんどんその浮遊物は近づいてくる。そして、その浮遊物の正体があたしにもやっとわかった。

「まさか.......あれって......」

すると浮遊物が輝く光を放つ。
その浮遊物.........二年.....もうすぐ二年半経つかもしれない。集也くんやお兄ちゃん、皆を閉じ込めた剣撃の城.......《浮遊城アインクラッド》そのものだ。

「そうだよ。.......あれが《浮遊城アインクラッド》だ」

「で、でも.......何でここに?」

「決着をつけるんだ。今度こそ一〇〇層まで完全にクリアして、あの城を征服する。........リーファ」

シュウくんは私の頭の上に手を置き微笑む。

「俺とキリトさ......ステータスリセットして弱くなっちまったからさ.......手伝ってくれるか?」

「うん.......行くよ。......どこまでも一緒に......」

またも目からは涙が溢れ出す。

「おーい、遅ェぞシュウ!」

下からクラインの声がすると下からクライン、エギルさん、リズさん、シリカちゃんやユリエールさん、シンカーさん、サーシャさん、それにサクヤやアリシャの数人のケットシーとシルフのプレーヤー達。
それにレコン、サラマンダーの将軍、ユージーンとシータ、それに部下たちも続く。

「ほーら、置いてくぞ」

「お先!」

「ほら」

「早く!」

そして私たちの前で水色の長い髪の少女と黒髪の大きな大剣を背負う少年が止まる。

「さあ、行こう。リーファちゃん、シュウくん」

水色の長い髪の少女、アスナさんが手を差し伸べくる。その手を取る。

「それじゃあ、今度こそ一〇〇層まで攻略するか!?」

「もちろんその気だ」

シュウくんとキリトくんが拳を合わせる。

「「よしーー行こう!!」」
 
 

 
後書き
ALO編完結!!!

次回からは、少し閑話を挟んだあとにGGOに突入します 
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