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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
  25.鍍金の勇者

 
前書き
第25話投稿!!!

ついにアスナにたどり着くキリト!
キリトのため、グランドクエストに挑み続けるシュウ!

2人のピンチに現れるあの男........ 

 


「うおおぉぉぉぉっ!!」

閉鎖された空間に壁に反響した叫び声が木霊する。

「失せろぉぉぉ!!」

この空間を埋め尽くすほどの守護騎士が俺目掛けて突撃してくる。

「クッソ.......」

武器を背中に背負い戻し、回避に専念する。いくら回避に専念したところで空中を埋め尽くすほどの大群の突撃を全て防ぎきれず徐々HPが減らされていく。

そしてついにレッドゾーンに突入する。ガーディアンの猛攻が止んだ一瞬を狙いアイテムウインドウからヒールアイテムを使用。

「クッソ.......残りのヒールアイテムは、三つか.......」

せめてヒール魔法が使えれば別だが、俺にはヒール魔法を使用できない。

「........早くしろよ.......キリト」




「パパ、パパ?」

目を開けるとそこには、本来の、十歳ほどの姿のユイが心配そうな顔で覗き込む。

「ーーユイ。ここは........?」

周囲を見回すと、そこは一面が真っ白いで包まれた通路のようだ。

「........判りません。マップ情報がないようです」

「アスナの居場所はわかるか?」

「はい」

ユイは一旦、目を瞑ると頷く。

「かなり......かなり近いです。......こっちです!」

急に立ち上がりユイが走り出す。
ユイを追い俺も走る。

(待ってろよ、アスナ......)

急に立ち止まり壁に手を当てるとその壁に円形の穴が空く。さらに走り、また壁にユイが触れる。が、空かない。俺もその壁に力を加える。

すると壁にが壊れ、外に繋がる。
外には世界樹の枝が広がり、ALOが一望できる眺めだ。

「ーーここが.......世界樹の頂上......」

ふと、上を見上げる。そこには葉っぱとその隙間から漏れる光が見えるだけで空中都市と呼ばれるものの姿は見当たらない。

「ないじゃないか、空中都市なんて........何がグランドクエストだ。.......全部嘘じゃないか.......許されないぞ」

怒りがこみ上げ手を強く握ろうとすると服の腕を引っ張られる。ユイが服を引っ張ったのだ。

「あっ、そうだな。全てはアスナを救い出してからだな。.......シュウは今も戦ってるんだし」

再び上を見上げるとそこには........あの鳥籠が!

ユイの手を引き鳥籠を目指し走り出す。徐々に鳥籠に近づく。鳥籠の中が徐々徐々に見えてくる。

.........そこには、俯く人影の姿。

(もうすぐそこに辿り着く。........もうすぐ......もうすぐ)

あたりが夕暮れに急に変わり、俺とユイは鳥籠の前に辿り着く。鳥籠の中には、ベットに顔を埋める栗色の長髪の少女が.......

「ママ!!」

ユイの言葉にベットに顔を埋めていた少女がこちらを向く。その少女は間違いなく俺がずっと捜し求めた少女........俺が会いたかった少女......アスナだ。

「ママ!!」

もう一度ユイが叫ぶとアスナは両手で口元を押さえ、眼からは涙が流れ頬を伝う。

「ママ!!」

ユイが叫び、鳥籠の消し去りアスナの体に飛び込む。

「ユイちゃん!!」

飛びつくユイをしっかりとアスナは抱きしめ互いの名前を何度も呼び合う。

俺も一歩一歩アスナの元へと近づく。アスナもこちらを見て微笑み、流れ出る涙を拭う。

「......キリトくん」

「......アスナ」

両腕を広げ、胸に抱かれるユイと一緒にアスナを抱きしめた。

「ゴメン......遅くなった.....」

「ううん、信じてた。きっと.......助けに来てくれるって......」

俺たちは少しの間、抱きしめ合う。

「さあ.......一緒に帰ろう」

「........うん」

大きく頷く。

「ユイ、アスナをログアウトさせられるか?」

ユイが首を振る。

「ママのステータスは複雑なコードよって拘束されています。解除にはシステム・コンソールが必要です」

「私、ラボラトリーでそれらしいものを見た」

すると何かの気配を感じ、背中の大剣に手をかける。変な音が鳴り響く。

「な、なに!?」

すると急に体が重くなる。まるで重力が重くなったように。アスナとユイに手を伸ばすがさらに体が重くなり膝をつく。

「ゆ、ユイ、この状況は......」

床が急に消滅していく。

「きゃあ!」

ユイの苦しむ声が.....

「パパ、ママ、気をつけて.......何か......良くないものが......」

ユイの言葉が途切れ、姿を消す。

「......ユイちゃん!!」

「.......アスナ」

アスナに手を伸ばす。アスナも手を伸ばすが、あと少しで触れられる瞬間にさらに体が重くなる。

「いやー、驚いたよ。小鳥ちゃんの籠の中のゴキブリが紛れ込んでるとはね」

重い体を持ち上げると緑色の服と足元が見える。

「お前は........須郷か!!」

「チッチッ、この世界でその名前はやめてくれないかな。妖精王、オベイロン陛下とーーそう呼べッ!!」

頭を踏みつけられ強く地面に打ちつけられる。

「キリトくん!!」

「どうだぁい?ロクに動けないだろ?次のアップデートで導入予定の重力魔法なんだけど、ちょっと強すぎるかな?」

屈辱的に須郷に顔を踏みつけられる。

「やめなさい、卑怯者!」

「それにしても桐ヶ谷くん......いや、キリトくんと呼んだほうがいいかな?どうやってここまで登ってきたんだい?さっき妙なプログラムが動いていたが」

俺の剣を手に取り、見下す。

「飛んできたのさ.......この翅で....」

「ふーん、まぁいい。君の頭の中身に直接聞けばいいだけだ。大方、小鳥ちゃんが何かしたのだろう」

「......なに?」

「君はまさか、僕がこんな酔狂にこんな仕掛けを作ったと思っているんじゃないだろうね?」

須郷は剣を掴み、にやっと不気味な笑みを浮かべる。

「三百人に及ぶ元SAOプレーヤー、彼らの献身的な協力によって思考・記憶操作技術の基礎研究は既に八割がた終了している。かつて、だれも成し得なかった人の魂の直接制御という神の業を、僕はあと少しで僕の物に出来る!!全く、仮想世界さまさまだよ!!」

須郷は狂れたように笑い出す。

「......須郷.....!!」

「あなたのしたことは、許されないわよ!......絶対に」

「えー、誰が許さないのかなぁー?残念ながらこの世界に神はいないよ。僕以外にはね!」

須郷が俺の剣をアスナに向ける。

「さてー、君たちの魂を改ざんする前に楽しいパーティーといこうか!!」

須郷が指を鳴らすと上空からアスナの前に鎖が落下してくる。剣を地面に突き刺し、その鎖をアスナの腕に付けだす。

「.......貴様.......なにを.....」

こちらを向き、ニヤつくと指を上に動かす。すると鎖が再び上に上がりアスナが吊り上げられる。ギリギリ足がつくかつかないかぐらいの高さまで吊り上げられる。

「あは.........はい!」

須郷の掛け声とともにアスナの体に再び重力が加わり、苦しむ。

「いひっ!いい、いいね。やっぱり、NPCの女じゃ、その顔は出来ないよね」

須郷がアスナに近づきアスナの髪を掴み匂いを嗅ぐ。

「はぁー、いい香りだ。現実のアスナくんの香りを再現するのに苦労したんだよ。病室に解析機まで持ち込んだ、僕の努力を評価してほしいねぇー」

アスナの顔に須郷が顔を近づける。

「......やめろ......須郷......」

重い体を無理矢理起き上がらせる。須郷がすごい顔で睨みつける。

「やれやれ、観客はおとなしく這いつくばってろぉぉ!」

須郷に顔面を蹴りつけられ再び地面に打ちつけられる。そして背中に自らの剣を突き刺される。

「キリトくん!!」

「システムコマンド!ペイン・アブソーバ、レベル10からレベル8に変更」

さっきとは比べものにならないくらいの痛みが背中を襲う。

「痛いだろ?段階的に強くしてやるから楽しみにしたまえ。もっともレベル3以下になると現実の肉体にも影響があるようだが..........さて」

須郷が吊るされるアスナの元へ。

「おっと、言い忘れていたな。今、グランドクエストを挑んでいる彼、君のお仲間だろ?」

須郷はこちらを振り返り不敵な笑みを浮かべる。

「今、あの空間のペイン・アブソーバーは、レベル3だ。.......このままいけば彼は現実の体に支障が出るぞ」

高笑いをする須郷。

「.......シュウ」

「まぁー、もっとも今の君には関係ないがな!!」




「グハッ......!!」

(なんだ.........この痛みは......さっきとは痛みが違う)

ガーディアンの攻撃かするだけでも体に激痛が走る。いや、激痛なんてもんじゃない........これは.......現実の痛み!

片手剣でガーディアンの攻撃を弾く。すると一瞬、反応が遅れガーディアンの攻撃が直撃する。

「グハッ........!!」

とてつもない痛みが身体中に走り、地面に落下してしまう。さらにHPがレッドゾーンに突入する。ヒールアイテムを使用しようとしても痛みで体が動かない。

その瞬間、五体のガーディアンがこちらに向かい突撃してくる。

「........ここまでか.......ゴメンな........キリト」

死を覚悟し眼を閉じようとした時、目の前を緑色の影が横切る。

「......まさか....」

慌てて顔をあげるとそこには........金髪のポニーテール、ライトグリーンの翅の少女........

「リーファ!!何でここに?」

「シュウくん、助けにきたよ!」

リーファは笑顔でこちら見ると向かってくる、五体のガーディアンを撃破。

最後の回復アイテムを使用し、リーファの元まで飛ぶ。

「リーファ、早く出るんだ!ここは、今、他のフィールドとは違う!ダメージが現実になってるんだよ!」

「あたし決めたの。全部終わったらシュウくんに......ううん、集也くんに話って。.......だから、それまではシュウくんを、お兄ちゃんを助けるって!」

ガーディアンの群れにリーファが飛び込む。

「リーファ!!」

俺も同時に飛び込み、リーファと背中合わせに剣を構える。

「スグ!背中は任せたぞ!」

「うん、集也くん!」

周り覆いつくすガーディアン。
それを少しづつではあるが俺とリーファは着実に減らしていく。

今、この空間でダメージを受ければ、痛みで動きが鈍り他にもダメージを受けることになり事実上、一発でもダメージを受ければ大ダメージを受けるか最悪......死が待っている。

するとこの状況で最悪の展開が........

「スグ!伏せろぉ!!」

最悪の展開.........最初にキリトを死に追い詰めたガーディアン部隊....弓を使うガーディアンが姿を現し、矢先を俺とスグに向け放たれる。

「スグ!!」

スグの体に覆いかぶさる体勢になる。すると無数の光の矢が俺の体に突き刺さる。

「うがぁっ!!」

「集也くん!!」

地上に俺はスグの体に覆いかぶさったまま地面に落下する。

「集也くん!!........集也く......」

スグが涙を流し、ヒール魔法を唱える。

(やばい、意識が遠のいてく.......スグの声が聞こえなくなってく......る........)

視界が真っ白になっていく。
体が重い。
動きそうにもない。


『まだ君は戦えるはずだ』

(無理だ。体が動かないのにどう戦うんだ)

『君の力はこの程度じゃないはずだ。それともわたしが君の力を過信評価しすぎたのか』

(お前は俺の何を知ってんだよ。俺は......もう......)

『それでは、話を変えよう.........君はまた彼を助けられずに......何も出来ずにその場で這いつくばっている気なのか?』

(そうだ!俺は.......俺は......キリトを!)

『それでこそ、君だ。少しだけ君に力を貸そう。ただし......それ相応も代償も払ってもらう。.......それでは、わたしは上に行くとしよう』


「集也くん!!!」

その声が俺をもう一つの現実へと引き戻す。ガーディアンがすぐ目の前まで迫っている。スグが俺を守るように俺の上にかぶさる。

「スグ........ありがとな」

「集也.....くん?」

落ちている片手剣を拾い上げ、膝を少し曲げ、その剣を肩に担ぎ上げる形をとる。すると片手剣が何かを纏う感覚が俺の体に伝わる。青白い光。懐かしの感覚。
翅を広げ飛びたつ。そして片手剣を肩から前へと突き出す。見えない何かが背中を押すように体が前へと進む。青白い光を放つ剣がガーディアンの体を貫く。

その感覚は間違えなくあの世界の感覚。これがあいつが言ってた力とはこれのことだったのか。

体をアシストする感覚、光る剣、これは間違えなくSAOの剣技《ソードスキル》だ。

片手剣突進技《ソニックリープ》




「須郷.......貴様......貴様ァァァ!!」

須郷は泣くアスナの涙を舐める。

がむしゃらに体を動かし、立ち上がろうとするが、剣がびくとも動かない。

「貴様......殺す!!殺す!!絶対に殺す!!」

無力な俺.......両眼からは何もできない悔しさの涙が溢れ出し、視界が眩んでいく。

(これが報いなのか......ゲームの世界なら俺は最強の勇者.......アスナは自分の力で助け出せると思って........俺は何の力もないのに.......)

再び眼からは、涙がこぼれ落ちる。


『逃げ出すのか?』

(そうじゃない。現実を認識するんだ)

『屈服するのか?かつて否定したシステムの力に?』

(仕方ないじゃないか......俺はプレーヤーで、やつはゲームマスターなんだよ)

『それは、あの戦いを汚す言葉だ。わたしにシステムを上回る人間の力を知らしめ、未来の可能性を悟らせた、我々の戦いを』

(お前は?)

顔をあげると白衣の男が......

『ーー立ちたまえ、キリトくん!!』


「こんな魂のない攻撃に......あの世界の刃はもっと重かった!!」

体を無理矢理起き上がらせる。

「もっと痛かった!!」

立ち上がる。

「やれやれ、妙なバグが残っているなぁ!!」

須郷がこちらに向かってき、裏拳を放つがそれを掴み取る。

「システムログイン。ID《ヒースクリフ》」

すると俺の周りをウインドウが無数に広がる。

「なっ!なに、なんだそのIDは!?」

須郷が動揺を隠せずにいる。

「システムコマンド、管理者権限移行、ID《オベイロン》をレベル1に」

「なっ、僕より高位なIDだと!?あり得ない、僕が支配者!創造者だぞ!この世界の王、神!!」

須郷の往生際が悪く、ウインドウを何度も開こうとする。

「そうじゃないだろ」

須郷は怒った表情でこちらを向く。

「お前は盗んだんだ。世界を、そこの住人を!盗み出した玉座の上で一人踊っていた泥棒の王だ!」

「こ、このガキ......僕に.....この僕に向かって!システムコマンド、オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

須郷の声は無音の空間に響き渡り、時間と共に消える。

「ゆ、言うことを聞け!!このポンコツがぁ!神の....神の命令だぞ!!」

子供が駄々をこねるように暴れだす須郷。

俺とアスナの目が合う。

「もう少し待っててくれ。........すぐ終わらせるから」

「.......うん」

アスナが頷く。

「システムコマンド!オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

空中が歪み、そこから剣の形をした何かが姿を現す。

「コマンド一つで伝説の武器を召喚か......」

エクスキャリバーが俺の前に今一度姿を現す。エクスキャリバーを須郷に投げる。そして、地面落ちる俺の大剣を拾い上げ、須郷に剣を向ける。

「決着をつけよう。......泥棒の王と鍍金の勇者の!!」

さらに続けてシステムコマンドを唱える。

「システムコマンド、ペイン・アブソーバーをレベル0に」

ペイン・アブソーバー、つまり痛覚の感覚を現実に近づける。0ともなれば現実以上のダメージになるがな。

「な、なに?」

「逃げるなよ。........あの男はどんな場面でも臆したことはなかったぞ。あの........茅場晶彦は!!」

「か、かや、茅場!!」

茅場の言葉を聞くと二歩、三歩と後ろに引く。

「そうか......あのIDは......なんで.....なんで死んでまで僕の邪魔をするんだよ!!あんたはいつもそうだ!!何もかも悟ったような顔しやがって!!僕の欲しいものを端からさらって!!」

「須郷.......お前の気持ちはわからなくもない。俺もあの男に負けて家来になったからな。.......でも、俺はあいつになりたいと思ったことがないぜ。.......お前と違ってな」

「この......ガキがぁっ!!」

須郷はエクスキャリバーを振るう。だが、その体との間合いに俺の剣が頬をかする。

「痛ぁ!!」

「痛いだ.......お前がアスナに与えた苦しみはこんなもんじゃない!!」

大剣を振り下ろす。
須郷は恐怖で右手を出す。
右手は大剣が斬りおとす。

「あぁぁーあぁ!!手がぁぁぁ!!僕の手がぁぁぁぁ!!」

泣き叫ぶ須郷の体をさらに腰を斬りつける。すると大量の血に似たエフェクトが吹き出し、下半身がオブジェクトの光と化し、消滅。
落下した上半身を拾い上げ、上空に投げ、大剣で須郷の右目を突き刺す。須郷は絶叫と共にその姿を消す。

そして最後にアスナを吊るしていた鎖を断ち切る。

アスナは俺の胸の中に倒れる。アスナを抱きしめた瞬間、涙が溢れ出してくる。

「.......信じてた.......ううん、信じてる。これまでも、これからも......君は私のヒーロー。いつでも助けに来てくれるって」

「違うんだよ。........俺にはなんの力もないんだ。でも.......そうなれるように頑張るよ」

「.....うん」

「さあ、帰ろう」

システムウインドウを開き、その中からアスナの名前を探す。

「現実世界はもう夜だ。でも、すぐに君の病室に行くよ」

「うん、待ってる。最初に会うのはキリトくんがいいもの」

アスナは少し上を見上げる。

「あぁ、とうとう終わるんだね。帰れるんだね。現実の世界に」

ラボの全員のログアウトボタンを押す。

「そうだよ。いろいろ変わっててびっくりするぞ」

「いっぱい、いろんなとこ行って、いっぱいいろんなことしようね」

アスナは微笑みそう言う。

「ああ、きっと」

アスナな体が光に包まれ、消える。

これでようやく終わったんだ。




「これで終わりだぁ!!」

二手刀流最上位剣技《覇凰終刃》
二本の光の刃が残りのガーディアンたちを貫く。

残るガーディアンの数は十体。

残りの九、八、七と数を減らしていく。残りの三、二、そして最後の一体。

「ラスト!!!」

右の手刀が最後のガーディアンを貫く。

すると上空にクリアを意味する文字が浮かび上がる。

「はぁ......はぁ.......勝った.....」

「す、スゴイよ.......スゴイよ、集也くん!!」

リーファが感激のあまり泣きながら俺を抱きしめる。

「ああ、これで全部終わったんだな.........何もかも」

すると上空から何かが落ちてくる。それは金色に光る鍵のような形をしたアイテム。

「これがクリア報酬?」

鍵をクリックすると何も反応しない。すると頭の中にあいつの声が再び聞こえる。

『代償は払ってもらうと言ったであろう』

「.......そういうことか」

その鍵を握りしめ、スグを抱きしめる。

「あのね........集也くん。あとで話があるの。落ちたら家の前に出てきてくれないかな?」

「了解.......それじゃあ、そろそろ落ちるか」

「うん!」

リーファ/スグは笑顔を俺に向けた。




見慣れた天井。頭には二年間俺を閉じ込めた機械、ナーヴギア。

ナーヴギアを外し、ベットの上に置き立ち上がる。剣で突き刺されたような痛みが身体中に残っている。痛む体を無理にでも動かしダウンジャケットをクローゼットから取り出し部屋を出る。出る際にベットの上に置かれるナーヴギアを再び見て、一言。

「.........ありがとな」

俺は部屋を飛び出し、階段を駆け下り、真向かいの家に向かうため家のドアを勢いよく開けた。 
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