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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
  24.完全攻略

 
前書き
第24話投稿!!!

それぞれの思い............
それがもう一度一つになる時、世界樹攻略への道が開かれる。 

 


キリトとリーファ/直葉がログアウトとしてから二十分くらい時間が経った。俺は二人が帰ってくるのを扉の前でじっと待ち続けた。

「............絶対帰って来るよな.......直葉.......」

すると、目の前に光が現れ、その中から人の形が姿を現す。黒い服を身に纏い、大剣を背負う剣士が姿を現す。

「キリト..........」

キリトは無言でこちらに振り向かず歩き出し言葉を放つ。

「.......スグは帰ってくる。........必ずな.......」

そう言い残し、クリアグレーの翅を広げどこかへと飛んで行く。
その背中はキリトというよりは、現実世界の桐ヶ谷和人の背中だった。

キリトが飛び立った数分後、再び光が現れ、その中から金髪のポーニーテールの少女、リーファが姿を現す。

「よっ、リーファ!」

「........シュウくん」

俺の顔を見るなり顔を俯き、俺の顔から視線を逸らし少し間を置いてからリーファは口を開いた。

「........シュウくんは、キリトくんのことどこまで知ってたの?」

「どこまでというと........えーっと........キリトが......いや、和人がアスナを探すために世界樹を目指してることは知ってたけど」

「.......てことは、シュウくんって.........」

徐々に顔をあげて俺の顔を、眼をじっとリーファは見る。

「そうだよ。.......俺は如月集也だ。.........直葉」

リーファは、再び俯きそのまま俺から逃げるようにその場を立ち去ろうとする。

「待てよ、リーファ!」

立ち去ろうとするリーファの腕を掴むとリーファはそれでも進もうとする。

「.......離して」

「.......ヤダね」

リーファはさらに俺の手を振り払おうとさらに抵抗。

「離してよっ!!」

「離すかよっ!!」

リーファの体を引き寄せ抱きしめる。俺が抱きしめた瞬間、リーファは少し抵抗するがすぐに抵抗をやめリーファも俺の背中に手をまわす。

「........シュウくん。........あたし、あたしね」

どんどんリーファの抱きしめる力が強くなっていく。

「........お兄ちゃんが好き。......でも........お兄ちゃんは......キリトくんは........」

「いいよ......無理しなくて.....」

さらにリーファを強く抱きしめる。

「......シュウ.....くん」

なんの音も響かない沈黙があたりに広がる。その空間の中、中央で俺とリーファは抱き合う。

沈黙の空間と強く抱きしめ合うせいで、互いの心音が互いに認識できるほどだ。

「........シュウくん.....あたしね....」

俺の耳にしか聞こえないくらいの声でリーファが囁く。

「.......あたし...........シュウくん。目、瞑って......」

少し上目遣いのリーファが言う。俺は言われるがまま目を瞑る。

少し間が開く..........
リーファの動きが止まる。
別にリーファが俺の手から離れたわけではない。

すると甲高い少年の声が響く。

「ダメぇぇぇぇ!!」

その声に眼を開けた途端、抱きついていた俺とリーファの間に緑色の髪の少年が現れる。

「れ、レコン!?」

「あんときのやつか」

「リーファちゃん、ダメだよ!そのキ.....ンギャッ!」

リーファがレコンの足を踏みつける。

「あんたどこから見てたのよ!?」

「うっ.........リーファちゃんがシュウさんにキッ.....ンギャッ!」

リーファがレコンの足を再び踏みつける。

「ま、まぁいいわ。それよりレコン、サラマンダーに捕まってたんじゃ?」

「それは、全員毒殺して脱出しました」

レコンが痛がる足を我慢した後、自慢げな顔をして話す。

「それでリーファちゃんを追いかけてきたんだよ.......って、あのスプリガンは?」

リーファが再び俯く。

「リーファ.......言って来いよ。キリトのもとへ」

笑顔でリーファは、うん!、と頷き翅を広げ飛び立った。

「あの〜、シュウさん......」

「何だよ、レコン......だったけ?」

「はい.......。シュウさんって、リーファちゃんのことどう思ってるんですか?」

「俺か...........そうだな.......」

しっかりと考えると俺はリーファのことをどう思っているんだろう?

「まぁ......そうだな。.......一緒にいると安心して楽しい........そんな感じかな」

「じゃ、じゃあ.......率直に聞きますよ」

新たまった顔でレコンは聞く。

「シュウさんは、リーファちゃんのこと好きなんですか!?」

俺は間を開けずにハッキリと答える。

「好きだよ!」




(これであたしの気持ちは決まった!あたしは..........)

お兄ちゃんとの決着をつけ、私はもう一度巨大な扉の前にお兄ちゃんとともに降り立った。

「えーっと.......ど、どうなってるの?」

「世界樹を攻略するのよ。この人とあんたとシュウくんとあたしの4人で」

「そ、そう......って........ええ!?」

レコンは顔面蒼白の顔で大きな声をあげる。

「ユイ、いるか?」

キリトくんの声にユイちゃんが姿を現し、キリトくんの肩の上に乗る。

「どうしました、パパ?」

「あのガーディアンとの戦闘で何かわかったか?」

「ステータス的にはさほどの強さではありませんが出現数が多すぎます。あれでは.......攻略不可能の難易度に設定されてるとしか.......」

「総体では、絶対無敵の巨大ボスと一緒ってことか......」

「でも、パパとシュウさんのスキル熟練度があれば瞬間的な突破は可能かもしれません」

キリトくんは、シュウくんと顔を合わせ互いに頷き、私とレコンの方を見る。

「みんな。すまない.......もう一度だけ俺たちのわがままに付き合ってもらえないか?なんだか時間がない気がするんだ」

世界樹の上を見上げる。

「あたしに出来ることなら何でもする。それとこいつもね!」

レコンの肩を肘で突っつく。

「えー!まぁ、リーファちゃんと僕は一心同体だし」

レコンの頭を殴る。

「調子のんな!」

私はキリトくんに手を伸ばす。するとレコンは慌てたように私の手の上に両手を置く。そしてその上にキリトくんとシュウくんが手を置き、その上にユイちゃんが乗る。

「ありがとう......みんな」

「ガーディアンは俺とキリトで引き受ける。後方からヒールするだけなら襲われる心配はないと思う」

皆が頷く。

「ーー行くぞ!!」




再びこの中に足を踏み入れるとは思わなかった。

キリトくんとシュウくんが空中を飛び交うガーディアンを次々と倒していく。

「スゲぇー」

「でも、敵の数が....」

円形の頂点に近づくに連れ敵のガーディアンの数が増えていく。

それはいつの間にか空中を埋め尽くし、円形の頂点が見えなくなるぐらいに。するとガーディアンたちが突撃体制に入り込み、キリトくんとシュウくんをまるで雨のように襲いかかる。

「レコン!」

ヒールの詠唱を唱え、シュウくんとキリトくんをヒール。

二人が体勢を立て直すのも矢先、突進してきたガーディアンがこちらを向く。

「な、なんで僕たちがターゲットされるの」

「多分、あいつらは外のモンスターとは違うアルゴリズムを与えられているんだわ。これじゃあ、前衛と後衛に分ける意味がない」

(キリトくんとシュウくんを助けなきゃ)

シュウくんたちのもとへ飛ぼうとした時、レコンが私の手を掴む。

「待って!」

「レコン!」

「リーファちゃん、僕よくわからないんだけど.......これ、大事なことなんだよね.......?」

「そうだよ。多分、これはゲームじゃないんだよ。今だけは.....」

レコンの顔つきが急に変わる。

「ぼ、僕が何とかして見せる!!」

急にレコンは補助コントローラーを握りしめ、加速する。

「れ、レコン!?あのバカ!」

急にレコンがガーディアンたちと戦い出す。ガーディアンは新たなにレコンを攻撃対象にしだす。

「もういいよ、レコン!外へ逃げて!」

だが、レコンはやめない。やめるどころか、さらに攻撃を増す。レコンがこちらを見て少し笑うと詠唱しだす。

それもかなりの長さだ。

「あれは、闇属性魔法!?」

詠唱は巨大な球の形を描き、徐々に徐々にと巨大化していく。そして詠唱が終わった瞬間、周りのガーディアンを巻き込み途轍もない爆発を起こす。その爆発により空中を埋め尽くしていたガーディアンの一部が消え去り円形の頂点が姿を覗かせる。

「自爆魔法.......相当なデスペナルティーなはずなのに。あんたほんとバカだよ!」

シュウくんとキリトくんは、レコンが作り出した空間に向かい飛翔!
キリトくんがガーディアンを避け、前方に立ちはだかるガーディアンをシュウくんが倒す。が、急にガーディアンが集団で固まりだしレコンが作り出した空間を再び埋め尽くす。

さらにさっきのようにガーディアンたちが再び雨のように降り注ぐ。

「........無理だよ、こんな、こんなの........」

シュウくんとキリトくんをヒールさせるが私の周りをガーディアンが囲む。ガーディアン攻撃モーションにはいる。すると、うおおぉぉぉ!と、大人数の雄たけびが聞こえ、ガーディアンが動きを止める。

扉からライトグリーン翅に鎧を纏う軍隊が侵入してくる。

「シルフ部隊.....」

「どうして?」

すると私の横を何かが横切る。

「.......飛竜!」

鎧を纏う龍が横切る。それも一匹ではない大群だ。

「ケットシーのドラグーン隊?」

風が吹き、私の隣に飛竜に乗るケットシー領の領主、アリシャ・ルーとシルフ領、領主、サクヤが現れる。

「すまない。遅くなった」

「ごめんネー、装備を揃えるのに時間がかかっちゃってサー」

「サクヤ、アリシャ!」

サクヤとアリシャが指揮をとる。

「ドラグーン隊、ブレス攻撃よーい!」

「シルフ隊、エクストラアタック、よーい!」

各隊が攻撃準備にはいる。

「ファイアブレス、撃てっ!!!」

ドラグーンのファイアブレスがガーディアンたちにあたりに燃え上がる。

「フェンリルストーム、放てっ!!!」

シルフ隊の光の矢がガーディアンたちを貫く。

「ありがとう、ありがとう二人とも!」

「礼には及ばんよ。スプリガンとインプの彼らには大きな借りがあるからな」

「それに攻略の準備だって彼らから預かった大金があったから出来たんだヨ」

嬉しさのあまり涙がこぼれそうになるが拭き取る。

「全員突撃!!!」

サクヤの声に全員がガーディアン隊に突撃する。

「ひるむな!!押し切れぇ!!」

するとサクヤにガーディアンが突撃してくる。突撃してくるガーディアンを長剣で切り裂く。

ガーディアンを倒しながらキリトくんとシュウくんのもとへ向かう。

「スグ!!」

「直葉!!」

シュウくんとキリトくん、私の三人で背中に合わせになる。

「背中は任せたぞ!」

「うん!任せて!」

「おう!あたりめぇだ!」

ガーディアンを次々と倒していく。

「三人に続け!!」

おおぉぉぉ!!!
さらに指揮が上がり、シルフ隊、ドラグーン隊の猛攻!

すると再び、ガーディアンたちがはけ、円形の頂点が姿を現す。
シュウくんとキリトくんはその空間目指し飛翔!!

すると再びガーディアンたちがキリトくんとシュウくんに前に立ちはだかる。

「お兄ちゃん!!」

私は愛刀に剣をキリトくんに投げつける。キリトくんは私の剣を掴むと落下してくるガーディアンたち目掛けて二本の剣で突進。シュウくんは、片手剣と槍を振るい突進。

「行って........行って、お兄ちゃん、集也くん.........行ぇぇぇぇぇっ!!!」

お兄ちゃんと集也くんの姿はガーディアンたちを突っ切り円形の頂点に到達した。

だが、その空間は再びガーディアンの群れに閉ざされた。

「全員反転、後退!!」

(飛んで、どこまでも、どこまでも空高くかけて。世界の核心まで)




「クッソ.......」

「どうなってんだよ」

俺たちはガーディアンを突破し円形の頂点、世界樹の内部に通じる道に到達した。だが、世界樹の内部に通じる扉が開かない。

キリトが剣を十字の割れ目に刺すがびくともしない。

「ユイ!」

「はい、パパ!」

ユイが飛び出し、世界樹の内部に通じる扉に触れる。

「パパ、シュウさん......この扉はクエストフラグによってロックされているのではありません。システム管理者権限によるものです」

「どういうことだ?」

「つまり、この扉はプレーヤーには絶対に開けられないということです!」

驚きを隠せないどころの問題じゃない。プレーヤーに開けられないってことは、この先に向かうことは出来ないってことになる。

すると、ガーディアンたちが殺到してくるのが感覚でわかる。

「このままじゃ.......」

「いや......待て......あれは確か......ユイこれを使え!」

キリトがカードを取り出す。それは、アスナがキリトに落としたカード、管理者用のシステム・コードだ。

ユイはカードに触れ、コードをコピー。

「コードを転写します!」

ユイが円形の内部に通じる扉に触れると十字の扉が開く。

「これは......!?」

「どうしたんだ、ユイ!?」

「このシステム・コードには、誰かがこのクエストを受けてないと強制的に無効化される仕掛けがしてあります!」

「つまりは.........」

「誰かが残ってないと、中に入っても強制的に戻されるってことか」

扉は開いた.......だが、このクエストに受け続けていないと無効化だって

「......ふざけんなよ!」

強く片手剣と槍を握りしめ、さっきまでいたガーディアンたちの群れを見据える。

「シュウ.......まさか!?」

「出来るだけ早くけりつけろよ。..........俺が死ぬ前に」

「無茶だ!一人でクエストに挑み続けるなんて!?」

「だとしても、アスナまでもう少しで手が届くんだろ!!........なら、早く助けに行けよ」

「........シュウ」

キリトは俺に拳を突き出す。

「絶対に死ぬなよ!」

「あたりめぇだ!」

互いの拳をぶつけ合う。

「ユイ、転送を頼む!!」

「はい、パパ、手を!」

キリトとユイが扉の中へと吸い込まれ、姿を消す。

「さて、それじゃあ.......いきますか!!」

片手剣と槍を持ち、ガーディアンの大群へ切り込んだ。 
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