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八条学園騒動記

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第七百四十五話 清潔な場所その九

「こちらも死刑がね」
「あるんだ」
「そちらでもなのね」
「そうよ、特に黄金の牛の像なんて」
 モーゼの話にあったそれはというのだ。
「出したらね」
「死刑間違いなし」
「そうなのね」
「そうよ、喧嘩売ってるってね」
 イスラエルでは絶対の存在のユダヤ教に対してだ。
「思われるわよ」
「それで死刑だね」
「黄金の牛の像なんて出したら」
「崇めたら」
 そうしたならというのだ。
「死刑もあるから」
「殺人と同じ位かな」
「それ位の重罪?」
「そうした扱いかな」
「ひょっとして」
「そうかもね」
 アンも否定しなかった。
「重罪の中の重罪になってるから」
「あの、同性愛なんてね」
 ウェンディはアンに真顔で話した。
「もう連合だと他の国ではね」
「普通よね」
「同性婚だってね」
 これもというのだ。
「至ってね」
「普通のことよね」
「ええ、そうだから」
「だからイスラエルだから」
 それ故にというのだ。
「違うってことね」
「そういうことよ」
「つくづくユダヤ教って厳しいわね」
「そうでしょ、だから入る人はね」
「ほぼいないのね」
「どうしてもユダヤ教徒の人と結婚したい人でないと」
 そうでなければというのだ。
「入信しないわよ」
「あまりにも厳しくて」
「それでよね」
「そういうのなくて入信したい人なんて」
 ユダヤ教にというのだ。
「連合建国以来殆どね」
「いないよね」
「そうよね」
「それでイスラエル市民になりたい人なんて」 
 それこそというのだ。
「ごくごく稀に出てニュースになるのよ」
「凄い人だって」
「それでなのね」
「私が見ても厳しい教えだから」
 イスラエル人でありユダヤ教徒である自分がというのだ。
「親子丼もチーズバーバーも食べれないし」
「あっ、そうよね」 
 ウェンディも言われて応えた。
「ユダヤ教だとね」
「親子関係にあるものはね」
「一緒に食べられないわね」
「だから鶏肉と卵もね」
「一緒に食べられないのね」
「どっちかが胃の中にある状態だと」
 そうであるならというのだ。
「もう片方はね」
「食べられないわね」
「イスラエル人歯磨きに熱心で」 
 そもそも清潔さにはこだわりがあるのだ。
「糸の歯ブラシで歯と歯の間も磨くわね」
「アンもそうしてるね」
 セドリックが答えた。
「そういえば」
「それは例えば牛乳飲む時に」 
 その時にというのだ、戒律の厳しいユダヤ教でも基本牛乳は飲んでよく当然広く飲まれているのだ。 
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