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八条学園騒動記

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第七百四十四話 シナゴーグその一

                シナゴーグ
 アンはセドリックとウェンディを学園内中等部の外れに案内した、二人はそこにある建物を見て目を丸くさせた。
「あれっ、これって」
「確かね」
「シナゴーグだよね」
「そうよね」
「ええ、そうよ」
 アンはその二人にその通りだと答えた。
「ここはね」
「シナゴーグあったんだね」
「ユダヤ教の施設もね」
「世界中から人が来る学園だけれど」
「こうしたものもあるのね」
「無理に言って造ってもらったのよ」 
 アンは二人に話した。
「当時の理事長さんにね」
「学園のイスラエルの人達が」
「そうなのね」
「ええ、お金は自分達が出すって言って」
「建設費用とか」
「そういうのは」
「そう言ってね」
 それでというのだ。
「建てさせてもらったの」
「そうなんだ」
「そこもイスラエルらしいわね」
「どうしても必要だっていって」
 アンは白いシナゴーグを観つつ話した。
「それでなの」
「そうなんだ、けれど」
 セドリックはそれでもとアンに言った。
「学園の中にシナゴーグがあったなんて」
「思わなかったでしょ」
「全くね」
 アンに表情も出して答えた。
「本当にね」
「そうよね、ここに来るのはね」
「ユダヤ教の人だけだね」
「学園の中にいるイスラエル人か」
「ユダヤ系の人だね」
「だからね」
 それでというのだ。
「皆もね」
「知らないんだね」
「けれどラビの人がいて」
 それでというのだ。
「ちゃんとね」
「働いているんだ」
「ラビの人も」
 ユダヤ教の聖職者もというのだ。
「ちゃんとね。住み込みでね」
「それでだね」
「暮らしていて」
「働いておられるのよ、けれどね」 
 アンは二人にそれでもと話した。
「本当にユダヤ教の人以外にはね」
「知られていないね」
「学園の人にも」
「廃墟だとか思う人すらね」
 それこそというのだ。
「いる位だから」
「いや、廃墟には思えないよ」
 セドリックはそれは否定した。
「人気がないけれど外観は奇麗だから」
「外はそうでも中身はわからないでしょ」
 アンはそのセドリックにこう返した。
「どうだか」
「実際にその目で見ないと」
「だからね」 
 その為にというのだ。 
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