| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七百四十三話 十支族の謎その十一

「やっぱりね」
「人気ないんだ」
「そうなのね」
「ダントツでね」
 連合の中でというのだ。
「そうなのよ」
「それはわかるよ」
 セドリックにしてもだ。
「ユダヤ教だとね」
「どうしてもそうなるわね」
「それが国教だと」
 そうであるならというのだ。
「娯楽もね」
「なくてね」
「それじゃあ観光もね」
「ただ働いて禁欲的に生きて」
 そうしてというのだ。
「それであるかしら」
「ないよね」
「どうにも」
「本当にあらゆる娯楽をね」
「否定するんだ」
「ユダヤ教って」
「テレビゲームだってね」 
 この時代でもあり触れた娯楽でもというのだ。
「もっと言えばボードゲームだって」
「駄目って言うんだ」
「そうなの」
「そうよ、トランプをしても」
 これすらというのだ。
「堕落だって言う人がいるのよ」
「それでお酒もだよね」
「紅茶やコーヒーすらよ」
 セドリックに真顔で答えた。
「もうね」
「駄目って言うんだ」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「レジャー施設だってね」
「堕落だね」
「遊ぶこと自体がね」
「それじゃあだね」
「スポーツはいいけれど」
 アンはそれでもと話した。
「スポーツ選手が遊んでも」
「駄目なんだ」
「お国柄からしてそうなのね」
「お金を無駄遣いすることもね」
「経済回らなくない?」
「浪費は禁物にしても」
「もうあれやこれやと」
 そうした風にというのだ。
「言って」
「それで実際にだね」
「禁止になるのね」
「そうなるお国柄だから」
 それでというのだ。
「観光客も来ないのよ」
「成程ね」
「それは辛いわね」
「というか観光産業は」 
 それはというのだ。
「ないに等しいわよ」
「そうした国も珍しいわね」
 ウェンディはここまで聞いてどうにもという顔で述べた。
「宗教国家はあっても」
「それでこの学園にもあるのよ」
「あるっていうと?」
「イスラエルがね」
 まさに自分達の国がというのだ。
「そうなのよ」
「そうなのね」
「何なら案内するけれど」
 ウェンディだけでなくセドリックにも申し出た。
「どうかしら」
「それじゃあね」
「宜しくお願いするわ」 
 二人も応えた、そうしてだった。 
 アンはセドリックとウェンディを学園内のある場所に案内した、それは二人もクラスの誰もが知らない場所だった。


十支族の謎   完


                    2023・12・9 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧