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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その五十一

「その実はだ」
「全く違いますね」
「そのことは」
「それは口だけのことで」
「その実は、ですね」
「自分のことしか考えておらずだ」
 それでというのだ。
「しかも欲の塊だ」
「左様ですね」
「金や権力、政治的エゴを求めてばかりで」
「それで、ですね」
「その実はですね」
「そうした俗物ですね」
「そうした俗物は他人を利用することしか考えておらず」
 そしてというのだ。
「利用するだけ利用してだ」
「後は捨てますね」
「用済みと思えば」
「その時はですね」
「そうするものだ、そんな輩に利用されてだ」
 そしてというのだ。
「おかしなことを言っていた、そのことがわかればだ」
「反省しますね」
「自分達の愚かさを」
「そしてそれが最高の薬になり」
「彼等は行いをあらためますね」
「そうなる、自分の愚かさを知ればだ」
 そうなればというのだ。
「人は変わるものだ」
「愚かだった自分を恥とし」
「そうしてですね」
「そこから行いも発言もあらためますね」
「そして賢くなりますね」
「人間は最初は白紙だ」
 ここでカミュはこうも言った。
「タブラ=ラサと言うな」
「サルトルの言葉でしたね」
「二十世紀のフランスの哲学者でしたね」
「首相のお国の方でしたね」
「そうだ、とはいっても私は哲学書はこれと言って読まない」
 カミュは政治家だけあり政治の本を読むことを好む、そして歴史の本に文学の本が好きだ。意外にも怪奇ものを愛しかつ恋愛小説については目がなかったりする。そして理系では生物の本をよく読んでいる。
 だがそれでもサルトルについてはこう言った。
「しかし彼の本は代表作は読んだ」
「それで、ですね」
「今言われますね」
「タブラ=ラサと」
「そうだ、人間は最初は何もない」
 生まれたその頃はというのだ。
「そこから全てがはじまるのだ」
「学んでいきますね」
「その白紙の状態から」
「そして身に着けていく」
「そうしたものですね」
「愚かなことを知るとだ」
 そうなればというのだ。
「何が愚かかを知らないとだ」
「それに染まりますね」
「その愚かさに」
「そうなりますね」
「そうだ、愚か者になる」
 そうなってしまうというのだ。 
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