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真剣に私に恋しなさい! ~ 転生者は天下無双な血統種 ~

作者:ラドゥ
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第一話 転生ですか。

 
前書き
とりあえず連投です。暇つぶしにでもどうぞ。 

 




【川神市】



神奈川県の政令指定都市であるこの街は、古くから武士の末裔たちが多く住み、また武術の最高峰と呼ばれる場所の一つである川神院があることから武術家の聖地とも呼ばれる街である。



そんな川神市にあるこじんまりとした一軒家の台所に、その少年の姿はあった。



「~~~♪」



年はおそらくまだ一桁台だろう。浅黒い肌に燃えるような赤い髪を持つその少年は、現在鼻歌を歌いながら台所で今日の朝食となる味噌汁の鍋をゆっくりとかき混ぜていた。

少年は味噌汁がある程度出来上がったのを見計らい、お玉で味噌汁を少量すくい、味見用の小皿によそってから口をつける。


「うん。上出来だな」



味噌汁の味に少年は満足げな笑みを浮かべていたが、壁に掛けてある時計を見るとその表情は焦りの色に変わる。



「やば!もうこんな時間じゃんか!母さん起こさないと…」



そう呟くと、少年は足りない身長を補うために台として使っていた椅子から飛び降りるとこの世界《・・・》での自分の母親を起こすために寝室へと向かっていった。



彼の名は“高《ガオ》小燕《シャオエン》”。



現在は肉体年齢五歳。前世の名前は篠宮燕。そして









転生者である。





















ども。



お久しぶりな人はお久しぶり。初めましての人は初めまして。



前回猫を助けたら車に牽かれてしまった新人オタリーマン篠宮燕だ。



今は“高《ガオ》小燕《シャオエン》”という名前で第二の人生を送っている。



ここまで言えば俺と同じくオタク知識がある者なら察してくれたと思う。



どうやら俺は、本当に前世で読んだネット小説の主人公のように転生というものをしてしまったらしい。



まあ『ネット小説の主人公のように転生』といっても神様には会ってないし、赤ん坊のころから自我あり前世の記憶があったわけではなく、なぜか三歳頃まで成長してやっと前世の記憶を思い出したので、完全にネット小説のような転生とは言い難いが。



(まぁそんなこと別にどうでもいいけどね)



大事なのは俺がこうして新しい人生を送る機会を得ることができたってことだ。



(今度こそ悔いがないように、全力でこの生を全うしなければなぁ)



そんな決意も新たに俺はこの世界での俺の母親が眠っているであろう寝室のドアを開ける。



「母さんもう時間だよ?起きて起きて!」

「う…う~…ん…あとご………じかん」

「五時間!?」



こんな文字通り寝ぼけた事を言っている女性の名前は“高《ガオ》鈴命《リンメイ》”と言い、先ほどもの話に出てきたこの世界での俺の母親だ。



浅黒いが艶やかな肌に綺麗な銀色の髪。そして宝石のような赤い瞳と、絶世の美女とも言っていい容姿をしているのだが、寝間着に着ているユニクロのジャージが全てを台無しにしている。



今世の家の母さんは普段は自慢の母親と言ってもいい俺にはもったいない母親で、美人だし人あたりもいい。



シングルマザーで仕事も忙しいはずなのに家事には手を抜かず、料理もちゃんと(味はどうあれ)作ってくれている。



だが世の中完璧なんて存在しないという事を誰かが言ったと思うが、母さんもその例に漏れずいくつかの欠点があった。



その一つが、自分の見た目に全くと言っていいほど頓着しないということだ。



例えばこの人が使っている化粧品は百円ショップで売られている物でそれ以上の物は使ったことがなく、服も着れればいいだろうとバーゲン品の安物ばかりを着ている。



別に金をケチっているわけではなくただたんにメンドクサいんだそうだ。



(せっかく美人なんだからもっと着飾ればいいのになー)



さすがに仕事場のお店ではちゃんとした服を着ているらしいが。



まあ流行遅れのバーゲン品でも不思議に似合ってるから買う必要がないだけなのかもしれないが。



…まあ今はそんな事はどうでもいい。早く起こさないと母さんが仕事に遅刻してしまう。



「ほら母さん。眠いのはわかるけど起きて起きて。もう朝ご飯できてるから」



ちなみに五歳になってから家事は俺と母さんの交代制になっている。母さんがあまりに忙しそうだったために一人でのんびりとすることに凄まじい罪悪感が湧いたからだ。



これでも前世では大学から一人暮らしだった身。家事は達人級…とは言わないが、一応一通りこなせるからな。



「う…う……ん……く…ふぅっあ~。おふぉようしゃおー…」

「はいおはよう母さん。朝ご飯できたからさっさと顔洗ってきて」

「わかった~…」



俺の言葉に母さんは返事を返しながらのそのそと洗面台へと向かっていった。



「さて。母さんが戻ってくるまでに盛り付けをすまさないと」




















「それじゃあ仕事に行ってくるわねシャオ」

「うん行ってらっしゃい母さん」

「行ってきまーす」



ばたん



母さんが仕事に向かうのを確認した俺はまず洗濯物を片付けようと洗面所へと向かう。



ちなみに母さんは友人ととある居酒屋、いやあれはクラブ?もしくはキャバクラっていうのかな?とにかくそんな物を経営しており、そこの副店長を仕事にしている。



店の名前は『魅惑の園』といい、可愛らしい衣装を着た女性たちに囲まれながらお酒を気持ちよく飲むための店なのだとか。


お酒はもちろんだされる料理も美味しい物ばかりなので、川神市では隠れた人気を誇る店らしい。



俺も一度言ってみたが確かに女性は美人さんばかりだし、料理は美味しいし店の雰囲気もよかったので、人気がでるのも思わず納得してしまうほどいい店だった。……母さんの友人である店長があの独特の容姿でなかったらなお最高だったのだが。



「これで最後っと」



最後の洗濯物を干し終わった俺は思わず手の甲で額に浮かんでいた汗を拭う。



流石に五歳児ボディでは身長的に洗濯物を干すのも一苦労だ。いちいち台を移動させなきゃならないし。



「さて。これからどうするかなぁ」



とりあえず午前中に終わらせなければならない仕事を終えた俺は、これからどうしようか考える。



今日は日曜日。普段なら幼稚園に行っている時間なのだが母さんと違って俺は今日はお休みなのだ。



だから今日一日暇なのだが、生憎と今日は誰とも都合が合わず友達と遊ぶ約束もないので何もすることがない。



テレビを見て時間を潰すのもいいが俺の好きな番組はこの時間にはやっていないので退屈な時間になってしまうだろう。



ひとしきり悩んだ後、俺は一つの考えを思いついた。



「そうだ。図書館に行こう」



実は俺が転生したこの世界は前世と同じように見えて、微妙に違うことも多く、そこら辺を前々から調べてみなければと思っていたのだ。



お昼御飯を作るために一時には母さんが帰ってくるが、幸い図書館の場所は一度母さんに連れてってもらったことがあるので覚えてるし、五歳児にはちと遠い距離だが転生したこの体は転生補正というやつなのか五歳児では考えられないほどの高スペックな身体能力を誇るので、まあなんとか戻って来れるだろ。



まあそんなわけで今日は図書館で過ごすと決めた俺は、筆記用具を母さんに買ってもらったお出かけ用のリュックに詰めて家を後にするのであった。


 
 

 
後書き
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