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真剣に私に恋しなさい! ~ 転生者は天下無双な血統種 ~

作者:ラドゥ
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第二話 図書館ですか。

 
前書き
今回はいきなりですがこの小説でのヒロインの一人が登場です。

いろいろつっこみどころがある回ですが(おい、そこはスルーしてくれるとありがたいです。

それではどうぞ。 

 






「やって来ました川神図書館!」

「図書館内では静かにしてください」

「あ、すみません…」



あまりにもテンションを上げすぎて司書さんに怒られちまった。恥ずかしいぜ…。



しょ、しょうがないだろ!楽勝だと思ったらいつの間にか道を間違えてて通行人の人たちに聞きまくってやっと着いたんだから。嬉しくてテンション上がるのはしょうがないって。



…ま、まあそんなわけでなんとか目的地に着いたところで、この川神図書館。正式名称【川神市中央図書館】についての説明をしていきたいと思う。



この川神図書館は去年できたばかりの新築の図書館で、小説や学術書はもちろん、紙芝居やライトノベルに漫画なんかも入っており、その蔵書数は川神市内のどの図書館よりも上なのだとか。



DVDやCDの貸し出しなんかも行われており、それを試聴できる場所や図書館で借りた本を持ち込める喫茶店などもあり、そのためか創設一年目にして川神市民に高い人気を誇る施設の一つとなっている。



「と。そんなことより早く本を探さないと」



日曜だから予想より人が多い。このままでは席が埋まってしまうだろうしな。



(一応喫茶店という手もあるがそんな金は五歳の俺にはないしね)



というわけで俺は本の物色を始めたのだが、



(これはまた…、凄い広さだなぁ)



前述したように、この川神中央図書館は、川神市内の図書館の中で最大の所蔵量を誇る。



それは理解していたはずだったのだが、図書館内を見回してみると、聞くと見るとでは大違いであるという言葉を実感した。



俺としてはせいぜい前世の私立図書館を大きくした程度の広さかと思っていたのだがこの図書館は軽く見積もって、国会図書館ぐらいの広さはある。



まあ市内最大の所蔵量を誇るというからこのぐらいの広さは必要なのかもしれないが…。



(このぶんだと、こちらの国会図書館はどのくらいの大きさなのかねぇ)



ひょっとしたら某ネズミの王国くらいあったりして。



そんなバカなことを考えながら目当てのこの世界のことを調べられる本を探しに、とりあえず歴史コーナーに行こうと図書館内を探索していると、



「ん?あれってもしかして…」



児童書のコーナーを通りかかったところで見覚えのある本を見かけたのでその本を手にとって確かめる。



「やっぱりこれ『怪傑ホームズ』じゃないか!この世界にもあったのか…」



怪傑ホームズとは前世で俺が子供の頃に学校で流行っていた児童書で、俺もよく読んでいた本でもある。



内容は、あの名探偵ホームズの子孫であり両親と共に普通に生きていた主人公“アリア・ホームズ”が、ある日突然両親を謎の組織に殺され、その真相を明らかにするために相棒役の日本人とイギリス人のハーフである“ギンジ・J・ワトスン”と共に、時には裏の人間、そして時には面の世界の権力者たちとの戦いに身を投じていくという話で、子供ながらに法律なんか知らないぜーと言わんばかりの行動力と、壮大な陰謀。そして痛快なアクションに心躍らせたのを覚えている。



(まさかこの世界にもあるなんてなぁ…。ふむ。今日は歴史の勉強をしようと思っていたが別に切羽詰まってるわけでもなし。久しぶりに読んでみることにしよう)



そう考えた俺は、とりあえずはと初めに手に取った一巻目と、二巻目、三巻目を本棚から取り出し、席に座ってゆっくり読もうと思い移動しようと思ったのだが、



ドン



「きゃ!」

「おわっと!?」



ドサドサ!



ちょうど俺の後ろを通ろうとしていた、俺と同い年くらいの女の子と体がぶつかってしまった。



女の子は、転びはしなかったが驚いたのか、可愛らしい悲鳴を上げて、手に持っていた数冊の本を落としてしまう。



「わ、悪い大丈夫か?」

「あ、うん大丈夫。こっちこそごめんなさい…」



女の子は俺の言葉に逆に謝りながらも落としてしまった本を拾いはじめたので俺もそれを手伝う。



「あ、ありがとう…」

「いや俺のせいだからさ…」



とそこで、俺は女の子が持っていたいた一冊の本に目を留める。



「あれ?指輪の使い魔じゃん。君も読むの?」



指輪の使い魔とは、怪傑ホームズと同じく俺が子供の頃に流行っていた本で、内容はごく普通の一般人だった主人公“平賀キリト”が、ゴミ捨て場から一つの指輪を拾うことから始まり、キリトが拾ったこの指輪は、実はかつて異世界にて名声を欲しいままにした大魔法使い“ルイーズ”を封印した指輪で、うっかりその封印を解いてしまったキリトは、ルイーズを使い魔とし魔法使いとなり、ルイーズの力を狙う敵たちと激闘の日々を送るようになるというもの。うっかりその封印を解いてしまったキリトは、ルイーズを使い魔とし魔法使いとなり、ルイーズの力を狙う敵たちと激闘の日々を送るようになるというもので、ヒロイン兼相棒役であるルイーズの可愛らしさと、魔法使いになったはずなのになぜか相手の魔法を無効化しながらの殴り合いを得意とするキリトのデタラメっぷりが実に爽快だった。



そしてなによりルイーズを筆頭とした魅力的なヒロインたちとの恋愛模様は、児童書にしては生々しく、だがそれが逆によかったらしく、俺が通っていた小学校の図書館ではベスト3に入るほどの人気だったのを覚えている。



女の子は俺の言葉に驚いたような声を上げる。



「お前もって…ひょっとしてあなたも読んだことあるの?」

「ああ、おもしろいよなそれ。俺も読んでたよ」



といっても前世でだが。



そんな俺の言葉に女の子は顔を綻ばせる。



「そうなんだ。…ねえ君はどのキャラが好き?」

「俺?俺は…ゴーシュかな?行動がおもしろいし」

「あははは、確かに」



ゴーシュとはルイーズの指輪を追ってかつてルイーズのいた異世界からやってきた最初の敵役の魔法使いで、最初はいけすかない小物臭溢れるキャラだったが、やがて主人公であるキリトに倒されると和解。主人公の仲間になってからはその間抜けな行動で見事なギャグキャラへと転向(笑)を果たしている。だが主人公が危機に陥ったら命をはってそれを助けるなど男気溢れる行動も起こす人気上位のキャラとなっている。



その後俺はその女の子と指輪の使い魔についてや俺が持っていた怪傑ホームズについて。それからお互いの好きな本についていろいろ話しこんだ。どうやら彼女は本を読むのが好きらしく本の話題で盛り上がれる相手に飢えていたようで、最初のどこか冷めた雰囲気とはうってかわって楽しそうな笑顔を見せてくれる。



とそこで、俺はふと壁に立てかけてある時計を見る。



「あれ?もうお昼だ」

「え?ほんと?」



俺の言葉に女の子もつられて時計を見る。



時計の針が指示していた時間は午後12時。飲食店では一番忙しい時間だ。



女の子は時計を見て本当にお昼の時間になっていたのを確認すると驚いたような顔をする。



「ほんとだ…、全く気付かなかった」

「まあだいぶ話しこんでたからなぁ」



思わず懐かしい思い出を話せるのが嬉しくて夢中になっちまった。



(ん~、もっと話したいけどもう帰らないとな~)



でないと家で母さんが一人さびしく飯を食べることになっちまうし。



そのことを伝えると女の子は「そう…。それならしょうがないね…」と残念そうな顔をする。どうやらこの女の子も俺との会話を楽しく思っていてくれたらしい。



それは嬉しいんだけどそこまで寂しい顔されるとなんか俺が悪いことした気持ちになってくるんだけど……。



内心苦笑しながら俺は彼女を安心させるために口を開く。



「そんな顔しなくても来週またここに来るから。そんときまた話そうぜ?」

「!うん!わかった」

「ああそれじゃ、っと、そういえば名前なんていうんだ?ちなみに俺はガオ・シャオエンっていうんだが」

「ガオ・シャオエン?……変な名前」



ほっとけ。



「産まれが中国だから中国の名前なんだよ、育ちは日本《こっち》だけど。ああ呼び方はシャオエンかシャオでいいぜ?」



言い忘れていたが俺も母さんも人種的には中国人で、俺自身中国で生まれたのだが、俺が産まれてすぐに父親が死んでしまったために、この川神市に友人である店長と一緒に今の店を立ち上げたのだとか。



「それで?お前の名前は結局なんて言うんだ?」



俺のその言葉に、女の子は顔をうっすらと綻ばせながら答えた。









「私の名前は“椎名《しいな》京《みやこ》”。よろしくね?」




これが俺のこの世界での初めての友人である椎名京との初めての出会いだった。

 
 

 
後書き
ということで一人目のヒロインは椎名京さんでした。まあたぶん図書館行くって時点で気づかれた方もいると思いますけどね。

本当は書きなおすときに京をヒロインから降板させて冬馬ファミリールートにでもしようと思ったのですが気づいたら京を登場させてました。…京恐るべし。まあ京好きですからいいですけどね。

ちなみにこの川神図書館は昔ニュースで見たどっかの都会の図書館をモデルにしています。…うろ覚えですけど確かこんな感じだったかと。 
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