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星河の覇皇

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第八十五部第五章 北京宣言その四十三

「決してな」
「低くはなかったですね」
「だが欠点があった」
「軽率で、ですね」
「皇帝がどういったものか理解していなかった」
「そこが問題でしたね」
「それであの様になった」
 ヴェルヘルム二世、彼はというのだ。
「そうなった、皇帝は大統領とは違う」
「中央政府大統領共」
「権威がどうしても存在する」
 皇帝という立場にはというのだ。
「大統領より遥かにな、孤独でもある」
「そのことも大きいですね」
「大統領や企業の経営者と違ってな」
「それで彼もですね」
「帝王学は学んでいてもな」
「皇帝とは違いますね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「皇帝は唯一でだ」
「志尊の位ですね」
「連合の中でもそうだ」
「日本の天皇もエチオピア皇帝も」
「中央政府が治める連合という国の中にあっても」
「特別だ、そしてだ」
 キロモトはさらに話した。
「サハラではな」
「サハラの全土を治めるですね」
「その座となる」
「左様ですね」
「スルタン=カリフだからな」
 サハラの皇帝はというのだ。
「あちらではな」
「スルタンという統治者であり」
「カリフというアッラーの代理人ですね」
「それがサハラの皇帝でだ」
 それでというのだ。
「まさに志尊の地位だ」
「サハラ全土の統治者ですね」
「かつてはオスマン=トルコの皇帝だった」
 そのスルタン=カリフはだ。
「あの国はイスラムの覇者だった」
「紛れもなく」
「だがあの国が今のトルコになった時にな」
「共和制になった時にですね」
「廃された」
 スルタン=カリフつまり皇帝はというのだ。
「そして今までなかったが」
「それがですね」
「復活してな」
「サハラの統治者となりますね」
「そうなる、イスラムの盟主と言ってもいい」
 サハラの皇帝はというのだ。
「スルタン、領主でありな」
「カリフ、アッラーの代理人なので」
「普通の宗教で言うと俗世の権威も宗教の権威もだ」
「両方備えています」
「イスラム、スンニー派はあえて世俗の宗教になっているがな」
 この宗教の特徴の一つである。
「それはな」
「左様ですね」
「聖職者がいない」
「世俗の法学者がいて」
「宗教家の腐敗がない様にしている」
「その為世俗の宗教になっていますね」
「ムハンマドもだ」
 イスラムを開いたこの人物もというのだ。
「預言者ではある」
「最高にして最後の」
「しかし人間だ」
 聖者でも半神でもなくというのだ。 
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