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星河の覇皇

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第八十五部第五章 北京宣言その四十四

「市井に生きて飲み食いをするな」
「そして妻も子もいる」
「人間だ、イスラムは世俗でだ」
「カリフもですね」
「聖人ではない」
 そこは違うというのだ。
「まさに」
「左様ですね、ですから宗教の権威も」
「他の宗教とは違う、しかしな」
「それでもですね」
「やはり宗教の権威はあってな」
「それがカリフですね」
「そのカリフでもあるだけに」 
 宗教上の権威も手中にあってというのだ。
「スルタン=カリフつまり皇帝はな」
「大きいですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「だからな」
「サハラの統治者であり」
「志尊そして志尊ということはな」
「孤独ですね」
「そうなる、しかしな」
「その孤独に耐えねばですね」
「皇帝になれない、皇帝は辛いものだ」
 他の者とは違い常に孤独であってというのだ。
「非常にな」
「そうなのですね」
「経営者とは違う、それは彼もな」
「わかっていますね」
「彼ならな、皇帝は天下に一日はない」
「人類が地球にあった時の言葉ですね」
「その恒星は一つだった」
 人類がまだ太陽系にだけいた時の言葉である。
「太陽だけな、そしてな」
「その太陽こそがですね」
「皇帝だった、イスラムでは太陽より月だが」
「それも同じですね」
「地球にある月は一つだ」
 それだけだというのだ。
「言い換えると天下には一月だ」
「二月はないですね」
「それだけにな」
「孤独ですね」
「そこは経営者とは違う、経営者はな」
「トップでもですね」
「一人ではない、結局は市民だしな」 
 幾ら地位があろうともというのだ。
「そうなのだからな」
「市民ならばですね」
「孤独ではない」
 決してというのだ。
「四兆の市民は孤独か」
「皆同じです」
「連合のな、八条グループ総帥という仕事を離れると」
 即ちプライベートに戻ると、というのだ。
「私人だ」
「それならば」
「自由にな」
「友人も持てますね」
「そこが皇帝とは違う」
 その立場にいる者はというのだ。
「決してな」
「左様ですね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「彼はな」
「幾ら地位があっても」
「皇帝ではなく」
「私人でもある」
「そうなれるからな」
「孤独ではないですね」
「帝王学はトップの学問だが」
 しかしというのだ。 
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