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罵倒

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第二章

「よく一緒にいたから」
「それで、ですか」
「知ってるよ」
「そうですか」
「うん、それでね」
 さらに言うのだった。
「彼は家におかしな人がいてね」
「家族にですか」
「もうこの人がいつも彼を罵っていたらしんだ」
「そうですか」
「人を褒めるどころか一から千まで不平不満ばかりで」
 それでというのだ。
「彼もね」
「罵ってばかりで」
「それでね」 
 そのうえでというのだ。
「部活の顧問もね、凄くね」
「問題があった人で」
「言葉の暴力、パワハラモラハラがね」
 そういったことがというのだ。
「酷かったんだ」
「そうした人でしたか」
「それで失恋したけれど振った相手にもね」
「罵られたんですね」
「兎に角凄く罵られてきたんだ」
 佐竹はというのだ。
「ずっとね」
「お家でも学校でも」
「それでいつも傷付いてきて」
 精神的にというのだ。
「ああしてね」
「嫌いな相手はですか」
「凄くね」
「否定する様になったんですね」
「そうだと思うよ」
「そうですか」
「うん、ただ彼がよかったら」
 山田はここまで話してこうも言った。
「一緒に。三人で飲もうか」
「僕も入れて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「色々お話しようか」
「それじゃあ」
 鬼頭は山田の言葉に頷いた、そしてだった。
 佐竹に山田の話をすると満面の笑顔で言われた。
「山田君があの会社にいるんだ」
「そうなんですよ」
「いや、それは嬉しいね」
 こう言うのだった。
「本当に」
「それで山田さんから今度一緒に飲まないかってお誘いがあるんですが」
「いいね」
 やはり満面の笑みだった。
「それじゃあね、時間を決めて」
「そのうえで、ですね」
「飲もう」
「それじゃあ」
 こうしてだった、三人で飲むことになったが。
 飲む場所になった居酒屋でだ、佐竹は自分から山田に乾杯の後でとても嬉しそうに言った。
「山田君も元気そうで何よりだよ」
「佐竹君もね」
「まさかあの会社にいるなんてね」
「お互い思わなかったね」
「そうだね、じゃあこれからは」
「時々でもね」
「こうして飲もうか」
 自分から言うのだった。 
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