| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

X ーthe another storyー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十三話 幸福その十五

「仲よくね」
「ずっとだな」
「そうしてね」
「それならな」
 確かな声でだ、神威はまた応えた。
「最初からそのつもりだしな」
「それじゃあね。けれどまさかね」
「まさか。どうした」
「ここまでいい結果になんてね」
「戦いがか」
「思わなかったわ、星ちゃんは死んだけれどね」
 それでもというのだ。
「ハッピーエンドね」
「そう言っていいか」
「そう思うわ、最高のハッピーエンドじゃなくても」
 星史郎まで生きたというのだ。
「けれどね」
「それでもか」
「思いも寄らなかった位ね、小鳥ちゃんも死ななかったし」
「死ぬ筈だったのにだな」
「他にも多くの人達がね」
「天の龍も地の龍もか」
「周りの人達も。時鼓さんは避けられなかったけれどね」
 彼女の死はとだ、北都は視線を左斜め下にやって悲しそうに述べた。
「そうだったけれどね」
「あの人は剣を出したからだな」
「けれど鏡護さんが助かったことにはじまって」
 そこから運命が変わってというのだ。
「本当に皆ね」
「生き残ってか」
「居場所も見付けて」
 そうもなってというのだ。
「本当にね」
「よかったか」
「うん、何も決まってないって言ったけれど」
「俺達が変えていってか」
「ここまでよくなったわ、希望は実際にあって」
 そうしてというのだ。
「それでね」
「そのうえでだな」
「今に至ったわ、死んだ人はいても」
 星史郎や時鼓の様な人がというのだ。
「最高と言っていいわ」
「そうした結末になったか」
「奇跡みたいな、いえ」
「奇跡じゃないな」
「皆がそうなる様にしたね」
 その様なというのだ。
「その結果よ」
「そういうことだな」
「意識するしないに関わらずね」
「そうなるな」
「よかったわ、しかし神威君って奇麗な顔してるね」
「今度はそう言うか」
「昴流ちゃんもだけれど」
 弟のことも話した。
「何処か似てるね」
「そうだな、俺もだ」
「そう思うよね」
「年齢は違うが」
 それでもというのだ。
「俺達はな」
「似てるね。私が生きていて小鳥ちゃんがいないなら」
 そうであったならというのだ。
「神威君にコクって」
「そうしてか」
「恋人になっていたかもね」
「そうだったか」
「歳が離れていてもね」
 そうであってもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧