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八条学園騒動記

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第七百三十一話 密林の生きもの達その五

「有能でしかも勇気を備えた」
「敵であって欲しくない者ですね」
「だが敵に回して不足はないともな」
「言える御仁ですね」
「迷信も打破したしな」 
 自分がそうしてみせてというのだ。
「立派な人物だ、そして連合は迷信もだ」
「ありますか」
「人間的な国だ」
 まさにそうした国であってというのだ。
「だから迷信もな」
「存在していますか」
「それぞれの国でな、科学的だが」 
 それと共にというのだ。
「同時にな」
「迷信もですね」
「存在していてな」 
 そうしてというのだ。
「バクの写真もだ」
「枕元に入れますか」
「誰もが見たことがあるな」
 大尉は上等兵に顔を向けて言った。
「悪夢は」
「はい、夢は誰もが見て」
 上等兵もそれはと答えた。
「いい夢ばかりではありません」
「そうだな」
「中には悪夢もです」
 そう呼ばれるものもというのだ。
「私にしましても」
「見たことがあるな」
「正直気分のいいものではありません」
「夢はもう一つの世界とも無意識とも言われる」
 大尉はその夢についてさらに話した。
「そして悪夢なぞだ」
「見ていいものではありません」
「誰もが見たくものだ」
「そうですね」
「だからだ」
「悪夢を見ない為に」
「そうした迷信も存在している」
 そうだというのだ。
「そういうことだ」
「バクと獏を重ねて」
「日本語での言葉は同じだからな」
「そこから連合全体に伝わったのですね」
「バクと言っても色々でな」
 マレーバクそれにアメリカバクを観つつ話した、草食性の彼等はコーナーの中で穏やかに暮らしている。
「真っ黒のクロバク、小さいコビトバク水辺によくいて泳ぎの達者なミズバクとだ」
「色々なバクがいますか」
「星によってはな」
「他の生きものと同じですね」
「それはな、それでだ」
「どのバクの写真もですか」
「使われる、時にはイラストにしてだ」
 描いてというのだ。
「枕元に入れる者もいる」
「写真でなく」
「兎角悪夢はな」
 これはというのだ。
「観たくないものだからな」
「写真それに絵をですか」
「枕の下に入れて寝る迷信がある」
「連合では」
「悪夢を見ない様にする迷信は他にもあるがな」
「それはどの国にもありますね」 
 上等兵は自分達がエウロパの者達であることを隠してこう言った、ここでもそうした配慮を忘れなかったのだ。 
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