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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)

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【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
   【第5節】新暦84年の出来事。



 そして、3月になると、アインハルト(17歳)は高等科を、ヴィヴィオ(15歳)は中等科を、それぞれに卒業しました。
 ヴィヴィオが『教会本部のイクスヴェリアに卒業の報告をしに行く』と言うので、アインハルトも、それに同行します。
 あれから6年。ヴィヴィオは、イクスヴェリアの「眠り続ける本体」に向かっていろいろと語りかけましたが、その横顔はさすがに少し寂しげなものでした。
 その様子を見ていると、アインハルトも何やら切なくなって来ます。
 どうして目を覚ましてはくれないのだろうか。アインハルトもそう思いましたが、こればかりは本人の問題であり、他者にはどうすることもできません。
 二人は、騎士カリムを始めとする関係者各位に挨拶(あいさつ)し、イクスヴェリアの「小さな分身」ともよく遊んでから、帰りました。

 また、この年の3月に、八神はやて(28歳)は正式に「提督」の地位に()いて、有事には「艦隊を組んで他の艦長らを指揮すること」のできる立場となり、これによって管理局での階級も当然に「一等海佐」となりました。
(この昇進は〈エクリプス事件〉の際には、『結果として多数の犠牲者を出した』などの理由により、被災者たちの感情を考慮して見送られていたのです。)


 そして、4月になると、アインハルトとミウラ(17歳)は、管理局に入りました。ミウラは八神提督の推薦で士官学校(全寮制)の陸士コース(二年制)へ、一方、アインハルトは一年制の空士訓練校へと進みます。
(アインハルトも、この頃にはもう相当に飛べるようになっていたので、その後はヴィクトーリアと全く同様に、訓練校を半年の「短期プログラム」で卒業した後、同年の秋には早速、執務官補佐「第一種・甲類」の試験を受けて、これに合格します。)

 一方、ユミナ(17歳)は聖王教会に入ってシスターになり、リオ(15歳)は中卒で故郷のルーフェンに帰って現地の陸士訓練校に入り、ヴィヴィオとコロナはそのままSt.ヒルデ魔法学院の高等科に進学しました。
 また、学校は別ですが、アンナも魔法学校の高等科に進学し、カレルとリエラ(12歳)も、その学校の中等科に進学します。

 なお、この頃から、ミウラは両腕でもブレイカーを扱えるようになり、両脚を使った「抜剣」とは区別して、これを「抜刀」と呼ぶことにしました。
 さすがに脚ほどのパワーは出ませんが、はるかに良く小回りが()きます。
「抜剣」と「抜刀」は、まだ同時には起動できませんでしたが、このスキルがもう一年早く使えるようになっていたら、あるいは、昨年の都市本戦決勝でも、アインハルトに負けてはいなかったのかも知れません。

 また、この年の4月には、ギンガとチンクも揃って本局所属の広域捜査官(尉官待遇)となり、スバルもまた(昨年のうちに「一般キャリア試験」に合格していたので)准尉に昇進し、ティアナはギンガとの約束どおりにメルドゥナを二人目の補佐官に迎えました。

 さらに、同月には、ヴィクトーリア(22歳)も無事に執務官として独立し、エドガー(24歳)とコニィ(18歳)も正式に管理局員となりました。
 ラウ・ルガラート執務官(37歳)にとっては、ヴィクトーリアは通算で「四人目の弟子」ということになります。
【彼女の『事件の現場にまで、執事のエドガーと侍女のコニィを「固有戦力」として同行させる』という「お嬢様スタイル」は、一部で物議を(かも)しましたが、彼女は同年の秋、この二人にも執務官補佐「第一種・乙類」の資格を取らせることで、この問題を抜本的に解決しました。】


 また、その4月の中旬、ミカゲも八神家にほどよく馴染んで来た頃に、八神家一同は全員で高町家を訪れて「地球式に」カナタとツバサの満1歳の誕生日を祝い、なのはとフェイトとヴィヴィオもまた、はやての「提督就任」を改めてお祝いしました。
 公式の「就任パーティー」の際には、とにかく参加人数が多すぎて、あまりゆっくりとはお話しできなかったのです。
 その席で、なのはとフェイトは改めてアギトの無事回復を喜び、はやてもまた、なのはとフェイトとヴィヴィオたちに、ミカゲを正式に紹介しました。

 ひと通りの挨拶が終わると、ミカゲはまずフェイトの目の前に立ち、両腕を大きく左右に拡げて、ニコニコ顔で「何か」を待ち構えます。
 フェイトは思わず念話で、はやてに訊きました。
《ええっと……はやて。これって、何?》
《ああ。ゴメンな、フェイトちゃん。その子は、ちょぉ甘えん坊さんなんよ。その子がそういうポーズを取ったら、優しくハグしてあげたってや。》
《ああ。そういう意味なのね。》
 フェイトは膝をついて、小さなミカゲをそっと抱きしめてあげました。
 すると、ミカゲも大喜びでフェイトに抱きつき、フェイトの胸の谷間に顔をうずめて、そのままぐりぐりと顔を押しつけて来ます。
 ちなみに、フェイトは妊娠と授乳を経てますます立派な胸になっていました。
(えっ! ちょっ、ちょっと……。)
 フェイトも、これには思わず赤面します。

「ミカゲ。そういうのは、ほどほどにしておかねえと相手に嫌われるぞ」
 ヴィータ(大人の姿)にたしなめられると、ミカゲは慌ててフェイトの胸から顔を離しました。早くも幼子(おさなご)のような涙目をして、フェイトの顔を見上げます。
「フェイトさんは、ミカゲのこと、嫌いになっちゃうデスか?(うるうる)」
「いや。あの……ほどほどにしてくれれば、嫌ったりはしないから……ね」
 フェイトの口調はいささか困惑気味でしたが、それでも、ミカゲはまた唐突に満面の笑顔に戻ってこう言いました。
「フェイトさんは、優しくて、柔らかくて、良い匂いのする人デス」
(どこが柔らかいのかは、多分、訊かない方がいいんだろうなあ……。)
「でも、何だか、リンカーコアが怪我をしているみたいデスね」
「解るの!?」

 ミカゲはこっくりとうなずくと、またニコニコ顔で唐突にこんなことを言い出しました。
「この怪我が早く治るように、ミカゲがおまじないをするデスよ!」
《えっ? お、おまじないって?》
《ああ。ゴメンな、フェイトちゃん。なんや、その子、そういうの、好きみたいなんよ。効果も無いやろうけど、取りあえず害も無いはずやから、笑って受けてあげて。》
《まあ……そういうことなら……。》
 フェイトが了承すると、ミカゲは実に神妙な面持ちで、見るからに奇妙な踊りを踊りながら、フェイトの周囲を右回りに三回ぐるぐると回りました。
 その後、ミカゲは、なのはに対しても全く同じことをします。
 また、ヴィヴィオとカナタとツバサも、それぞれ別の理由をつけて、結局は周囲を右回りに三回ぐるぐると踊られてしまいました。
 どうやら、ミカゲは少し変わった子のようです。(笑)

「それにしても、やっぱ、赤ちゃんは可愛(かわえ)えなあ。なんや、私も欲しくなって来たわ」
 はやては、カナタとツバサの「まだかなり危なっかしい、よちよち歩き」を見て、思わずそんな感想を漏らしました。
「でも、はやてちゃんは産休を取ってる暇なんて無いでしょ?」
「問題は、それなんよ。一応、七年前には卵子もかなり多めに取って、凍結保存はしてあるんやけどな」
 当然の話ではありますが、ミッドの医療技術をもってすれば、一度に大量に採卵することも容易な作業であり、その女性の体への負担もほとんどありません。

「七年前って……どこの病院でやったの?」
 なのはとフェイトが利用した例の「局員専用病院」は、開業がまだ五年前のことです。
「ん~。実を言うと、アンナのお父さんは大病院の院長さんでな。あの子が八神道場に(かよ)い出した頃に、お母さんがわざわざ挨拶に来て……何や、ベルカ系っぽい名前の(ひと)やったけど……そのままウチでセールストークを始めたんよ。
『若いうちに元気な卵子を保存しておけば、四十を過ぎてからでも充分にイケます』とか言われてなあ。それで、私も何やその気になってもうたんや。……よぉ考えたら、年齢以前の問題として、私にはそもそも相手がおらんのやけどな」
 はやては、やや自嘲気味に視線を落として悲しげな声を上げました。
(……そうか。八神家の他の皆さんは、減数分裂した細胞や生殖器官なんて持ち合わせてないんだ。)
 なのはも、一拍おいてそれに気がつきます。

 ところで、カナタとツバサはすでに離乳していました。
「二人の授乳シーンとか、私もナマで見たかったなあ。(笑)」
「あなたはまた、そういうエロいことを。(苦笑)」
「アリサちゃんとすずかちゃんなら、まだまだ授乳中だよ。(笑)」
 なのはは冗談めかした口調でしたが、はやては真顔(まがお)でこう返しました。
「そのために地球まで行くというのも、さすがになあ。……まあ、最近は、ヴィータが大人の姿でいてくれるから、新鮮な気持ちで乳もみしとるわ」
 なのはとフェイトは、さすがにちょっと呆れ顔です。
「はやてちゃんは、いつかきっとそれで身を滅ぼすと思うよ」
「乳房なんて、自分にだって、ちゃんと二つあるじゃないの」
「自分で自分の乳もんで、気持ちよがっとったら、変態やないか!」
「やたらと他人(ひと)の乳をもみたがるのは、変態じゃないのかしら?」

 そんなバカ話でひとしきり笑い合ってから、はやても今度は、二人に少し真面目な話をしました。八神家は近いうちに、再び引っ越しをする予定だ、という話です。
「具体的な物件はまだ探してもおらんのやけど、ミウラももう先月から士官学校の寮に入ったことやしな。早ければ今年中にでも、遅くとも来年のうちには、引っ越すつもりでおるんよ」
理由は、ミカゲの破壊活動(苦笑)と、提督昇進による守秘義務強化の必要性でした。実際に、今の家にはもう壁にも床にも幾つもの穴が開いているし、また、「提督としては」今の家ではセキュリティがまるっきり不足しているのです。
「ヴィクターの話を聞く限りでは、昔のジークの破壊活動ほどヒドイものではないんやけど……。まあ、局の側の本音としては、私らを官舎に押し込めて、監視したいんやろうなあ」
 実のところ、「八神はやて提督」は、管理局〈上層部〉の一部の将軍たちからは、かなり本気で危険視されていたのでした。

 また、はやてはヴィヴィオの姿を横目に見ながら思いました。
(私らは、アギトが二年ちょい眠っとっただけでも、こんなにも心配だったんや。冥王陛下が眠りに就いて、もうそろそろ六年になる。ヴィヴィオも顔には出さへんけど、内心ではメッチャ心配しとるんやろうなあ……。)
 実際、そのとおりだったのですが、今のヴィヴィオには、これ以上、もうどうすることもできなかったのです。


 この年の7月上旬、〈マリアージュ事件〉の終了から6年が経ち、主犯「ルネッサ・マグナス」(24歳)は、模範囚として仮出所を認められました。
 しかし、彼女はそのまま逃亡し、故郷のオルセアへと密航してしまいます。

 その頃、ティアナは〈管22ハドマンド〉の「第1首都グリドヴァルカ」で仕事中でした。メルドゥナが補佐官になって最初の仕事でしたが、相当に難航しています。
 ティアナはこの事件のせいで、4月下旬から8月上旬にかけて、グリドヴァルカから少しも動くことができず、結果として、ティアナはルネッサの件には全く関与することができませんでした。
(後に、メルドゥナは『もしかして、私の不手際のせいで?』などと思い悩みましたが、実際には全然そういうレベルの問題ではありませんでした。)

【グリドヴァルカの旧市街で、『三人のサイコパスな魔導師が、半グレ集団やヤクザ組織をも巻き込んで「愉悦系の殺人合戦」と「三つ巴の血みどろの暗闘」を繰り広げた』というこの凄惨な事件は、後に、最後まで「要塞のような自宅」に立てこもって抵抗を続けた魔導犯罪者の名前を取って、「ゾグリモッド事件」と呼ばれることになります。】

 7月末、現地陸士隊の取り調べ室でも、ゾグリモッドは意味不明の供述ばかりを繰り返していました。ティアナは、補佐官の二人とともにモニター越しにその様子を観ていて、思わずゲッソリとなります。

「ダメだわ。『単語の意味』は全部、解るのに、『文章の意味』が……と言うか、こいつが一体何を言っているのかが、ゼンゼン解らない……。(困惑)」
「父からの受け売りですが、犯罪者たちの中には『当たり前の理屈が通用しない狂人』も大勢(おおぜい)いるそうですからねえ。犯罪者の『言葉の意味』については、あまり考えすぎない方が良いんだろうと思いますよ」
(そう言えば、この子の父親も、ゲンヤさんと同じ「陸士隊の部隊長」だったわね。)
 ティアナは、メルドゥナの言葉にそんな感想を(いだ)きながらも、声に出してはこう返しました。
「まあ、確かにそうなんだろうけど……。私、ここでの調書をベースにして、これから『上層部(うえ)に上げる報告書』を書かないといけないのよね」
「あああ。それは、何と言うか……御愁傷様です」
他人事(ひとごと)みたいに言ってんじゃないわよ! アンタも執務官になったら、自分でやらなきゃいけないんだからね。今から練習だと思って、ちょっと手伝いなさい!」
メルドゥナは思わず、ウェンディに「助けを求めるような視線」を送りましたが、ウェンディは念話であっさりとこう返します。
《ああ。あたしは最初から執務官志望じゃないっスから。》
《ええ~~~。》
 メルドゥナの「苦難の道」は、まだ始まったばかりでした。(笑)

 また、この事件の最中(さなか)に、ティアナはふと気がつきました、
 普通の魔導師は、先に陸戦スキルが発現して陸士になって、後から空戦スキルが発現して空士に転向するものなのですが、メルドゥナの場合はその順序が逆だったのです。
 空戦スキルの方が「部分的に」先に発現してしまうというのは、相当に珍しいケースではありますが、前例が無いというほどのことではありません。
 そこで、事件が完全に終了してからのことですが、ティアナはメルドゥナに、『この様子なら、慣性コントロールのスキルもいずれは発現するだろうから、それほど心配しなくても良い』ということを伝えました。

「それから、最初に謝っておくけど、私は決して指導が上手な方じゃないから、私がフェイトさんから受けた指導と同水準の指導は、私の能力では、あなたに与えられそうにないわ。フェイトさんが今、『長期休暇』の最中でなければ良かったのにね」
「いえ。自分は大変よくしていただいていると思っていますから」
 メルドゥナはそう言ってくれましたが、ティアナは元々、どちらかと言えば、言葉よりも行動で語るタイプの人間です。
(これは、私一人ですべて(かか)え込むのは、ちょっと難しいのかも知れない。)
 ティアナは比較的早い段階でそう考えるようになり、これ以降はメルドゥナを鍛えるため、積極的に同僚の執務官など、いろいろな人に頼んでこまめに合同訓練を繰り返すようになりました。
(翌85年9月の合同訓練は、その集大成とでも言うべきものとなります。)


 また、この7月には、エイミィ(35歳)が復職しました。
 ゼメクとベルネ(満1歳あまり)は、正式に実母エイミィの弟夫婦、セブラス(27歳)とレドナ(25歳)の養子になります。
 一方、クロノの使い魔シャルヴィは育児を終えて、満1歳あまりにして早くも「第二の人生」に乗り出すことになったのでした。
 以後、彼女は末永(すえなが)く、クロノの秘書を務めることになります。


 そして、この年も7月の下旬になると、また例年どおりIMCSの地区予選が始まりました。早いもので、今年でもう「第32回大会」になります。
 ナカジマジムからは、引退したアインハルトとミウラとリオに代わって、一卵性双生児のファルガリムザ姉妹(12歳)が初出場し、それなりに健闘しました。
 覇王流を受け継いだアンナ(15歳)も、引退した「アインハルト師匠」の後を継ぎ、初めて都市本戦に進出します。
 また、ヴィヴィオとコロナも、例年どおり都市本戦に出場しました。

 その後、10月の都市本戦で、アンナは惜しくも2回戦負けとなりましたが、ヴィヴィオとコロナ(15歳)は「ベスト8」に残りました。
 ジャニス(18歳)もまた、準決勝にまでは進めませんでしたが、5位から8位までの決定戦で、三度(みたび)、コロナと熱戦を繰り広げ、ついに勝利します。
 一方、ヴィヴィオは準決勝で、リンギアに判定負けとなりました。
 結果としては、ヴィヴィオは3位に、ジャニスは5位に、コロナは7位になります。
 決勝戦では、無所属のテッサーラ・マカレニア(15歳)が、リンギア・ヴリージャス(16歳)を抑え、大差の判定で優勝しました。
【しかし、彼女は以前から何かとコンディションを崩しやすい選手でもあり、翌11月の都市選抜では、西半部の都市本戦優勝者にチャンピオンの座を譲ってしまいます。
 その結果として、この年の世界代表戦は、『ミッドの代表が12年ぶりに初戦で敗退する』という大変に残念な結末を迎えたのでした。】

 また、話は少し前後しますが、この年の8月には前述のとおり、シグナムたち四人の守護騎士に極秘で各々専用の「強化プログラム」がインストールされました。
 入念なシミュレーションで、副作用が無いことは確認されていたのですが……ヴィータだけは、そのプログラムとの「親和性」に若干の問題があったため、身体の側に変更を余儀なくされ、それ以降はずっと「大人の姿」を保持せざるを得ないようになります。
 そして、はやてはこの機会に、守護騎士たち四人の「騎士甲冑のデザイン」にも若干の変更を加えました。
(ヴィータの身長は、はやての158センチ、シグナムの179センチに対して、167センチぐらいを想定しています。)

 なお、〈本局〉技術部のマリエル技官によれば、『四人の「体の組成」は段々と人間の肉体に近づいており、本来の「プログラム集積体」からは、もうかけ離れたモノになりつつあるため、今回のように「プログラムを丸ごとインストールする」などという荒業(あらわざ)ができるのは、おそらく、これが最後の機会だろう』とのことです。
 そんな訳で、以後、ヴィータは「常に」大人の姿でいるようになり、髪も編み込むのを()めました。(←重要)


 また、9月には、ユーノ・スクライア教授(28歳)の著書『古代ベルカ通史の再構築』が出版され、これ以降は、彼の説がそのまま「歴史学会の通説」となりました。

【実のところ、「はじめに」の年表にも出て来た「第一戦乱期→ 第一中間期→ 第二戦乱期→ 第二中間期→ 第三戦乱期」といった用語は、ユーノの造語であり、この本が初出なのです。
 ただし、この時点では、さしものユーノも「第一戦乱期の始まり」を、現実よりもかなり早めに見積もってしまっていました。
(具体的には、現実より六十年ほど(さかのぼ)って、イクスヴェリアが「不老不死の冥王」となった直後から第一戦乱期が始まったものと想定してしまっていました。)
 結果として、これから長い間、第一戦乱期は(第二戦乱期と同様に)『百年以上も続いた』ものと、第三の時代は『丸ごと、第一戦乱期だった』ものと誤解され続けたのです。(←重要)】


 なお、10月には、ルーテシア(19歳)が万全の準備をした上で「捜査官試験」と「一般キャリア試験」を受け、それらに合格しました。
(将来に備えて、かつてのクイントやメガーヌと同様の「捜査官の資格」と「准尉の階級」とを取得しておいた、という形です。)


 
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