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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)

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【はじめに】この作品をお読みいただく前に。
 【その3】次元世界の歴史設定について。(後編)
    (新暦元年以降の年表)

・新暦11年  管理局の調査艦隊が〈辺境領域〉の北東部で、「第72管理外世界ファルメロウに接続する次元航路の中でも最長の航路」の向こう側に、有人世界〈地球〉の存在を確認した。
 →それなりに詳細な基礎調査の後、その世界は〈第97管理外世界〉と命名された。
(地球では、いわゆる「第二次世界大戦」が終わって間もない頃、「昭和22年・西暦1947年」の出来事である。)

【以下、()(ぶん)では、「管理世界・管理外世界・無人世界」をそれぞれ「管・外・無」と略記し、世界の名称には、なるべくこの略号と数字を添えるようにします。例えば、地球であれば〈外97地球〉という表記になります。】

 →なお、その艦隊を率いていたのは、ミゼット・クローベル提督(32歳)だった。
(当時、彼女は「産休明け」だったため、『まずは軽い仕事から』ということで、(がら)にもなく、調査任務になど()いていたのである。)
 また、彼女が乗る旗艦に同乗していた執務官は、彼女の「お気に入り」のテオドール・ダールグリュン(ヴィクトーリアの曽祖父、24歳)だった。
 そして、その艦隊は(通常のマニュアルどおり)その世界の各地に何人もの「潜入調査員」を残して〈本局〉に帰投した。

・新暦12年  地球のさらに向こう側に、新たな無人世界が二つ確認され、それぞれ〈無127パニドゥール〉、〈無128ドルバザウム〉と命名された。

・新暦15年 〈GV事件〉の結果、海鳴市の東隣にある「敷浜(しきはま)市」から、何十人もの日本人がまとまってミッドチルダへ移民し、アラミィ地方の港町ヴィナーロの東側に「地球人街」を築いた。

 →ミゼット・クローベル提督は「自分が発見した世界」(地球)に相応の関心を寄せていたが、この時は、(のち)に〈最初の闇の書事件〉と呼ばれることになる案件で艦隊を率い、テオドール執務官らとともに作戦行動中だったため、彼女は「残念ながら」この〈GV事件〉には全く関与することができなかった。

【ちなみに、事件名の「最初の」は、あくまでも『管理局にとっては、初めての直接遭遇だった』という意味の用語です。どうやら、「闇の書」は、旧暦の時代にも何度か、南方の諸世界で猛威を振るったことがあったようです。】

・新暦21年  〈カラバス連合〉との「三年戦争」が終結した。
 →これ以降、管理局は「幾つもの世界から成る国家連合との全面戦争」を全く経験していない。言い換えれば、この戦争での勝利によって〈次元世界〉における「管理局の覇権」が最終的に確立したのである。

 →「ミゼット・クローベル提督」の名は、管理世界の一般民衆の間では、もっぱら、この戦争における「無敗の英雄」として知られている。
(ただし、最終決戦において〈カラバス連合〉の敗北を決定的なものとしたのは、ラルゴ・キール提督の功績だった。)
 以後、〈次元世界〉の西方に位置する多くの世界が『あの〈カラバス連合〉ですら、管理局には全く歯が立たなかったのだ。我々の力では、到底、(かな)うはずも無い』と考えて旧来の「自主独立路線」を諦め、次々に先祖伝来の「ジェブロン式魔法」とそれを補助する諸々(もろもろ)の質量兵器を放棄して、管理局の軍門に(くだ)ってゆくこととなった。

 →また、これ以降、管理局の次元航行部隊が「戦闘用の艦隊」を組むのは、完全に「有事のみ」となった。その結果、艦隊指揮の権限を持つ「提督」(一佐、もしくは将軍)も、平時には一般の「艦長」(三佐、もしくは二佐)と同じように、自分の(ふね)一隻だけを指揮するようになった。

【無論、有事には、その(ふね)がそのまま「艦隊旗艦」となります。新暦65年にリンディ提督が指揮していた〈アースラ〉も、まさにそうした艦でした。
 なお、あくまでも俗称なのですが、管理局では一般に、こうした「普段から(艦長とは別個に)提督が乗っている(ふね)」のことを、「(その提督の)御座艦(ござぶね)」と表現します。】

・新暦25年頃  「大航海時代」が終了する。
 →この年までに、「現時点で知られている600個あまりの世界」はすべて発見し尽くされた。
(ただし、この段階ではまだ「座標の特定と命名」が終わっただけで、必ずしも「本格的な調査」までは終了していない。)

【この「600個あまり」の内訳は、「管理世界が100個たらず、管理外世界が200個あまり、無人世界および遺失世界が合わせて300個あまり」を想定しています。
 正直なところ、「管理世界の数」はもう少し減らした方が良かったのかも知れませんが……この作品では、取りあえずこの設定で行きます。】

・新暦32年  ミッドの首都クラナガンでは「遷都百五十年祭」が催された。
 →これ以降、従来の市街地の東側に「新市街」が築かれ、やがて「管理局ミッド地上本部」などの官公庁がすべてそちらへ移転した結果、旧来の市街地は「旧市街」と呼ばれるようになった。
(その後、都市空間はさらに東方へと拡張され、70年代の後半には、ついに「冥王イクスヴェリアが眠る海底遺跡」のほぼ真上にも「マリンガーデン」が建設されてしまった。)

・新暦36年  昨年の南方遠征の「事実上の失敗」を受けて、管理局〈上層部〉では、相当な数の将軍たちが引責辞任に追い込まれ、人事が大幅に刷新された。
 →これによって、ミゼット・クローベル提督(57歳、中将)は参謀総長に、レオーネ・フィルス提督(55歳、新たに中将)は法務長官に就任。また、ラルゴ・キール大将(53歳)は上級大将となり、時空管理局の第7代「総代」に就任した。
(ちなみに、「上級大将」は完全に「総代」専用の階級である。)

・新暦38年 〈管40グザンジェス〉に、第一級指定ロストロギア〈ディファイラー〉が出現したが、対応が後手(ごて)に回った結果、『一個の大陸が丸ごと滅び去る』という大惨事になってしまった。

【この事件では、最終的に、あの〈アルカンシェル〉までもが投入されたのですが……このロストロギア〈ディファイラー〉については、また「プロローグ 第8章」などで改めて述べます。】

・新暦39年  アリシア・テスタロッサ(5歳)が死亡した。
 →この「特殊大型駆動炉暴走事故」により、アリシア以外にも何人かの「犠牲者」が出たようだが、詳細は不明である。
 管理局はこの事故の背景に幾つもの重大な法令違反があったものと見做(みな)して、後日、アレクトロ社には「解散命令」を(くだ)し、その「スポンサー」にも一定の処罰を下し、その駆動炉に関するデータも「すべて」押収(おうしゅう)して「特秘事項あつかい」とした。(←重要)

【この作品では、この一件に関しても、やや劇場版寄りの設定を採用します。
 ただし……あの劇場版では、プレシアが「何の落ち度もない、純然たる被害者」として描写されていましたが……この作品では、『プレシアの側にも「若干の」落ち度があり、それ故、彼女は娘アリシアの死に関して、深い自責の念に駆られていた』という設定で行きます。
 なお、プレシアの父母と夫と義理の父母(つまり、アリシアの父親と四人の祖父母たち)は、これ以前にすでに死亡していたものとします。
(この件については、また「第三部」の冒頭でも改めて描写する予定です。)】

・新暦41年  テオドールは、執務官に就任した時点で「嫡子」の座を弟に譲っていたのだが、この年には父親と弟とその一子が(あい)()いで病死してしまったために、54歳でやむなく正式に「ダールグリュン家の第11代目の当主」となった。
(なお、同家の初代当主は、「雷帝ダールグリュン四世」の末子で、初めてミッドチルダに移民した「ヴェンデル・ダールグリュン」である。)

 →これによって、(両立は不可能だったため)テオドールは勤続35年にして「執務官の引退」を余儀なくされた。
 また、同時に執事も代替わりして、これ以降は、グスタフ・ラグレイト(エドガーの父方祖父、当時36歳)が、ダールグリュン本家の執事となった。

・新暦42年  いわゆる〈アルハザード因子〉を組み込んだ人造生命体〈アンリミテッド・デザイア〉の製造が、何十体目かでようやく成功した。
(ただし、その「因子」は(かり)にそういう名前で呼ばれているだけで、実際には、それ自体が「アルハザードの遺産」であると確認された訳では無いらしい。)
 →人間の6歳児のような姿で生まれたその人造生命体は、後に「ジェイル・スカリエッティ」と名づけられ、「三脳髄」が彼のために準備した「名だたる技術者たち」によって英才教育を(ほどこ)された。

・新暦44年  プレシア(38歳)が〈アルトセイム山脈〉の(ふもと)、ミッド南部の辺境パルテリス地方に偽名で土地を購入。さらには、次元航行の可能な大型居館〈時の庭園〉をも偽名で入手して、購入したばかりの土地の中央部にその居館を設置した。
(この時点で、彼女はすでに「まともな精神状態」ではなかったものと推測される。)
 →彼女はそのまま、表向きは「行方不明」となり、(ひと)り「アルハザードへの道」を模索(もさく)しつつ、〈時の庭園〉の違法改造を始めた。

・新暦46年  移民二世のゲンヤ・ナカジマ(17歳)が、親族の反対を押し切って管理局に就職した。
 →後に、彼は自身(みずから)が希望したとおり、生まれ故郷のアラミィ地方からは遠く離れたエルセア地方に配属された。

・新暦48年  ジェイル・スカリエッティ(外見的には12歳児)が、早くも〈プロジェクトF〉の基礎理論を構築し、その直後に事故で(?)死んだ「女性技術者」ドーラ・ザロネア(事実上のジェイルの乳母、29歳)のクローンを早速、造り始めた。

 →ドーラのクローンは、4年後に(15歳ぐらいの姿で)完成したが、この時点では、まだ彼女の「インヒューレント・スキル」(先天固有技能。以下、「IS」と略記)を継承させるのがやっとで、彼女の「具体的な記憶」の転写は全くできなかった。
(このクローンは、後に戦闘機人に改造され、「ウーノ」と呼ばれることになる。)

【英語の「inherent」(生得の、固有の)ならば、実際の発音は「インヒアレント」に近いものになると思うのですが……この作品では、原作に従って「インヒューレント」と表記しておくことにします。】

・新暦51年  クロノ・ハラオウン、生まれる。
 →この年、ミッドでは一連のテロ事件によって株価が大暴落したため、経済は「恐慌」に陥って多くの会社が倒産し、また幾つもの名家が没落した。
(グラシア家の分家も直接に「テロの標的」となり、当時まだ4歳だったカリムの「祖父母と父母と兄と姉と弟」も全員が死亡してしまった。)

 →なお、とある爆破テロ事件の巻き添えで「全く関係が無い」ハラオウン家の自宅までもが炎上し、焼失した。親子三人は外出中で人的な被害は何も無かったが、ハラオウン家は、そこ以外にはミッド地上に土地や家屋を全く所有していなかったため、特例措置により、クロノは以後、三年余に(わた)って次元航行艦の中で育てられることとなった。
(だが、クロノ自身は大人になってから振り返ってみて、こうした「自分の育てられ方」をあまり良いものだとは思わなかったらしい。)

 →また、翌52年になると、ミッド地上本部はテロ対策の一環として、すべての嘱託魔導師らに(あくまでも「テロ関連に限って」の話ではあるが)陸士たちと同等の捜査権と逮捕権を暫定的に認可し、「テロ組織メンバーの特定や身柄の確保」を、さらには「その根拠地の特定や制圧」をも奨励(しょうれい)して、相当な額の成功報酬を約束した。
「人材の活用」と言えば聞こえは良いが、これは事実上の「賞金稼ぎ制度」であり、当初からいろいろな意味で評判の悪い制度だった。

【確かに「一定の成果」は上がったものの、自分の能力を過信して(?)「返り討ち」に()う嘱託魔導師も(あと)を絶たず、結局のところ、この制度はわずか10年で廃止されました。】

 →なお、経済的な影響は周辺の諸世界にも及び、例えば、ヴァイゼンでは、カレドヴルフ・テクニクス社(CW社)が体力の弱った企業を幾つも買収して一気に巨大化した。
 そして、CW社の「敏腕社長」グレイン・サルヴァム(公称、49歳)は、これを機に「グループ全体の会長」に就任し、「表向きは」第一線から退いた。

【また、翌52年には、デヴォルザム第三大陸〈カロエスマール〉の第一州都である「不徳の都」ネイザルでも、元「八伯家」のひとつで大富豪の「ガウザブラ家」が、爆破テロによって多大な人的被害を(こうむ)ったのだと言います。】

・新暦52年3月  ラルゴ・キール総代(69歳)、レオーネ・フィルス法務長官(71歳)、ミゼット・クローベル参謀総長(73歳)の三名が揃って現役を引退した。
 →それぞれに「提督」の資格を持っていたこの三人は、新たに、長らく空席となっていた〈三元老〉の地位に就き、彼等の称号もそれぞれ、武装隊名誉元帥、法務顧問相談役、本局統幕議長、に変更された。
(これもまた、事実上の「引責辞任」である。)

・同52年4月  リナルド・アリオスティ(29歳)が〈三元老〉の「御世話役」に着任した。
(実際には、彼は三脳髄の側から送り込まれた「監視役」で、『三元老と接触した人物について、何か問題があればすぐに三脳髄に報告する』というのが彼の本来の仕事だった。また、彼は、オルランド議長の玄孫(やしゃご)に当たる人物であったと言う。)

【しかしながら、彼はさまざまな紆余曲折(うよきょくせつ)(のち)、「(ひそ)かに」三脳髄を裏切り、ミゼットたち三元老の側につくことになります。】

 →同じ頃、スカリエッティの許では、ウーノがあまりに優秀すぎて、かつての「名だたる技術者たち」もほぼ「用済み」となり、以後、彼等は「下働き」を余儀なくされることとなった。
(そして、58年には、正式に「無用の存在」として「三脳髄」の許へと送り返された。)

・新暦53年3月  スカリエッティからの呼びかけに応じて、彼の(もと)に、三人の「極めて優秀な女性技術者」が(つど)った。
 →スカリエッティは他の計画(戦闘機人計画など)が本格的に忙しくなって来たため、彼自身が基礎理論を構築した〈プロジェクトF〉の完成を、彼女たち三人の手に委ねた。
(また、「三脳髄」はこの時点ですでに〈プロジェクトF〉への関心を失っていたのか、その計画への資金の投入を打ち切っていた。)

 →以後、プレシア・テスタロッサ(47歳。ベルカ系ミッド人)と、ヴァルブロエス・レニプライナ(36歳。マグゼレナ人なので「ヴァルブロエス」の方が苗字。通称、レニィ)と、カウラ・ゼレミード(32歳。やはり、ベルカ系ミッド人)の三人が、協同で〈プロジェクトF〉の研究を続けることになった。

【プレシアにとっては、この時点ですでに「アリシアの永眠」から14年。〈時の庭園〉の購入から数えても、()や9年の歳月が流れ去っています。
 プレシアは、「アルハザードへの道」を探求する作業が完全に暗礁に乗り上げてしまった結果、「最善の策」(アリシア自身の復活)を一旦、脇に置いて、「次善の策」(アリシアの記憶を完璧に転写したクローンの作製)に乗り出した、という訳です。
 なお、この作品に「リニス」は登場しないのですが、背景としては、『アリシアが永眠した後、プレシアは「すぐに」彼女が飼っていた山猫を素体として「使い魔」のリニスを造り、「眠り続けるアリシア」の世話をさせていた。そして、自分が〈時の庭園〉を離れざるを得なくなった「この時点」で、リニスには留守居(るすい)(やく)を命じて、自分が戻るまでの間、「アリシアの肉体」を正しく維持管理するよう、また、それを邪魔する者や〈時の庭園〉への侵入を試みる者は確実に排除するよう、彼女に厳命を(くだ)していた』という設定で行きます。】

・新暦54年11月  クライド・ハラオウン(28歳)が、局にとっては「五回目の直接遭遇」となる〈闇の書事件〉で殉職した。

【クライドやリンディの年齢も原作の設定とは微妙に食い違っていますが、これもまた悪しからず御了承ください。なお、その件に関して、詳しくは「キャラ設定2」を御参照ください。】

・新暦55年1月  クロノ(4歳)は「義理の大叔父」であるニドルス艦長(45歳)の許に預けられ、以後、六年余に(わた)り、彼と彼の使い魔ジェルディスによって鍛え上げられた。
 →リンディ(28歳)は、その六年の間に艦長としての実績を積み、クロノが10歳になって管理局に入ったのと同じ時期に、34歳の若さで提督となった。

・同55年8月  嘱託魔導師(賞金稼ぎ)のエリーゼ・エスクラーナ(26歳で、一児の母)が、ミッド地上のゲランダン地方で、ついに「スカリエッティの研究所」の所在を突き止めたが、一か月前に始動したばかりの「トーレ」によって、その場であっさりと始末されてしまった。
 →「銀の髪のエリーゼ」はドーラ・ザロネアと同様に「ISホルダー」(先天固有技能の保有者)だったため、その死体は部分的に保存され、そこから造られた改造クローンは、後に「チンク」と呼ばれることになった。

・新暦56年 〈外97地球〉の海鳴市では、なのはやはやてたちが生まれる。
 →同年、〈無81ナバルジェス〉の「スクライア一族のキャンプ地」では、ユーノが生まれる。
(ユーノの父親はその時点ですでに死亡しており、彼の母親「アディ・モナス」もまた、58年の8月には死亡してしまったため、ユーノは以後、一族の「長老」ハドロと、その従者ガウルゥの手によって育てられたのだと言う。)

・新暦56年と57年  IMCSの第4回大会と第5回大会が(もよお)された。
 →ミッド〈中央部〉都市本戦の決勝戦は、2年続けて同じ対戦カードとなった。結果としては、56年にはクイント(エルセア出身で、当時15歳)の方が優勝し、57年にはメガーヌ(メブレムザ出身で、当時17歳)の方が優勝したが、その内容はどちらも「僅差の判定勝ち」だった。
(なお、77年にジークリンデによって破られるまでの間、クイントの「15歳での優勝」は、ずっとIMCSの「ミッド〈中央〉の都市本戦」における「最年少記録」だった。)

 →翌58年の春に、二人は高等科を卒業し、管理局に入って「特別待遇」の陸士となった。その後、60年には早くもゼスト・グランガイツの率いる「特殊部隊」に配属され、やがて二人そろって同部隊の「副長格」となった。
(ちなみに、メガーヌとクイントは58年の入局の時点で、管理局の側に相当数の「細胞」を採取されていたものと思われる。)

【なお、クイント・パリアーニは61年に20歳で「かなり年上の」ゲンヤ・ナカジマ(32歳)と、また、メガーヌ・ディガルヴィも63年には23歳で「クラムディン地方における良家の一人息子」セルジオ・アルピーノ(26歳)と結婚しました。
 メガーヌも「一人娘」で、生まれた頃からずっと「両親と三人きり」の生活を続けていたのですが、彼女の両親(ディガルヴィ夫妻)は元々「在宅」の(どこへ引っ越しても続けられる種類の)仕事をしていました。
 そこで、セルジオの両親(寂しがり屋のアルピーノ夫妻)は『どうせ、部屋など幾らでも余っているのですから、ゆくゆくは孫たちのためにもなると思って』と「大変に強く」ディガルヴィ夫妻を誘い……夫妻もついには断り切れなくなって、メガーヌの嫁入りとともに十六年ほど住んでいた家も売り払って、娘とともに(メブレムザ地方の北隣にある)クラムディン地方の「アルピーノ家のお屋敷」へと引っ越しました。
 そして、翌々年(65年)の春には、そのお屋敷でルーテシアが生まれたのでした。】

・新暦57年夏  ヴェロッサ・アコース(6歳)が、カリム・グラシア(10歳)の養父である騎士バルベリオ(42歳)に引き取られ、その「(やしな)い子」となった。
(つまり、カリムから見れば、「義理の弟」になったのである。)

・新暦57年秋  テオドール(70歳)が、嫡子ベルンハルト(48歳)に家督を譲って引退した。
 →テオドールは、この時点で「ダールグリュン本家の邸宅」を離れ、(あくまでも、その「本家の邸宅」と比べれば、の話だが)随分と()ぶりで質素な「別邸」へと移り住んだ。
(この別邸は、彼が嫡子の座を弟に譲って執務官に就任した際に、彼個人の所有物件として建てられたものだったが、テオドールの妻は、息子に対して「にらみ」を()かせるために(?)そのまま本家の邸宅に住み続けたのだと言う。)
 グスタフ(52歳)もまた、早々と嫡子(エドガーの父方伯父、30歳)に家督を譲って引退し、本家の執事をその嫡子に任せて、妻マーヤとともに「別邸」に移り住み、引き続き、テオドールの身の(まわ)りのお世話などを(つと)めた。

・新暦58年3月  五年の歳月を経て〈プロジェクトF〉が完成し、スカリエッティはその報酬として、三人の女性技術者にこの違法技術の「利用権」を無制限に認めた。
 →その一方で、スカリエッティは「自分の研究所で下働きを続けていた、かつての名だたる技術者たち」を、もはや「無用の存在」として「三脳髄」の許へと送り返したのだが、その際の「人員の移動」が原因で、嘱託魔導師(賞金稼ぎ)のジェナ・スタイロン(22歳)にも、研究所の所在を()ぎつけられてしまった。
 後日、「狂犬のジェナ」は、ドゥーエによって無事に始末されたが、彼女もまた「ISホルダー」だったため、その死体は部分的に保存され、そこから造られた改造クローンは、後に「セッテ」と呼ばれることになった。

 →その後、プレシア・テスタロッサ(52歳)は〈時の庭園〉に戻り、それから三年余の歳月をかけて「アリシアのクローン(5歳児相当)」を作製したが、肝心の記憶転写は「何故か」上手く行かなかった。

 →一方、ヴァルブロエス・レニプライナ(41歳)は、実は、犯罪組織〈永遠の夜明け〉の幹部でもあり、また、首領ドラクレオスの義妹(妻の末妹)でもあった。
 彼女が戻った後、その組織は七年前に夭折(ようせつ)した「首領の子供たち」の記憶転写クローンを造るとともに、資金調達の一環として幾つもの世界で「一人息子を亡くした富豪」に、この違法技術で造った「その子供のクローン」を法外な価格で売りつけていった。
(時には、『富豪の「一人息子」を病気や事故に見せかけて殺した上で、その富豪に「その子供のクローン」を売りつける』などという「鬼畜の所業」すら(おこ)なっていたらしい。確かに、今時(いまどき)は『誘拐(ゆうかい)して身代金(みのしろきん)をせしめる』よりも、むしろ「リスクの少ない稼ぎ方」ではあるだろう。)

 →また、カウラ・ゼレミード(37歳)は、個人的にスカリエッティに心酔していたため、研究所への残留を望んだが、ウーノから丁重に拒否された。
 だが、後日、彼女は唐突に「謎のスポンサー」(実は、三脳髄)から、ドーブリス地方に新たな研究施設を与えられ、彼女と同様に「スカリエッティの研究所」から追い出された老技術者たちとともに、そこで『素体がまだ幼いうちに、戦闘機人に改造する』という「非常に実験的な研究」を始めた。
 まずは、スポンサー側から提供された「幾つかの候補」の中から「そういう素体として最適」と思われるゲノムの細胞を選び出したのだが、それが「たまたま」クイントの細胞だった。
 そこで、彼等はクイントのクローンを(年齢にわざと少し差をつけて)二つ造り、『実験的に、幼児の体を機械化する』という「鬼畜の所業」に手を染めてしまった。
(三脳髄の側の思惑としては、「スカリエッティの研究所に、不測の事態が生じた場合」に対する備えとして、「予備の施設」を用意しておいたのである。研究の内容がスカリエッティとは微妙に異なるのも、『双方で補い合うことができれば、なお良い』と考えてのことであった。)

【なお、この作品では、『グリフィスとシャーリーは、この58年の生まれで、StrikerSの時点では17歳。アルトとルキノは翌59年の生まれで、StrikerSの時点では(ティアナと同じく)16歳。四人とも初等科を卒業後、12歳ですぐに管理局員になった。
 また、ルキノ・リリエは80年に21歳で、グリフィス・ロウラン(22歳)と結婚。アルト・クラエッタも83年に24歳で、ボーレン・ブラッソネア三等陸尉(27歳)と結婚した』という設定で行きます。】

・新暦60年6月  高名な考古学者のヴァンデイン夫妻が、某無人世界でジェブロン帝国末期の遺跡から、エクリプスウイルスの「原初の(たね)」とその「不完全な制御システム」を発掘した。
 →夫妻の一人息子ハーディス(当時、13歳)は、原初の(たね)からの直接感染によって「天啓」を受け、自分の両親を生贄(いけにえ)に捧げることで「莫大な知識と能力」を得た。
 成人後、彼は会社を(おこ)して資金を()め、当時の不完全な制御システムを最新鋭の技術で再現して、ディバイダーやリアクターを製造した。

【なお、この作品では、『本来、エクリプスウイルスは「先史ルヴェラ文明」の負の遺産であり、その不完全な制御システムは、後に「ジェブロン帝国」が古代ベルカの魔導技術を応用して造ったモノだったが、帝国の滅亡後、そうした技術はウイルスそれ自体とともに長らく失われていた』という設定で行きます。】

・新暦62年3月  ミッド地上本部が「賞金稼ぎ制度」を正式に廃止する。

 →同じ頃、『自分の命がもう長くはない』と(さと)ったプレシアは、「クローンの出来の悪さ」に絶望した後、やはり「最善の策」を実現するため、改めて「アルハザードへの道」を探求し始めた。
 そして、「出来の悪いクローン」であるフェイトは、そのための道具として利用することにして、彼女の教育をリニスに一任した。
(記憶転写クローンを「きちんと」作製しようと思うと、どう頑張っても三年以上かかるのだが、プレシアは『自分の命はよく()って、あと三年あまりだ』と気づいてしまったのである。)

・同62年6月  管理局は新暦40年代の後半から「犯罪者らが違法に住み着くこと」などを未然に防ぐため、すべての無人世界を改めて順番に詳しく調査し直していたのだが、その流れで、新暦12年に「発見」だけはされていた〈無128ドルバザウム〉も、この年にようやく軌道上から全表面をスキャンされ、6月には「一個の集落の遺跡」が発見された。

・同62年9月  この頃に、ドゥーエは変装して聖王教会に潜入した。
(クアットロの始動から、丸1年後のことである。)
 →数年後、ドゥーエは「聖遺物」に付着していた「聖王オリヴィエの細胞」を幾つか手に入れた上で、ジェイル・スカリエッティの(もと)に帰った。

・新暦63年4月  クロノ(12歳)が管理局史上、最年少で執務官に就任した。
 →後に「炎の英雄」と呼び(たた)えられることになるラウ・ルガラート(16歳)も、この年に執務官に就任。クロノとは「同期生」として親友になった。
【原作の設定とは微妙に時期がズレておりますが、悪しからず御了承ください。】

・同63年5月  はやて(7歳)の両親が交通事故で即死した。
 →はやての母、(かおる)(35歳)が産科で定期検診を受けた帰り道での事故だった。この事故さえ無ければ、この年の8月には、はやての妹「なつみ」が生まれていたはずである。(←重要)

 →後に、はやての大叔父(亡き祖父の弟)に当たる人物が法律上の「未成年後見人」になるが、彼はその直後に、自分の妻との間に「熟年離婚」などの問題を(かか)え込んでしまったため、実際には、孫姪(まごめい)のはやてに対して「後見人らしいこと」は何ひとつできなかった。
(なお、ミッドでは、この頃、アルフがフェイトの「使い魔」となった。)

・新暦64年5月  クイント・ナカジマ(23歳)が、ドーブリス地方でゼスト隊に制圧された直後に「自爆」した違法研究施設から、改造済みの女児二人を救出し、自分のクローンだとは気づかないままに彼女らを養女として引き取った。
 →クイントから『苗字に合う名前を』と頼まれて、ゲンヤは6歳児の方をギンガ(銀河)と、4歳児の方をスバル(昴)と名づけた。

【なお、この自爆により、カウラ・ゼレミード(43歳)を始めとする技術者たちは全員が間違いなく死亡しました。もちろん、『ゼスト隊はもう止められない』と悟った三脳髄が「口封じ」のために遠隔操作でこの施設を爆破したのです。
 しかし、彼等は『せっかく造った実験体だ。無事に生きているのであれば、その後の経過も一応は確認してゆきたい』と考えて、クイントの『改造済みの女児を養女にしたい』という「いささか無理のある要求」をそのまま認めることにしました。
(おそらく、もうひとつには、『自分たちの側でも、スカリエッティの知らない情報を、より多く持っておきたい』という欲求があったのでしょう。)
 以後、ギンガとスバルは『体の成長に合わせて毎年のように機械の部品を交換してゆく』という「相当に手間と費用のかかる作業」をずっと続けて行くことになる訳ですが、その費用をすべて管理局が負担していたのも、もちろん、単なる「人道的な配慮」などではなく、実際には、三脳髄の意向によるものでした。】

・同64年8月  はやて(8歳)がいよいよ「車椅子」の必要な体となった。
 →二学期からは、事実上、小学校を休学することになった。

・同64年10月  リニスが〈バルディッシュ〉を残して消滅した。享年25歳。

【これ以降は、この作品の「プロローグ」を御覧ください。それでは、仕切り直して「第二稿」の始まりです。】





 次回予告:【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
      その、おおよその目次。


 【第1章】無印とA’sの補完、および、後日譚。
  【本文1】新暦65年から73年までの出来事。
  【キャラ設定1】ニドルス・ラッカード。
  【背景設定1】暦法や言語などについて。

 【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
  【本文2】新暦74年から77年までの出来事。
  【キャラ設定2】リンディ・ハラオウン。
  【背景設定2】ミッドの歴史と地理について。

 【第3章】SSXの補完、および、後日譚。
  【本文3】新暦78年の出来事。
  【キャラ設定3】冥王イクスヴェリア。
  【背景設定3】管理局の歴史とその諸制度について。

 【第4章】Vividの補完、および、後日譚。
  【本文4】新暦79年と80年の出来事。
  【キャラ設定4】ヴィクトーリア・ダールグリュン。
  【背景設定4】主要な管理世界の特徴について。

 【第5章】エクリプス事件の年のあれこれ。
  【本文5】新暦81年の出来事。
  【キャラ設定5】アンナとリグロマ。
  【背景設定5】宇宙の成り立ちと魔法の原理について。

 【第6章】なのはとフェイト、結婚後の一連の流れ。
  【本文6】新暦82年から84年までの出来事。
  【キャラ設定6】ブラウロニアとミカゲ。
  【背景設定6】次元航路と次元世界の海図について。

 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
  【本文7】新暦85年の出来事。
  【キャラ設定7】メルドゥナ・シェンドリールとその家族。
  【背景設定7】ノーヴェ・ナカジマとその姉妹たちについて。

 【第8章】なのはとフェイト、復職後の一連の流れ。
  【本文8】新暦86年から88年までの出来事。
  【キャラ設定8】ヴァラムディとフェルガン。
  【背景設定8】第14管理世界シガルディスについて。

 【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
  【本文9】新暦89年の出来事。
  【キャラ設定9】ルーテシア・アルピーノ。
  【背景設定9】第15管理世界デヴォルザムについて。

 【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
  【本文10】新暦90年から94年までの出来事。
  【キャラ設定10】エリオとキャロ。
  【背景設定10】古代ベルカの霊魂観と聖王教会の教義について。


 上記のとおり、あくまでも「プロローグに限って」の話ですが、『各章の本文の後には、必ずひとつずつ「キャラ設定」と「背景設定」をつける』という形式で行きたいと思います。
 また、実際には、各章ともに、もっと幾つもの「節」に分けた上で、「毎日」一節ずつ分割して掲載してゆくことになるだろうと思います。これもまた、あらかじめ御了承ください。
(短すぎても面白くないでしょうし、長すぎても読みづらくなってしまうでしょうから、各節ともなるべく「5千字から1万5千字」ぐらいの間に収まるように努力したいと思います。)

 なお、物語としての「内容量」があまりにも膨大なため、すべての内容を克明に描写することは(少なくとも、私の力量では)不可能です。
 プロローグでは、随所で「あらすじ」のような大雑把な語り口になってしまうだろうと思いますが、その点に関しても、どうぞ御容赦ください。
 描写不足の箇所なども多々あるかとは思いますが、本当に解らない点がありましたら、お気軽にご質問などいただければ幸いです。



 
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