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とある3年4組の卑怯者

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125 集結

 
前書き
 5組の榎像と新林に拉致された堀は暴行を受ける事になってしまう。そしてみどりは助けてくれる人を探しに西原に助けを求め、さらに偶然再会したまる子、たまえ、リリィにも助けを請うのだった!! 

 
 堀が集団で暴行される。さらには栄張や阪手まで表れて殴られ、蹴らた。
(誰か・・・、助けて・・・!!)
 その時、遠くから一人の声がした。
「オイ、何してンだ!?」
「お、お前は平井・・・!」
 栄張達はぞっとした。
「テメェら、そいつァウチのクラスの堀じゃねェか!随分と卑怯な事シテんじゃねェかァ!?オイ!!」
 平井が指をボキボキ鳴らした。その時、倉山達3組の面子達、尾久里や池島、西原らなどが呼んだ1組の麹江、2組の豊崎、4組の東山や狭間など、5組の廣瀬、石内など多くの江尻小の三年生達が現れた。
「お前ら、いい加減にしろ!」
 倉山が怒鳴った。平井が新林の腕を掴み、殴る。そして小倉や熊谷、栄張に寄って一発ずつ殴った。倉山達も近づいて小倉達を遠ざけた。
「お前ら、先生と親に言い付けるからな!覚悟しとけよ!!」
 麹江はそう吐くと、堀の体を起こした。
「堀・・・」
 大丈夫かい?とは聞かなくても堀の体は無惨な状態だった。顔は出血し、痣だらけだった。
「麹江、家まで連れていってあげよう」
 倉山と麹江は堀を支えた。
「皆、ありがとう!帰っていいよ!」
 倉山は増援に来た皆を帰らせた。堀には二人の他、西原や泉野、矢部が付き添った。

「堀さん!堀さーん!!」
 みどりはまる子、たまえ、そしてリリィと共に堀を探していた。そして暫くして、ある人影が目に入った。堀が倉山と麹江に支えられている。その後ろから西原、泉野、矢部が付き添っていた。
「あ、堀さん!!」
 みどりは堀にの元へと駆けた。
「堀さん、ごめんなさい、遅くなってしまって!助けを呼びに行っていたんです!!」
「吉川さん・・・。いいのよ、心配してくれてありがとう・・・」
「あ、倉山さん、麹江さん、皆さん、堀さんを助けてくれてありがとうございます!」
 みどりは泣きながら感謝した。
「堀さん、大丈夫!?」
「あら、まるちゃん、たまちゃん、久しぶり・・・」
(この子がみどりちゃんの友達?すごい美人・・・)
 リリィは堀の顔を見た。堀もリリィの顔を見た。
(この子、外国人・・・?)
「あ、堀さん。ウチのクラスメイトのリリィだよ。お父さんがイギリス人なんだって」
 まる子がリリィを堀に紹介した。
「そう、宜しく・・・」
「君達は?」
 倉山が聞いた。
「私のおじいちゃんの友達の孫のまる子さんとそのお友達です」
 みどりが説明した。
「とにかく俺達は堀を家まで送る事にするよ」
 麹江がそう言うと、皆堀の家まで着いていった。

 堀の家に到着すると、堀の母が娘の惨い姿を見て風呂に入れ、傷の手当てを処置した。応急処置はみどり達も手伝った。倉山達は堀の母親に事情を話した。堀は痛めた体を自分の部屋で休ませた。
「堀さん・・・」
「皆、ありがとう、あ、そうだ、藤木君が、藤木君がスケート場で待ってるんだった・・・!!」
「わ、私が呼んできます!」
 みどりは堀の家を出ていった。リリィは藤木の名前を聞いて驚いた。
「藤木君を知ってるの?」
「ええ、スケート場で会った事があるの」
 リリィの質問に堀は答えた。
(いつ知り合ったのかしら・・・?)

 藤木は待ちくたびれていた。
(堀さんとみどりちゃん、遅いなあ・・・)
 その時、藤木を呼ぶ声が聞こえ、振り返るとみどりだった。
「みどりちゃん、遅かったね」
「すみません。それより大変です!堀さんが私の学校の人から乱暴されたんです!来て下さい!!」
「な、なんだって!?」
 藤木はみどりに連れられて堀の家へと急いだ。そして堀の家へと着いた、
「堀さん!!」
 藤木が彼女の部屋へと入った。そこにはまる子やたまえ、リリィもいて驚いた。
「リリィ、さくら、穂波!君達もいたのかい!?」
「アタシ達はみどりちゃんに呼ばれてね・・・」
「藤木君・・・、ごめんね、スケートの約束、守れなくて・・・」
「いや、こっちこそ君が酷い目に遭わされてるって気づかなくてごめんよ・・・。僕は本当に最低だね・・・」
「ううん、そんな事ないわ。私、藤木君とまた会えて嬉しかったわ・・・。そうだ、これを伝えたかったの。私の転校前の学校に、藤木君みたいにスケートが得意な子がいてね、その子も関東大会で金賞獲って全国大会へ出るの。名前は桂川美葡っていうの。もし会ったらよろしく伝えといて・・・」
「うん、わかったよ。堀さん、また別の日に一緒に滑ろうよ。今日は休んだほうがいいよ・・・。それじゃあ、僕は失礼するよ」
「藤木君、全国大会、頑張ってね・・・」
 藤木はリリィ達と帰った。途中、リリィは藤木に質問する。
「藤木君、あの子とどういう知り合いなの?」
「堀さんかい?彼女は僕の恩人なんだ。前に不幸の手紙で皆から嫌われてた時、僕を慰め、それで見返すために大会に出る事を勧めたのも堀さんなんだ・・・」
「そうだったの・・・」
 リリィは一瞬藤木が自分と笹山以外に鼻を伸ばしているのかと嫉妬しそうになったが、勘違いだと思って安堵した。藤木はみどりが自分を好いているが自分は好みでない事をリリィに言おうと思ったが、まる子やたまえがいるとみどりにそれを報告して彼女を泣かせるかもしれないと思い、また別の機会に決めた。それよりも堀がそのような辛い目に遭っていたというのになぜ自分が気付く事はできなかったのか。自分はふと最低な男子だなと思ってしまうのだった。

 堀へのいじめや暴力は学校中で問題となり、小倉や熊谷などいじめを行った者は親に知られて罰せられた。保護者もそろった会議となり、加害者の親の謝罪の嵐となった。しかし、堀の心の傷は大きく、以降もいじめの加害者の姿を見る度に恐怖を思い出し、体が震え、息が荒くなってしまうのだった。 
 

 
後書き
次回:「怨念(うらみ)
 数々の迷惑行為で学校側から児童相談所通い、自宅での謹慎などの制裁を受けた堀内は学校への怨みが募っていた。外出している時に彼が出会ったのは・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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