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私の 辛かった気持ちもわかってよー

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5-7

 西田先輩、多田先輩、麗香、美湖、こころとみく美も1次予選を突破していた。そして、ダブルスの西田先輩とみく美のペァも。

 だけど、中間考査が終わって、又、私は罵声を浴びせられながらコートに居た。

「だからー レシーブの時、バックスイングが小さくなってきてるんだってぇー 打ち切れて無いじゃぁ無い! 何回も言わすんじゃぁないわよー 手で捏ねてるだけやんかー ヤル気無いんだったら やめちまえー!」

 何時ものことなんだけど・・・なんで、こんなに言われなきゃーなんないのよー と、涙が浮かんでくるのだ。以前は、お前の喉元に喰らいついてやるとからと、誓っていたから我慢できたんだけど、今は、失せてしまっているから、私も、自信失くして、グラついていた。

 2次予選が始まって、個人戦の1回戦で織部部長と美湖が当たっていて、美湖は敗退してしまった。麗香とこころも敗退で、それに、多田先輩は2回戦で、みく美も璃々香先輩と当たってしまって、敗退。私は、順調に準々決勝まで残ってきたのだけど、対戦相手は織部部長だった。

「山葵 負けないわよー あなたの手の内は よぉーく 知ってるんだからーネ」

 私は、サーブの時は素直に打つことにしていった。リードを許していて、だけど、途中からレシーブの時は前に出て、ダイレクトで大きく弓なりにジャンプして斜め上から叩きつけるようにしながら、身体を捻りながらフォロースルーを・・・ボールがドライブがかかったようになって、はずんだ後、大きく織部先輩の胸元に・・。璃々香先輩から仕込まれた打ち方なのだ。その勢いのまま、私はマッチポイントを迎えて、その時、初めて身体を大きく弓なりに反らして、私の得意のサーブを繰り出した。決まったー。

「山葵 お手上げよ 知らない間に、色んな事が出来るようになっていたのネ 準決勝も勝ち進んでネ」

 だけど、準決勝の相手は、学館のエースと言われている人。衣笠響《きぬがさひびき》。近畿大会の予選の時も、負けていた。試合前、スタンドには、璃々香先輩のお兄さんと言う人が来ていて、眼が合ってしまった。向こうは笑顔で小さく手を振って来て、聞こえなかったが口では 頑張って と、言っているような気がした。私は、思わず、頭をぴょこんと下げてしまったいた。少し、勇気をもらったような・・。

 前半から、前後に揺さぶられて、中半端なターンは無くて、私、仕掛けられなかった。その上、私のサーブを受ける時も、少し下がっていて確実に変化を捉えられていたのだ。ずるずると思う様に反撃も出来ないままに負けてしまった。この前よりも、一方的だった。

 反対ブロックの璃々香先輩は無難に、学館の2番手と言う人も退けて、決勝に進んでいたのだ。

「先輩 すみません ウチ 先輩と決勝で戦いたかった」

「うふっ 甘かったわねー 山葵 操との時、手の内 みんな見せちゃうんだものー 響は もう あなたを研究してきているワ ビデオを見返してネ パターンを覚えて、弱点を探してネ まだまだ 山葵は、対応した作戦が出来ないわね だけど、あの王者の衣笠響が山葵のこと 軽く見てない証拠よ 立派なもんよ」

「・・・だってー 部長に勝ちたかったんだものー」

「それは、わかるけど、本当は 衣笠響にも、山葵が勝つ チャンスあったばずなのに あなたが操の時に [必殺技 水の呼吸 参の型]を披露しちゃうからよー 研究されちゃったー 操には、粘り強くコーナー突いていれば勝てたはず」

「なんなんですか? その水のー ってぇー」

「わかんなきやー いいわよ 鬼滅よー 知らないの?」

「ハァー 漫画のー ・・・ 先輩 私 必死だったんですけど 今 ふざけてます?」

「うんまぁー 山葵 あんまり 悲壮な顔してるから」

「だって 先輩のお兄さんも応援してくれてたのにー・・・情けないから」

「あっ そう お兄ちゃん 山葵のファンなんだね きっと 好きなんだよ」

「あのー さっきから ウチのことで 遊んでません?」

「ふふっ 山葵 もっと 肩の力抜いて行こうよー」

「そんなー 先輩・・・ 必ず 勝って かたき とってくださいネ」

 いきなり、私のことを抱きしめながら

「ふふっ どうだかね 私も 一回も勝ってないのよ だけど、山葵もリベンジしたいでしょ」と、意味有り気に ささやいてきていたのだ。 
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