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目覚めてしまった夫婦

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第五章

「これはこれでね」
「そそられるね」
「そうなるわ」
「これはこれでね」
「何か私達って」
 夫が自分の首筋を舐めだしたのを受け入れつつ言った。
「普段と違う恰好をしたら」
「それでスイッチが入る様になったわね」
「そうよね」
 くすりと笑って言った。
「どうも」
「そうなったね」
「これ何て言うかしら」
「コスプレ趣味だね」
 夫は妻の身体を舐め触りながら答えた。
「要するに」
「そうなるのね」
「そうだと思うよ」
「普通だって思っていたのに」
 これがというのだ。
「全くね」
「違ったかな」
「私達ってね」
 自分も夫の身体をまさぐりつつ話した。
「そうだったわ」
「まあどんな夫婦でも」
 夫は妻に応えて言った。
「色々あって」
「こうしたことでも」
「好みがね、それでね」
「私達はコスプレね」
「その趣味があったんだよ」
「私が着て」
「それでね、まあ犯罪でもないし二人だけのことだから」  
 それでというのだ。
「いいと思うよ」
「それもそうね、それじゃあ」
「今夜もね」
「来て」
 自分から夫の首を抱き締め目を閉じてだった。
 葵は彼の唇を吸った、そして夜も楽しんだ。
 一年後二人の間に男の子が生まれたが葵は夫に話した。
「まさかね」
「この子がどうして生まれたか」
「言えないわよね」
「誰にもね」
 夫も笑って応えた。
「流石にね」
「この子にもね」
「どうしたら子供が出来るか」
 このことはというのだ。
「もうね」
「言うまでもないわね」
「けれどね」 
 それでもというのだ。
「それを他の人に言うことはね」
「言えないわね」
「ましてどうして楽しんで」
 そしてというのだ。
「その結果というのはね」
「言えないわね」
「中にはね」 
 夫はこうも言った。
「エスエムとか」
「そっち趣味の人もいるわね」
「世の中にはね」
「そうした人達もね」
「言えないよね」
「流石にね」
「そうだよね、こうしたことはね」
 実際にというのだ。
「二人だけ夫婦だけの秘密だよ」
「どんなことでも」
「僕達のことでも」
 コスプレ趣味のこともというのだ。 
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