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目覚めてしまった夫婦

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第六章

「本当にね」
「内緒ね」
「二人だけのね。そしてね」
「そして?」
「そうした秘密を共有するのも」
 それもというのだ。
「夫婦かな」
「夜のことも」
「だってね」
 それは何故かも話した。
「二人だけでね」
「楽しんでいることだから」
「誰にも言えない様な」
「それを共有するから」
「それもまたね」
「夫婦なのね」
「そうじゃないかな」
 こう言うのだった。
「ただ一緒に暮らすだけじゃなくて」
「秘密を共有するのも」
「そのこともね」
「そうなのね」
「そうも思ったよ」
 こう葵に話した。
「今ね」
「そうね」
 妻もそれはと頷いた。
「言われてみれば」
「そうした考えも出来るね」
「確かに」
 また頷いて答えた。
「そうもね」
「だから」
「夜のそうしたことも」
「あっていいよ」
「そうなのね」
「これまでね」
 夫は妻に笑って話した。
「僕もそうした考えにはね」
「至らなかったのね」
「君が制服を着たから」
 あの時のことを話すのだった。
「それでだよ」
「板った考えね」
「これまで何の変哲もないと言えば」
 夫婦の夜の生活はというのだ。
「そうだったね」
「ええ、確かにね」
「けれどね」
「私があの時高校の制服を着て」
「それがだよ」
「変わったのね」
「あの時がきっかけになって」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「そう言われるとね、私も制服着てそうしたことをして楽しかったし」
 葵もあの時のことを話した。
「それだとね」
「同じだね」
「私達はね、それで」
 葵は今度は二人の息子今自分が抱いている彼を見て話した。見ればその顔は夫と瓜二つである。ただし髪は母親のものだ。
「正英もね」
「生まれたね」
「子供が出来るかどうか」
「わからなかったけれど」
「それがね」
「生まれたね」
「三十までに一人目って思っていたら」
 それがというのだ。
「二十八でね」
「僕が三十一でね」
「出来たわね」
「そうだね」
「よかったわ、じゃあね」
「コスプレのことは二人だけの秘密にして」
「これからもね」
 妻から言った。
「楽しんでいきましょう」
「そうしたら二人目も出来るね」
「そうよね。それでね」
 葵は夫に笑顔で話した。
「今度ウェディングドレス買いましょう」
「いいね、じゃあそれ着てね」
「楽しみましょう」
「ウェディングドレスを着るのは一回だけじゃなくて」
「そうした時もね」
「着ればいいね」
「二人だけの時はね」
 夫婦のというのだ。
「いいのよ」
「そうだね。それじゃあ」
「今度はね」
「ウェディングドレスでね」
「楽しみましょう」
 夫婦で笑顔で話した、二人はそれからも楽しんでいった。そして幸せな夫婦生活を送っていったのであった。


目覚めてしまった夫婦   完


                  2023・6・28 
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