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X ーthe another storyー

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第十四話 添星その十

「今日はね」
「そうだな、こうして会ったしな」
「じゃあ一緒にね」
「観戦しよう」
「そうしよう」
「それじゃあね」 
 こうした話をしてだった。
 二人で会場に入った、すると封真はというと。
 抜群の運動神経を見せて活躍していた、二人でそれを観ていて封真もそれに気付いて微笑んでいたが。
 同じ会場の観客席でだ、庚が遊人と颯姫それに哪吒を連れてだった。
 封真を観ていた、そのうえで三人に話していた。
「彼がね」
「はい、添星ですね」
「そう、もう一人の神威よ」 
 こう遊人に話した。
「彼がね」
「そうですね」
「神威がね」
 既に彼が会場にいることは知っている、それで彼の方に顔を向けて話した。
「一つの道を選べば」
「彼はもう一つの道に入りますね」
「そうなるわ、どちらにしてもね」
「七人ずつとなりますね」
「天の龍と地の龍はね」
「そうですね」
 遊人は微笑んで答えた。
「まさに」
「だからね」
「僕達は神威君か彼か」
「どちらかを迎えることになるわ」
「左様ですね」
「だから」
 庚はさらに言った。
「私達はよ」
「はい、どちらの人が来ても」
「暖かく迎えましょう」
「それでは」
「ただ」
 今度は哪吒が眉を曇らせて話した。
「あの人は」
「ええ、私が貴方を行かせたね」
「あの神社の人ですね」
「貴方が斬った人の息子よ」
「そうですね」
「そのことを知っているから」
 それでとだ、庚は哪吒に真面目な顔で答えた。
「私もよ」
「僕にですか」
「あの人を殺させなかったのよ」
「そうだったんですね」
「後で仲間になるかも知れない人の肉親を殺すこともね」
「よくないですか」
「どうも後味が悪いわ」
 そうだというのだ。
「そしてやっぱりね」
「無駄な殺生はですか」
「しないに越したことはないから」
 この考えもあってというのだ。
「そうしたのよ」
「そうですか」
「ええ、あの人は戦いが終わる頃にはね」
 庚は哪吒を落ち着かせる様に話した。
「傷は癒えて退院出来るわ」
「そうですか」
「だからね」
 それでというのだ。
「安心してね」
「わかりました」
「本当に無駄な殺生はね」
 それはとだ、庚はまた話した。
「しないことよ」
「人間を滅ぼしても」
「殺すことは楽しむものではないわ」 
「じゃあ何の為に殺すんですか?」
「必要だからよ」
 それが為にとだ、庚は答えた。 
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