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神々の塔

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第十三話 塔の中の時その七

「なるやろ」
「そうね、ちゃんと謝った」
「マスコミもそう言うやろしな」
「悪評を消せるわね」
「そうした処世術をやったんや」
「そういうことね」
「そうしたこともした」
「随分嫌な話ね」
 無論人もそれがわかっていた、その為丹波哲郎もこのことから人間の本性を見たと言っていたらしい。
「ほんまに」
「それで現役の時もな」
「まだあるのね」
「チームが負けても自分が打ってるとな」
「よかったのね」
「自分が打つとな」
 そうしていると、というのだ。
「成績が上がって」
「年棒も上がるわね」
「チームが負けてもな」
 それでもというのだ。
「それでや」
「満足していたのね」
「そやった」
 まさにというのだ。
「守備なんか全くや」
「やる気なかったの」
「盗塁も成績になると聞いたらやったが」
 鈍足だったが相手ピッチャーの癖等をしていて行ったという。
「守備はな」
「全くやったのね」
「エラーせんかったらええ」
 エラーをすれば自分の評価が下がるからだ。
「それでや」
「確かあの人ファーストやったな」
 トウェインはこのことを思い出した。
「左投左打で」
「ああ、最初はピッチャーでな」
「そやったな」
「そのファーストの守備がな」
「全くやったか」
「確かに他のポジションに比べて守備は要求されんが」
「ちゃんとしてくれたらな」
「それだけ周りは助かるが」 
 それでもというのだ。
「王さんや駒田さん、榎本さんと違ってな」
「やる気なかったんやな」
「自分の周り以外に打球が来ても」
「追わんかったか」
「すぐに回れ右してや」
 このことは現役時代実際に言われていた。
「ベースに入ってな」
「守らんかったか」
「ファーストへの送球もな」 
 中里は今度はそちらの話をした。
「ちょっと逸れるとな」
「捕球せんかったか」
「その素振りすらや」
「見せんかったか」
「それで逸れたボールをな」
 送球のそれをというのだ。
「回れ右してな」
「捕りに行ったんやな」
「自分が捕れる範囲やないしミスもしてへん」
「エラーにならんな」
「それでや」
「送球もちょっと逸れると捕らん」
「こんな守備やった」
 まさにというのだ。
「あの人は」
「チームプレイの欠片もないな」
 施も聞いて呆れた。
「ほんまに」
「それがや」
「チームプレイの精神なくてもか」
「監督になったらな」 
 その時はというのだ。 
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