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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその七十四

「食べている」
「左様ですね」
「家でもそうであるしだ」
「それにですね」
「そしてだ」
 それにというのだ。
「外でもな」
「そちらでも」
「行きつけのレストランの一つがな」
「イタリア料理ですね」
「スペイン料理にもよく行くが」
 言うまでもなく貴族用それもエウロパ軍元帥の階級に相応しいかなりの高級レストランの店である。
「一番多く行く店はな」
「そのお店ですね」
「そしてパスタもな」
「楽しまれていますね」
「そうしている」
「では一番好きなパスタは」
「そう聞かれると返答に困るが」
 船の模型の部品の一つでをピンセットに取って瓶の中に入れそこに置く場所に向かわせつつだ、彼は言った。
「強いて言うならペスカトーレか」
「そちらですか」
「そうだな、カルボナーラもネーロもボロネーゼも好きだが」
「それでもですね」
「一番となるとな」
 それはというのだ。
「やはりな」
「ペスカトーレですか」
「それだ、出撃中もよくシェフに作ってもらっている」 
 このパスタをというのだ。
「他のスパゲティよりもな」
「海の幸がですか」
「最も好きか、しかし思えば」
 タンホイザーはこうも言った。
「イタリアに住めばいいが」
「そうすればですね」
「いいがそれはな」
「思わないですね」
「そこまではな」
「そうですね」
「何故かな、イタリアは好きだが」
 このことは事実でもというのだ。
「しかしだ」
「やはりドイツ人なので」
「この国に親しみ馴染んでいてな」
 そうしてというのだ。
「この国にいる」
「左様ですね」
「そうだな、ウルストも好きでだ」
 即ちソーセージもというのだ。
「ビールもだ」
「そちらもですね」
「そうだ、そしてだ」
 それにというのだ。
「ジャガイモもな」
「欠かせないですね」
「ウルストとビール、ジャガイモにだ」
「それにですね」
「ザワークラフト、黒パンもだ」
 こうしたものもというのだ。
「欠かせない」
「若しこういったものがないと」
「私も動けない」
「左様ですね」
「ケーキもだ」
 これもというのだ。
「どうしてもだ」
「ケーキは絶対ですね」
「ケーキのない生活なぞな」
 タンホイザーは絶対にという声で話した。 
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