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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその七十三

「行かれているので」
「奥方と共にな」
「左様ですね」
「いい国だ、景色も建物も国民も」
 全てがとだ、タンホイザーは話した。
「勿論料理もな」
「その全てがいいですね」
「ドイツ人はイタリアに魅了されている」
「今もそれは同じですね」
「神聖ローマ帝国の頃からな」
 十世紀に成立したこの国からというのだ、この国はイタリアも領土としておりそれが為にドイツのことを放置してまでイタリアにこだわりどちらの政治も進展しないという状況まで作り出してしまったのだ。
「そうだったしな」
「それで今度の休暇の時は」
「フィレンツェに行ってな」
「楽しまれますね」
「イタリアをな」
「その料理も」
「肉料理に野菜料理にな」
 タンホイザーはさらに話した。
「パスタ、デザートにだ」
「お酒もですね」
「ワインもいいが」
 この酒でなく、というのだ。
「カクテルもな」
「イタリアのそれをですね」
「楽しみたい、まことにイタリアはな」
「ドイツ人を魅了して止まないですね」
「多くのドイツ人が魅了されてきた」
 実際にというのだ。
「ゲーテもワーグナーもそうだった」
「二人共よくイタリアに行きましたね」
「そしてフリードリヒ大王もな」
「食事に常にイタリア出させていましたね」
「フランス料理も常でな」
「そちらの方が多かったにしても」
「イタリア料理もな」
 こちらもというのだ。
「出させてな」
「そうしてでしたね」
「口にしていた、ビスマルクも同盟相手の一国に選んだ」
「戦略上のこととはいえ」
「そして特にヒトラーはな」
「思い入れが強かったですね」
「欧州制覇の後も永遠の盟友でありたいと考えていた」
 イタリアとイギリスをドイツの両翼にしたいと考えていた、そして最後の最後までイタリアを助けることに積極的であった。
「そして戦後もだ」
「イタリアとはよく共にあって」
「親密だった」
「とかくドイツ人はですね」
「イタリアに魅了されている」
「そうした国ですね」
「絵にもなっているしな」
 タンホイザーは実は芸術も好きだ、音楽もそうだが絵画もだ。
「二人の少女の絵がかつてあったが」
「その絵はですね」
「そうだ、ドイツとイタリアだった」
 それぞれその二国を表していたのだ、当時のゲルマン民族とラテン民族のことを絵画にしたのである。
「まさにな」
「そうでしたね」
「その絵にも出ている通りにな」
「イタリアは、ですね」
「ドイツ人を魅了してきた、そういえば私もイタリア料理が好きで」
 それでというのだ。
「パスタは特にな」
「よく召し上がられますね」
「週二度か三度かはな」 
 それ位はというのだ。 
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