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真恋姫を駆けた男

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真紅狼、曹家の名を貰う。

 
前書き
ここから、黄巾党編です。 

 
~真紅狼side~
季衣が曹操軍に入り、俺たちは陳留に帰っていたんだが、帰るまでが大変だったんだよ。


「華琳、もうちょい離れてくれない?」
「嫌です」


とさっきからこの調子だ。
ちなみに黒鷹の上だ。
前に華琳、その後ろに俺という図になっている。
そして、さっきから殺気を俺に向けてんのが春蘭と呼ばれていた女性だ。なんつーか、迫力のある眼力なんだよ。


「華琳様、少しいいですか?」


と後ろから物静かな女性が聞いてきた。


「何、秋蘭?」
「そちらの男は“真紅の殺人鬼”と呼ばれている男ですが、知り合いなんですか?」
「秋蘭、その異名を二度と言わないことよ。私にも限度という物があるわ。」
「は、はい!申し訳ありません。」
「とはいえ、この人を知りたがっているのは事実ね。この人は私の義兄よ。」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


状況が読み込めないのかしばらく沈黙が続いた。
この後が簡単に予想できるって素晴らしいね。


「華琳、耳をふさいでろ。」
「何故ですか?」
「衝撃波が飛んでくるから。」
「???」


頭を傾けながらも、耳をふさいだ華琳。
その後、予想通り衝撃波(ソニックブーム)が飛んで来た。


「「「えええええええええ~~~~~!?」」」


キーンッ!!


「ぐぉぉ!!」


本当にこれ兵器並みの威力だな。
華琳は無事なようで。


「え、えっと、それは本当ですか?」
「私が嘘を言ったことがある?」
「ないですが、それでも・・・」
「信じられない?」
「「はい」」


と姉妹は同時に返事をする。


「まあ、そうなるわな」
「だけど、事実よ。受け入れなさい。」
「雅も知っていたのか?」
「私と華琳様と真ちゃんは幼馴染なんだ! だから知ってるよ、春蘭。」


と平然という雅。


「義兄さん、一応紹介してください。」
「はいよ。俺の名は蒼騎 真紅狼だ。さっきも言った通り、華琳の義兄だがまだ曹家の名は貰っていない。」
「貰ってない?とはどういうことですか?」


秋蘭が不思議そうに聞いてくる。


「なんというか貰う前に、出奔したからだな。」
「そうですね。」
「そうだよねぇ~」


と三人はしみじみと頷く。


「で、そちら方の名は?」
「申し遅れました、私は姓が夏侯、名は淵、字が妙才、真名は秋蘭と申します。」
「そして、私は姓が夏侯、名は惇、字は元譲、真名が春蘭だ。」
「俺の事は真紅狼で構わないぞ。春蘭と秋蘭は俺がなぜ“真紅の殺人鬼”って呼ばれているか、知ってるだろ?」
「ええ、確か近くの豪族を皆殺しした、と。」
「そ、ちょっと殺さなきゃならない理由が出来てね。それで追われるようになって、貰う前に出たというわけさ。」
「義兄さんには謝らなくてはならないですね。」
「なんでだよ?」
「義兄さんは曹家を代表して殺しに行ったんですよ? それに父上が言ってました。」


『真紅狼がいかなかったら、俺が殺しに行っていた。それをアイツに全てを投げつけてしまった。すまない』


「と言ってました。」
「別に気にしてないのに。」
「それでもです。すみませんでした」


と華琳が謝っていた。
この光景に春蘭たちは驚いていた。
この状況を打開させるために、頭を撫でてやった。


「ひゃっ!?」
「俺がいいって言ったんだから、それぐらいの意思は聞いてくれよ。」


そういいながら、俺たちは陳留に着いた。
~真紅狼side out~


~桂花side~
私の主、華琳様が帰って来た。
集めた情報を報告しようと向かったら、あの華琳様が男に抱きついていたのを見て、気を失いそうになった。


「誰よ、あの男。あんなに華琳様と親しそうに!!」


そしたら、向こう側から、秋蘭が歩いてきた。


「秋蘭!」
「桂花か、なんだ?」
「あの男、何者よ?」
「華琳様の兄上らしいぞ。」
「・・・は?」
「信じられないかもしれないが、事実だ。」
「華琳様が言ったの?」
「ああ、しかも華琳様の父上も知っているらしい。」
「他には誰が知っていたの?」
「雅と曹家の侍女たちや兵たち、特に中堅兵と古参兵は知っていたらしい。」
「それで、先程から侍女たちが騒いでいたのね。」
「では、私は訓練場に向かわなければならないからな。」
「なんで訓練場に行くの?」
「姉者が手合せしたいと言ってな。それならば、将全員集まるようにと華琳様がな。」


・・・これはチャンスかもしれないわね。その男には悪いけど、兄としての威厳を失ってもらうわ。


「見学しに私も行くわ。」
「めずらしいな、お前が興味を出すなんて。」
「私は曹操軍の軍師よ?仲間の実力をみなければ、策を練ることも出来ないでしょ?」
「ふむ、確かに一理あるな。では行こうか。」
「ええ。」
~桂花side out~


~真紅狼side~
黒鷹を馬舎に入れてきた後、一時的にあてがわれた部屋を使っていた。
一週間以内には用意すると言っていたが、豪華な造りになってそうだな。
俺は取り敢えず、着替えることにした。
スコールの姿から、リンテンスの姿にズボンを穿いた後、上を着替えようとしたとき誰かが入って来た。
見てみると、華琳だったが背中の傷を見てからどこか気まずそうな表情をしていた。


「あっ・・・」
「ん?・・・華琳か。どうした?」
「いえ、訓練場まで一緒に行こうと思ったんですが・・・。」
「背中の傷を見て動けなくなった。と?」
「・・・(コクン」


背中には三本の爪痕がくっきりと残っている。
ったく、気にするなって何度も言ってんのになんで気にするかね?
華琳のせいじゃないのに。


「何度も言うが、華琳。気にするな。」
「でも・・・」
「アレだ、この傷は男の勲章だと思ってくれよ。」
「・・・分かりました。それで兄さんの曹の名なんですが・・」
「うん?貰うの?」
「兄さんは曹家の長男ですよ?自覚を持ってください。」
「善処します。」
「曹真ということになります。」
「曹真ね。分かった。これからは曹真と名乗るか。あ、でも“蒼騎”の名は捨てないからな?」
「いいですよ。では行きましょうか?」
「おう。」
「あ、今日の夕餉のときに旅の内容教えてください。」
「はいはい。」


八年の内容を思い出しながら、訓練場に向かった。
~真紅狼side out~ 
 

 
後書き
はい。曹家の名を貰いました。今まで華琳は真紅狼を「義兄さん」と呼んでいましたが、曹家の名を貰った為これからは「兄さん」と呼びます。
そして、華琳は二人っきりの時は甘えます。
 
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