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神々の塔

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第三話 準備を整えその八

「そうさせてもらうわ」
「それでは、それとです」
「それと?」
「今夜はお酒は」
 綾乃が無類の酒好きで酒豪であることからも話した。
「どうかです」
「慎んでやね」
「休まれて下さい、大事の前はです」
 その前夜はというのだ。
「やはりです」
「身体をしっかりせなあかんから」
「だからです」
 その為にというのだ。
「宜しくお願いします」
「お酒は飲まへんで」
「ゆっくりとです」
「寝ることやね」
「そうされて下さい」
 こうも話すのだった。
「宜しいですね」
「うちはお酒好きやけど」 
 もっと言えば大好きである、ざるだのうわばみだの言われるまでに極めて強くかつ無類の酒好きであるのだ。
「やっぱり慎む時はやね」
「慎まれて下さい」
「そうせなあかんね、そういえば」
 綾乃はさらに話した。
「うち等枢軸との決戦の時も」
「その前の夜もでしたね」
「あえて飲まへんで」
 酒をというのだ。
「皆しっかり寝て」
「戦に挑まれましたね」
「結局負けたけど」
「大事の前にはです」
 太宰は確かな声で答えた。
「身を慎み」
「そうしてやね」
「はい、そして」
 それでというのだ。
「決戦に挑まれたのは僕も聞いていますが」
「ええことやってんね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そのことは」
「そうやねんね」
「敗れたことは事実ですが」
 三星枢軸との決戦でのことは太宰も把握している、公そして世間の評価では引き分け若しくは十星連合への勝利だが実は連合は敗北したというのが連合の星の者の共通認識であるのだ。
「何しろ戦略目標は果たせず」
「サマルカンド攻略やったけど」
「それを果たせずです」
 そうしてというのだ。
「そのうえで軍の二割の損害を受けた」
「それで進軍を止められたさかい」
「あの戦はです」
 まさにというのだ。
「我が連合の敗北です」
「そやね、ほんまに」
「僕はあの戦には参加していませんが」
 都において留守を預かり政務を取り仕切っていたのだ。
「しかしです」
「やっぱり負けやね」
「はい、ですが」
 それでもとだ、太宰は綾乃に話した。
「大事の前に身を慎まれたことは」
「お酒を飲まんとじっくり寝たことは」
「よいことです」
「そやねんね」
「お酒は美味しいですが」
 実は太宰も好きな方である、それでよく飲む。 
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