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ドリトル先生とタキタロウ

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第八幕その六

「その人を何の良心の咎めもなく容赦なく攻撃し続けるけれど」
「そうなったらね」
「終わりだよ」
「人間としてね」
「決定的に間違えてるわ」
「復讐鬼の末路は知れたものだよ」
 先生はまた悲しい目になってお話しました。
「憎しみに心を支配されたらね」
「人間憎しみに心を支配されたら復讐鬼になるしかない」
「先生よく私達のお話してくれるわね」
「そうなったらもう怖いって」
「いい結果はならないって」
「何処までも憎んだ相手を攻撃して止まらなくなるとね」 
 そうなればというのです。
「人が見てどう思うかな」
「よく思う筈がないよ」
「どう考えても」
「そんな風になったら」
「絶対にね」
「そう、だから人も離れてね」  
 そうなってというのです。
「孤立して自分も荒んでいって」
「もうその結末は」
「いいものにはならないのね」
「憎しみに心を支配されたら」
「その時は」
「そこから脱却しないとね」
 憎しみ、それからというのです。
「そうなるよ、だから間違った人や自分に何かした人がいてもね」
「憎まないことだね」
「そして憎しみに心を支配されない」
「そうだね」
「世の中悪人もいてね」
 こうもお話するのでした。
「先にお話した自分の下らない目的にために命を粗末にして娘さんを泣かせる」
「あの父親だね」
「確かに悪人だけ」
「それも生粋の」
「そんな人は」
「自分の下らない目的の為にどんな悪事でも平然と行う」
 命を粗末にすることからこう言うのでした。
「生粋というのは生まれついてじゃないよ、この場合は」
「あっ、心の底からだね」
 ダブダブはすぐにわかりました。
「つまりは」
「もう根っこまで悪人ならね」
 トートーも言いました。
「まさに骨の髄と言っていいからね」
「確かに生粋ね」
 ガブガブも言いました。
「そう言えるわね」
「どんな生きものも最初は真っ白でもね」
「そこからどんどん染まるわ」 
 チープサイドの家族はこうお話しました。
「それで善人にも悪人にもなるわ」
「生粋の悪人にもね」
「悪い人と付き合って悪いことばかりしていったら」
 ジップは考えるお顔で言いました。
「悪人になるよ」
「そして生粋の悪人になるのもね」 
 ポリネシアも言うのでした。
「そんな生き方しているからだね」
「それで根っこからも悪人になったら」 
 チーチーは警戒する様に言いました。
「どんな酷いことでも平気で出来るんだね」
「ふわりの前の飼い主の人達もそうだね」
 ホワイティはこの人達のことを思い出しました。
「根っこから卑しい悪人だったね」
「餓鬼になるのはもう心が完全に餓鬼になっている」
「それでなるんだったね」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。 
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