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投げることに熱心で

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第二章

「それで金もな」
「それもか」
「稼げるならな」
「あんたはそれでいいのか」
「そうだ、俺はな」
「差別されてるだろ」
 チームメイトはここでこのことを話した。
「俺達は」
「黒人だからか」
「あんたにしてもな」
「感じたことはないな」
 これがペイジの返事だった。
「差別されてるとかな」
「おい、そうなのかよ」
「あれか?黒人リーグにいるからか」
 今度はペイジから聞いた。
「それでか」
「そうだよ、何で黒人リーグがあるか」
「俺達が黒人だからか」
「差別されていてな」
 その為にというのだ。
「それでだよ」
「黒人だけのリーグで野球をやってるか」
「大リーグでなくてな」
「野球が出来たら何処でもいいだろ」 
 ペイジはやはり素っ気ない顔と声で言った。
「投げていいギャラが貰えるならな」
「あんたはそれでいいか」
「ああ」
 そうだというのだ。
「別にな」
「そうなのか、あんたは」
「だから差別されてるとかな」
「感じたことはないか」
「投げていいギャラが貰えるならだよ」
 それならというのだ。
「もうな」
「それでいいか」
「これまでもいいしこれからもな」
「じゃああんたギャラがよかったら大リーグ行くか?」
「行くさ」
 こう言うのだった。
「その時はな」
「そうなのか」
「それだけだ、投げていい報酬が得られるならそれでいい」
 最後まで素っ気なかった、そしてだった。
 ペイジは黒人リーグで投げ続けた、その彼に。
 大リーグからオファーが来た、すると彼は話を持って来た大リーグのフロントの者に対して尋ねた。
「報酬はどれ位だ」
「そこからか」
「投げさせてくれるんだな」
「大リーグでな」
「大リーグかどうかはいいんだ」
 ここでもこう言った。
「俺は投げられるならな」
「それでいいか」
「ああ、そしてな」
 それでというのだ。
「金が貰えるならな」
「これだけだ」
 フロントの者は年棒を提示した、すると。
 ペイジは一言でだ、彼に答えた。
「わかった、この話受けよう」
「そうしてくれるか」
「それだけなら充分だ」
 年棒の額を見ての返事だ。
「俺としてはな」
「それならな」
「投げさせてもらう」
 こう言ってだった。
 ペイジは大リーグに移籍してマウンドに立った、多くの白人がその彼を観てグラウンドで囁き合った。
「黒人リーグの大エースだな」
「もうかなりの歳だがな」
「普通とっくに引退してる年齢だぞ」
「四十二歳だって?」
「それでもまだ投げているのか」
 一九〇の長身の痩せた身体の彼を観て話した。
 そしてペイジはというと。
 投げ終えてだ、こう言った。
「待ちに待った時だった」
「大リーグで投げられてかい?」
「ああ、嬉しい。ジャッキーが入団した時に思った」
 ジャッキー=ロビンソン、彼がというのだ。 
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