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星河の覇皇

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第八十三部第一章 防衛ライン到達その十

「我々はだ」
「進撃を行い」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「敵の防衛ラインを攻撃する」
「それが我々の戦略ですね」
「今はな、これ以上進軍の速度を上げても」
 例えそうしてもというのだ。
「ティムール軍に追いつけるのは精々軽巡や駆逐艦そして高速戦艦位だ」
「どれも確かに速度は速いですが」
「それでも打たれ弱い」
 こうした艦艇は確かに速度は速い、だがその分防御力は弱い。それでアッディーンも今こう言うのである。
「それでは下手に追撃を仕掛けてもな」
「返り討ちに遭いますね」
「敵もそうしたことは読んでいる」
 高速の艦艇のみでの追撃はというのだ。
「有り得るとな」
「だからですね」
「そうだ」 
 それ故にというのだ。
「その場合は返り討ちに遭う」
「ティムール軍は今シャイターン主席は不在にしても」
 シンダントも言ってきた。
「しかしです」
「それでもだ」
「はい、主席の弟君お二人も」
 フラームもアブーもというのだ。
「水準以上の指揮官です」
「そうだ、あの兵器は見破れないが」
「それでもです」
「かなりの方だ」
 将の器はというのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「迂闊な攻めはしない」
 一切と言うのだった。
「返り討ちで無意味な損害を出すだけだ」
「だからですね」
「今はこのままの速度でだ」
「全軍の単位で、ですね」
「進撃する、そしてだ」
 アッディーンはさらに話した。
「敵の防衛ラインに対してな」
「攻撃を仕掛けますね」
「そうする」
 そうするとだ、アッディーンは強い声で言い切った。
「その時にな」
「では万全の用意を整えて」
 シンダントの目が光った、ここで。
「そうしてですね」
「攻撃を仕掛ける、急ぎはするが」
「焦りはしない、ですね」
「急ぐのは賢者でだ」
 そしてというのだ。
「焦るのは愚者だ」
「連合で銀河の時代から出た言葉だったでしょうか」
「確かな、急ぐと焦るのは似ているが」
「違いますね」
「そして何度注意しても焦る輩はだ」
 そうした者はというと。
「責任のある部署に就けるべきではない」
「それが失態につながるからですね」
「致命的な、な。私は焦らない様に心掛けている」
「急ぐことはあろうとも」
「連合の中の日本だが」
 ここでアッディーンはこの国の名前を出して話した。
「五分前行動という言葉があるな」
「日本軍にはですね」
「連合軍はそこまで言っていない様だが」
「それでもですね」
「日本軍では昔から言っていたな」
「確か帝国海軍からでしたね」
「行動の五分前に全て準備を整えている」
 こうしたことがというのだ。 
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