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星河の覇皇

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第八十二部第四章 破竹の進撃その三十四

「こんな速さはな」
「絶対に出せないですね」
「そもそも連合軍の艦艇は」
 中央政府軍のそれはというのだ。
「速度は犠牲にしてるだろ」
「攻撃力に防御力、索敵能力に」
「あとダメージコントロールもな」
 そうした能力にというのだ。
「振り分けているからな」
「だから亀ですか」
「ドン亀だよ」
 曹長は笑って軍曹の今の言葉を訂正させた。
「只の亀じゃなくてな」
「ドン亀ですか」
「足が遅いな」
「普通の亀よりも」
「そうしたもので、ですね」
「こんな速度は出せない、昔の軍隊で言えば」
 どうなるかもだ、曹長は話した。
「俺達は重装歩兵であっちは軽装騎兵だよ」
「全く違いますね」
「こっちは全身鎧兜と盾で固めて」
 そうしてというのだ。
「でかい剣や槍や鉄砲を持ってるけれどな」
「動きは遅い」
「そうした軍隊だよ」
「だから速度はですか」
「もう絶対にな」
 それこそというのだ。
「敵うものじゃないさ」
「そこまでの違いがですね」
「あるからな」
 だからだというのだ。
「今のこれもな」
「連合軍から見ればですね」
「速過ぎるさ」
 まさにというのだ。
「元々設計思想が違うからな」
「もう最初からですか」
「敵わないな、けれどオムダーマン軍と連合軍が戦っても」
「その場合はですね」
「勝つのは俺達だよ」
「オムダーマン軍ですか」
「確かに速度は速いさ」
 オムダーマン軍、彼等はというのだ。
「滅茶苦茶にな、けれどな」
「速度だけですか」
「オムダーマン軍が俺達に勝ってるのはな」
「他の要素はですか」
「それこそな」
 まさにというのだ。
「勝っていないさ」
「攻撃力も防御力も」
「他のな、攻撃射程も連射能力もな」
 そういったものもというのだ。
「それこそな」
「連合軍の方がですか」
「ずっと上なんだ、索敵能力も隠密能力もな」
 そういった能力もというのだ、ここで言う隠密能力は艦艇のステルス能力や敵の策敵の妨害能力のことだ。
「高いからな」
「我々が勝ちますか」
「軽装歩兵でも武器が悪くて鎧も着けていないとな」
 それならというのだ。
「もうな」
「大して怖くはないですか」
「速度だけで勝てたらな」
「それならですね」
「何てことはないさ」
 それこそというのだ。
「戦争はな」
「そう言われますと」
「エウロパ戦役がそうだったな」
「あの時エウロパ軍は機動力では」
 軍曹もエウロパ戦役に参加している、それは曹長もだ。それでエウロパ軍のことも肌身で知っているのだ。 
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