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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その二十七

「フランス歌劇の中でもね」
「そう言われますか」
「私はホフマン物語も好きだけれど」
「オッフェンバックの」
「それと共にね」
「ペレアスとメリザンドもですか」
「好きかというと難しいけれど」
 それでもというのだ。
「その位置はね」
「大きいというのですね」
「まさにフランス歌劇にとって大事件」
「そこまでいっていいものですか」
「ホフマン物語にも匹敵する」 
 フランス歌劇を代表するこの作品と共にというのだ、このことについて王は王妃に対して真摯な声で話した。
「そう考えているよ、そして今もね」
「上演されていますね」
「千年以上経ってもね」
 それでもというのだ。
「残っているしね」
「千年残るには」
「それだけの価値がないとね」
「残りませんね」
「駄作は。後で真価が見いだされたりもするけれど」
 千年残るにはというのだ。
「すぐに消えるからね」
「多くの作品の中に埋もれてしまいますね」
「ホフマン物語の作曲者は多くの作品を残しているよ」
 オッフェンバック、彼もというのだ。
「けれど今も上演される作品は」
「少ないですか」
「そのホフマン物語に天国と地獄と後吸う作品位だよ」
 それだけだというのだ。
「今も上演される作品は」
「それだけですか」
「ワーグナーは十三の歌劇を残したけれど」
 王は今度はドイツのこの作曲家の話をした。
「十程がよく上演されるよ」
「十作ですか」
「後の三作品はね、ごく稀にしか」
 それこそそれ位だというのだ。
「上演されないよ」
「そうですか」
「リエンツィ等はね」
「リエンツィでしたら」
 この作品の名前を聞いてだった、王妃は王にこう返した。
「三ヶ月程前に」
「観たね」
「陛下と共に」
「そうだったね、けれどあの作品も」
「実は、ですか」
「滅多に上演されないんだ」
 そうした作品だというのだ。
「これがね」
「そうした作品だったのですか」
「曲や台本は残っているから」
「上演はされますか」
「十八世紀以降の作品はほぼ確実に残っているよ」
「歌劇では」
「そう、特に二十世紀から二十一世紀にかけて保存技術が急上昇したから」
 台本や楽譜のそれがというのだ。
「書籍やネットで残ってね」
「その二つが大きいですね」
「そう、けれどね」
「台本や音楽が残っていても」
「それでも上演されないと」
 それがなければというのだ。
「もうね」
「残っていないことと同じですか」
「そうなんだ」
 そうしたものだというのだ。 
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