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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その二十六

「耳慣れを感じないのがね」
「それは普通かと」
「そうなんだね」
「フランス文学者でもです」
「昔のフランス語はだね」
「慣れないものかと」
 こう王に話した。
「それは仕方ないです」
「そうなんだね」
「はい、それと」
「それと?」
「私はこの作品でわからないことがあります」
 王妃は歌劇自体の話をした。
「ヒロインのメリザンドは何者で」
「そのことだね」
「嘘を言っているのかいないのか」
「そのことだね」
「どうなのか」
「謎だね、私もだよ」
 王は王妃の言葉を聞いて彼女に話した。
「メリザンドが何者か」
「わからないですか」
「童話のお姫様よりもね」
「謎が多いですね」
「この世にいない様な」
「不思議な人ですね」
「うん、その正体はわからないし」
 それにというのだ。
「一人にだけ嘘を吐くとね」
「言っていますね」
「最後にその人に言ったことは真実か」
「そのこともですね」
「わからないしね、そもそもこの歌劇の人間関係は」
 王はこちらの話もした。
「作品に出ない登場人物も含めて」
「わかりにくいですね」
「母親が違うパターンが多いね」
「それが余計にですね」
「ストーリーをわかりにくくしているよ」
「そうですね」
「音楽も」
 これもというのだ、歌劇のもう一つの柱であるこれも。
「非常にわかりにくいし」
「まるで哲学の様ですね」
「実際に哲学をね」
「かなり入れていますか」
「それはわかりけれど」
 それでもというのだ。
「ここまで複雑にしていることは」
「陛下にとっても」
「不思議にさえ思うよ」
「左様ですね」
「うん、幻想的な雰囲気もあって」
 このこともあってというのだ。
「その雰囲気もね」
「難解な作品にしていますね」
「童話的と言えばそれまでにしても」
「その童話もですね」
「実は難解だったりするからね」
 童話という子供が読むものであってもというのだ。
「だからペレアスとメリザンドも」
「難解であることはですね」
「不思議じゃないね」
「童話であるなら」
「うん、しかしドビュッシーというと」
 王は今度は作曲家自体の話をした。
「海が有名だけれど」
「この歌劇もですね」
「凄い作品だよ」
 まさにというのだ。 
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