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星河の覇皇

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第八十二部第一章 打たない先手その四

「どうにも」
「左様ですね、実際いです」
「成長しなかったですか」
「何をしても、とにかく反省なぞです」
「しなかったので」
「他者への責任転嫁もしていましたし」
 そうしたこともしていたというのだ。
「そして法律やルールも理解出来なかったので」
「余計にどうしようもないですね」
「大学を卒業して大きな企業に就職したのですが」
「問題を起こしましたね」
「最初は誠実に思われるのですが」 
 そうした人物だったというのだ。
「先に申し上げた通りなので」
「全く成長しない、しかも信用も出来ない」
「どうにもならないとわかってしかも」
 マックリーフは自分の話をさらにした。
「仕事で敵対企業と何故かつながりそちらに情報を流す」
「そんなこともですか」
「しまして。会社の為仕方なくなぞ言ってホワイトですが重要な機密を」
「それは社員としてあってはならないですね」
「有り得ない背信行為でしたが」
 それをというのだ。
「行ってこれを背信行為と呼ぶなら呼ぶといいと」
「居直りですね」
「堂々と言って」
「堂々と懲戒免職を受けましたね」
「企業に法外な賠償金も要求されました」
 その背信行為の代償をというのだ。
「それに不服と言って弁護士を雇って企業側に抗議しようにも」
「通らないですね」
「敵対企業に社内の重要機密を教えては」
「それこそですね」
「どう考えてもです」
「懲戒免職に」
「賠償金を支払わされます」
 企業に損害を与えたとしてだ。
「それでも卑怯なことはなぞとです」
「言って反省しなかったので」
「どの弁護士もつかず親戚や他の知人からも見捨てられ」
「その行いの酷さで」
「今は禁治産者認定されていて」
「社会生活もですね」
「出来なくなりましたが賠償金を支払う義務があるので」
 勤務していた企業に与えていたそれのだ。
「強制労働をさせられています」
「そうなっていますか」
「焦るといいますと私は」
「その知人を思い出されますか」
「私の最高の反面教師です」 
 マックリーフはこうまで言った。
「もう三十年以上前のお話ですが」
「その間ずっとですね」
「最高の反面教師であり続けています」
「どうにもならない人物もまた見るべきである」
 李も言った。
「反面教師も」
「そういえば反面教師は」
 伊東は李にも応えた。
「元々は中国の言葉ですね」
「はい、確か毛沢東が言った」
 中華人民共和国の初代国家主席だ、建国の英雄であるが大躍進政策や文化大革命の失政はこの時代でも評判が非常に悪い。 
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