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星河の覇皇

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第八十二部第一章 打たない先手その三

「そうしてです」
「市場を安定させましょう」
「中央政府が介入する前に」
 まさにその前にというのだ。
「我々がです」
「動きましょう」
「それでは」
「頃合いを見て」
 まさにというのだ。
「動きましょう」
「相手より先に」
 伊東は中央政府についてこう述べた、そしてだった。
 三人の大統領達にこうも言った。
「先んずればですね」
「人を制す」
「そう言いますね」
「先に動いてこそですね」
「焦りは禁物ですが」
 それでもというのだ。
「先に動くことも政治ですから」
「項羽の言葉でしたね」
 項羽の国である中国の大統領李の言葉だ。
「それは」
「実際にその通りにでしたね」
「項羽はその時動くことが出来ました」
「目障りな役人を殺して」
「そして旗揚げが出来ました」
 最初は叔父の項梁が上にいた、だがこの叔父が戦死してから彼が上に立ち遂に覇王にまでなかったのだ。
「首相の言われる通り確かに焦ってはです」
「先に動くことと焦りは違いますね」
「はい、まことに」
 その通りだとだ、李も答えた。
「そのことは」
「焦りは周りが見えていません」
「そして先も」
「そうなってしまうものなので」
 伊東もこう述べた。
「それが過ぎますと」
「ことをしくじります」
「実際にそうして失敗した例は多いです」
 この時代でもそうして過ちを犯す輩はいる、人間の習性というものは進歩とはまた別のことであるのだ。
「ですから」
「焦りは禁物で」
「それで、です」
 やるべきことはというのだ。
「先に。冷静にです」
「動くことですね」
「何といっても」
「平常心を保てずして」
 今度はマックリーフが言った。
「政治家、特に国家元首となると」
「務まりませんね」
「動きが遅い、優柔不断もあってはならないですが」
「すぐに我を失う」
「そうしたこともまた」
「非常によくないことです」
「一度何を言っても焦って」
 マックリーフは自分の話もした。
「そして失敗を繰り返す人物を見たことがあります」
「そうだったのですか」
「大学時代に。止めてもです」
「焦ってですか」
「暴走してしかも失敗しても」
 そうなってもというのだ。
「責任を自覚しない、自己弁護に徹する、約束を守らない」
「それでは」
「どうしようもないですね」
「成長の要素がないですね」
 それを促せるものがというのだ。 
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