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星河の覇皇

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第八十一部第五章 総攻撃へその四十四

「そうした地域ではな」
「無力な存在ですね」
「だが統一すればな」
 その時はというのだ。
「サハラもだ」
「大きな力となれますね」
「アッラーは全てをご存知だ」
 この世の全てを司る神であるからだ、イスラムは全てがアッラーの考えの中で動いているという教えなのだ。
「未来のこともだ」
「預言としてですね」
「残されていてな」
「その預言がですね」
「イスラムを統一する、それはな」
 まさにというのだ。
「もうアッラーは定められていたのだ」
「サハラ、即ちアラブの民が力を持つ」
「その為のな、ではだ」
「これからいよいよですね」
「統一する」
 そうすると言うのだった。
「まさか私が統一するとは思わなかったが」
「そうだったのですか」
「私は一士官だった」
 オムダーマン軍、当時はサハラの西方の端にある国であった、サハラの中ではその他多くの国に過ぎなかった。
 アッディーンはその国の士官の一人だった、その自分がというのだ。
「その様な立場ではな」
「それではですか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「何かをするというな」
「そうしたこともですね」
「考えられる筈もない、しかし」
「閣下が世に出られて」
「戦争に勝っていった」
 巡洋艦の艦長だった時を思い出していた、徹底する自軍に迫ろうとする敵軍の進みはじめたその先に艦を動かして機先を制する一撃を浴びせ戦局を一変させたその時を。
「そうしてだったな」
「今に至りますね」
「気付けば艦隊を率い」
「そして一軍を」
「元帥になりだ」
「大統領にも就任されて」
「そうなっていってな」
 そしてというのだ。
「今に至る」
「そしてそれは」
「アッラーの思し召しだ」
 アッディーンはここでも神の名を出した。
「そうとしか思えない」
「閣下こそがですね」
「そうだ、サハラを統一する為にだ」
「アッラーによってですね」
「今に至らせられている」
 こう言うのだった。
「私はそう考えているが」
「そうなのでしょう、思えばです」
 ムアーウィアもこう答えた。
「人は全てアッラーの僕であり」
「その為されることによってだな」
「動いているのですから」
「だから私もだな」
「その全てをです」
 まさにというのだ。
「アッラーに動かされていて」
「そしてだな」
「今に至るのです」
 そうだというのだ。
「全ては」
「そうなのだな、では」
「これからもです」
「サハラの為にだな」
「働かれて下さい」
「それではな、では今はな」
「これからのですね」
「より働く為にだ」
 まさにその為にとだ、アッディーンは述べた。
 そうしてシャワーを浴びて歯も磨いてそうしてからベッドで休んでだった。そのうえで今は身体も心も休めるのだった。


第八十一部   完


                   2019・7・2 
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