星河の覇皇
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第八十二部第一章 打たない先手その一
打たない先手
伊東はこの時アメリカ大統領マックリーフ、中国大統領李、ロシア大統領グリーニスキーとモニターを通じての会談を行っていた。
その場で伊東はこう言った。
「サハラの動きですが」
「あちらですか、そういえば」
グリーニスキーが応えた。
「オムダーマンが勝ちましたね」
「そうなりましたが」
「まあ別に」
グリーニスキーは伊東にさして興味のない感じで返した。
「私としましては」
「サハラのことは、ですか」
「さしてです」
これといってというのだ。
「国益を見出していないので」
「オムダーマンが勝利を収めても」
「サハラは外国です」
連合の外にある国即ち異世界だというのだ。
「そこにある国益はです」
「微々たるものですね」
「我が国の国益はです」
「連合にありますね」
「その九十九パーセント以上が」
「そしてサハラにあるものは」
「零コンマが幾つつくか」
まさにというのだ。
「その程度であるので」
「だからですか」
「はい、サハラのことは」
「何があってもですね」
「特にこれといって」
やはり興味のないといった顔で言うのだった。
「思うところはありません」
「サハラの戦乱が終わることはいいことにしても」
李も言う、やはり興味がないといった感じだ。
「我が国も国益はです」
「連合にありますか」
「まさに九十九パ-セント以上が」
このことはロシアと同じだった。
「連合にあるので」
「連合の国でないからですか」
「影響も殆どありません」
中国にもというのだ。
「ですから」
「サハラに国益がある連合の国は」
マックリーフも伊東に話した。
「ありませんね」
「そう言われますと」
その通りだとだ、伊東はマックリーフに答えた。
「我が国も」
「国益は、ですね」
「まさに九十九パーセント以上が」
「無論我が国もです」
アメリカもというのだ。
「国益はです」
「ほぼ全部がですね」
「連合にあり」
「サハラのことは」
「少なくとも今はです」
こう伊東に答えた。
「あの地域のことは」
「どうでもいいですか」
「連合で何かあれば動きますが」
動かれる方はこれを介入と言う場合も多い、大国が小国のいざかいに介入するのは連合ではよくあることだ。
「しかし」
「それでもですね」
「サハラには権益もないですから」
「それでは」
「まあこのお話は」
マックリーフは自分から話した。
「これといってです」
「この度の会談にはですね」
「そういうことがあったという位で」
その程度にしてというのだ。
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