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星河の覇皇

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第八十一部第四章 一日のうちにその九

「実に主席らしくないな」
「そうした戦いぶりでしたね」
「どうにも」
「振り返ってみますと」
「旗艦シャハラザードは戦場にありましたが」
 つまりシャイターンが采配を執っていたというのだ、彼等だけでなく連合やマウリアの観戦武官達も誰もがそう思っている。
「しかしでしたね」
「主席らしくない采配で」
「はじめての敗北を喫しました」
「そこが気になりますね」
「こう言うと有り得ないが」 
 それでもとだ、准将はこうも言った。
「実はシャイターン主席は戦場にいなかった」
「まさか」
「それは有り得ないです」
「幾ら何でも」
「先程もお話に出ましたがシャハラザードは戦場にあります」
「そして旗も掲げられていました」
 国家主席が乗艦していることを示すそれがだ、宇宙空間ではあえてたなびく様に工夫されるのが宇宙での旗の掲げ方だ。
「ではです」
「シャイターン主席は戦場にいます」
「シャハラザードに乗艦されていました」
「間違いなく」
「そうだ、間違いない」
 准将は断言した。
「それはな」
「そうですね」
「それはどう見ても明らかです」
「シャイターン主席は戦場におられました」
「間違いなく」
「そうだった、だから余計に不思議だ」
 今回の会戦でのティムール軍の采配はというのだ。
「シャイターン主席らしくないにも程がある
「そうですね、逆にアッディーン大統領はらしかったです」
「積極的な攻勢でした」
「鮮やかな」
「奇襲といいです」
「最初から最後までらしかったです」
「あれこそアッディーン大統領の采配です」
 まことにというのだ。
「そう思いますと」
「余計にシャイターン主席の今回の采配は気になりますね」
「らしくないにも程があり」
「どうにも」
「そうだな、どういうことか」
 まさにと言うのだった。
「このことは」
「シャイターン主席に異変が」
「体調を崩したとか」
「それで采配に異変が出たのでしょうか」
「そうなのでしょうか」
 武官達はこうも考えた。
「まさかと思いますが」
「とにかく主席らしくない采配でした」
「積極さが見られず」
「攻撃への対処も弱く」
「奇襲にもされるがままで」
「勘も」
 シャイターンの武器のこれもというのだ。
「感じられませんでした」
「むしろあの鋭さを否定さえすら様な」
「そうした采配でしたね」
「どうにも精彩を欠く」
「それ自体はいい采配にしても」
「アッディーン大統領には通じない」
「そういったものだったな」
 准将がまた述べた。 
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