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星河の覇皇

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第八十一部第四章 一日のうちにその十

「全く以てだ」
「他の人物ならともかく」
「相手が悪かったと言えますね」
「そうだな、相手が悪かったと言えばそれまでだが」
 准将は中佐の階級を持つ者の言葉に頷いて述べた。
「しかしな」
「それに尽きますね」
「全くだな、並の指揮官には通用しただろうが」
 今回の会戦でのティムール軍の防御に徹した布陣そして戦術はというのだ、尚彼等はそれがアブーとフラームのものであることは知らない。
「だがな」
「相手がアッディーン大統領となると」
「数や装備が同じ程度ならば」
「それではですね」
「あの様な戦術では防がないですね」
「せめて数倍はないとな」
 准将は今度は数の話をした。
「無理だ」
「左様ですね」
「そして実際にティムール軍は敗れました」
「そしてこの戦場から退きました」
「その事態となりました」
「だが退いたポイントによってな」
 これ次第でというのだ。
「戦線に穴を空けるには至らないかも知れない」
「踏み止まるところで踏み止まれば」
「戦線に穴ではなくへこみで済みますね」
「オムダーマン軍の布陣に突起を作らせるだけで」
「それで」
「今オムダーマン軍は全戦線で攻勢に出るとのことだが」
 それでもというのだ。
「ここでティムール軍が踏み止まれば」
「それで、ですね」
「まだ何とでもなりますね」
「敗戦で多くの戦力も失いましたが」
「一度の会戦の敗北ですし」
「まだ予備戦力もある、確かにシャイターン主席らしくない敗北だったが」
 それでもというのだ。
「やはりな」
「まだ、ですね」
「ティムール軍は戦えますね」
「そして戦局を互角に戻せる」
「それが可能ですね」
「そうだろう、そしてこの度の会戦のことは」 
 准将は観戦武官として話した、ここでは。
「各自レポートを書いてだ」
「はい、そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「それを軍無償に提出ですね」
「いつも通り」
「そうしてもらう、私もだ」
 今言っている自分自身もというのだ。
「その様にするしな」
「閣下もですね」
「レポートを書かれて」
「そしてですね」
「報告されますね」
「そうする、あとマウリア軍の好意にはな」
 自分達を自軍の艦艇に入れてくれて観戦をさせてくれた彼等にはというのだ。
「まことにな」
「はい、感謝の念に堪えません」
「これまでもサハラでの観戦の時には乗艦させてくれていますが」
「今回も乗艦させてくれてです」
「様々な便宜も計ってくれていますし」
「しかもだ」
 ただ乗艦させてくれたり軍務の便宜を計ってくれるだけではないというのだ、マウリア側からのサービスは。 
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