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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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1期2クール目 悪意の兆し
  34話 パーフェクトAqours始動

 
前書き

 

 
サウザーを倒してから魁と稜はこの学校に通い始めた。それから3日ほど経っただろうか...............少しばかりその間の情報を補っておこう。あのあと正式に魁と稜はこの学校に所属した。


そして住む場所であるが、魁は鞠莉と同居しているそうだが、稜は父親が海外に行っていることから内浦に住む場所がないので仕方なく俺の家の居候となってしまったのである......................すなわち俺の家には5人の同居人が住むことになったのである



「編入テストはうまくいったんだな。」
「当たり前だろ?一応大卒課程は修了してるからな。」
「まぁ!この天っ才伊口才には楽勝も楽勝だろうがな!!!!」
「いや聞いてないって..................」



小原魁————————その善意を守るためにこの学校に入学したのだ。無論、稜もテスト生が復学という扱いで復帰した。その復帰試験は稜はある程度人並みの倍は、魁は大卒課程であるために高得点で幕を終えたそうだ。



「ところでお前、ホテルに住んでんだろ?実際のところあれって小原家所有じゃないのか?」
「ああ——————あのホテルは俺が姉さん名義に変えておいたんだ。従業員はほとんどアンドロイドだし、警備システムもガーディアンがたらふく居るし。」
「と言っても自動でガーディアンを作る機械は俺が作ったんだけどな。」



サウザーが襲来するかもしれないと言うことで、政府公認の護衛ロボット ガーディアンを緊急事態になれば自動作成するような機械を作っておいた。これなら人海戦術で少しばかり時間は稼げるからだ。その意思は鞠莉に由来するので、すぐに助けに行けるのだ。


そんな話をしていると既に部室前に着いていた。俺は早速、そのドアを開けるのだが——————————





「よぉ!今日も張り切って—————————え?」
「あっ才君。」
「こんにちわ〜」
「ハロー!才!今日もカッコいいわ!」
「いやそんなの世界の定義だ———————って、そうじゃなくて!!何だこの有り様は!!!!」
「だって〜」
「疲れてるんだもーん。」





皆さま、ご覧下さい。これが浦の星学院スクールアイドルAqoursの毎日です——————ってできるか!!


まず状況から説明しよう。俺と虎太郎と魁が部室前にいる中で、そして1番奥にあるスーパーコンピューターを千歌と曜と鞠莉がゲームに使っている。一方の花丸はのっぽパンを頬張り、善子は長椅子に寝転がってぶつぶつと物を言っている。竜介先生は部室の外————屋外の通路に置いてある筋トレ器具を使っての筋トレ。唯一ルビィはアワアワしてくれている————————————俺たちのAqoursって酷くないか?





「あのな———————まず、疲れてるならゲームをするのはおかしいだろ。」
「いーじゃん別に。」
「良くねぇよ!!あの事件があってからひと段落じゃねぇから!!ゲリラライブまでもう1週間ねぇんだから!!歌詞はできたのか?」
「もうほとんど完成は近いけど...................」
「じゃあ早く完成しないと振り付けとか作曲の時間が足らなくなるぞ?」
「———————————」
「....................ここだ。」
「うわ!やった!ステージクリアだ!!」
「ワーオ♪流石才ね!!ジーニアスゲーマーだわ!!」
「ジーニアスじゃねぇ!!天才(ムテキ)ゲーマーだ!!」
「よーし!!次のステージに全速前進!ヨーソロー!!」
「結局お前もやるのかよ...............」
「どんなゲームなのか興味あるな...............」





虎太郎と魁も残された席に着く。苦言を呈する虎太郎だが、自分もそばにあった雑誌を手に取って読み始める。魁は俺たちのゲームに興味があるのか、チラッとこちらを見ている。


だがここで真打登場—————————





「みーなーさーん〜!!!!!!!!!!!」
「うっ!」
「スクールアイドルとしてやるべきことがあるでしょうに!!!それを差し置いてなんですの!この有り様は—————————片腹痛い、片腹痛い、片腹痛いですわ!!!!!」
「そんなに痛いなら病院行けよ。どれ、俺が仮問診してやろう。」
「ぐぐぐ....................お黙りなさい!!!!!!!!!!!」





バチン!!!!





「えぇ...............この人手あげたよ?」
「お黙りなさい!大体なんですの!?『片腹痛い』を真に受けるってどうかしてると思わないんですの!?」
「バーカ、その意味を分かった上で冗談を言える知能を持ってなきゃ天才ゲーマーは名乗れないんでな。」
「まぁまぁ、ダイヤ落ち着いて。」
「そうだね。才はこんな奴だから、許してやってよ。」
「—————————そうですわね。IQが測定不能の域に達した人間の考えることは私には解りかねるということですわね。失礼しました。」
「果南..................擁護してるつもりなのか?」





ダイヤを駆けつけた果南と稜が諫めてくれたことで2次被害を生むことはなかった———————————が、果南が俺を揶揄するためにとった表現は普通に考えれば嫌味のようにも聞こえる。まぁこんな理屈を小さい時から聞かされてたらそういう考えになるのかもしれないな...................





「ですがそれとこれとは話が違いますわ!!!皆さん遊ぶのをおやめなさい!!!!」
「もう—————せっかくいいところだったのに.............!」
「千歌さん!貴方はこのAqoursのリーダーなんですよ!?しっかりしなさい!!」
「その意見には同感だ。ゲームで頭の体操も出来たことだし、そろそろ話し合いを始めますか。」
「「「「「はーい!」」」」」
「すみません!日直の仕事で遅れちゃって!!」
「あっ!梨子ちゃん!!これでようやく全員揃った!!」





梨子が部室に入ってきたところでようやくミーティングに入る——————————9人のスクールアイドルになって、ここにいる皆が思っているような安心感がようやくこみ上げてくる。


でもここで気を抜いてはいけないのだ。むしろここからサウザーとの戦いも熾烈を極める。


この日本の世論は3分されていると言われている。親スクールアイドル派とスクールアイドル排斥派の間に無党派層がいる。特段そのような知識がない限りは普通の人は間に挟まれているのだろう。俺たちの目的はその無党派層の人たちが思っている疑念を取っ払うこと。そのためには今までのような演技ではダメなのだ。より洗練されたライブでないと——————————!


その事を心の片隅に置いて、話を進めよう。





「さて、ミーティング司会進行はもちろん俺が担当させてもらうぞ。」
「演出家を兼ねてるから才が1番向いてるじゃないかな?」
「じゃあ司会進行よろしくであります!!」
「じゃあ始めようか。千歌、歌詞はもうほとんど完成してるんだよな?」
「そうだよ!その歌詞も梨子ちゃんに見せているのであります!!」
「梨子も結構作曲できてるんじゃないか?」
「そうね..........ざっと8割は出来てるわね。」
「よし!結構完成が近いな..............あとで見せてくれ!編曲もスタートするからさ!」
「わかったわ。」
「果南、編曲は1時間もかからないで終わるから振り付けとかダンスの風潮は考えておいてくれ。」
「りょーかい。」
「よし———————曜、ルビィ、ダイヤ。衣装の方は大丈夫か?」
「大丈夫であります!『元気はつらつ』で、いかにも内浦感満載だよ!!」
「魁、稜、虎太郎舞台設定で特に困った事はないな?」
「ああ、大丈夫だ。」
「計画通り!じゃあこのミーティングが終わったら持ち場に戻ってくれ。」
「了解であります!!」





曜の元気な返事に俺は口元を緩めさせる。そして某ノートの主人公の如く言葉を放っていたが、考えていることはほぼ真逆と言っていいだろう。





「ここからが本題、今日ミーティングをする議題だ!!!」
「本題?」
「そんなの聞かされてないわよ?」
「当たり前だろ、善子。今日初めて言うんだから。」
「何ドヤってるのよ.....................てかヨハネ!」
「それで本題というのは?」
「よくぞ聞いてくれたルビィ!それはズバリ—————————《《アンコール》》問題だ。」
「「「「「「「アンコール!?」」」」」」
「俺たちはゲリラライブで何を目的にしているのか————————答えは人々を沸き立たせて、魅了する事だ。」
「それは知ってるけど、じゃあそれとアンコールが何の関係があるんだ?」





俺の定義説明とも言える言動に稜が素朴な疑問を呈してくる。そりゃそうだ。普通ならばアンコールの話をしてから違う話題に飛べば、そのような疑問を呈すのは当たり前である。でも俺は敢えてそのような口調で話している事を皆さんはわかっているだろうか?





「その《《順番》》が重要なんだよ。魅了してからアンコールをして沸き立たせるとそのテンションのままアンコールの無限ループに陥ってしまうからな。だからこのアンコールは絶対にテンションを上げてから魅了しなきゃいけない。」
「ちょっと待って!!才くん!!その言い草だとアンコール用の曲は—————————!」
「もちろん作ってもらう。」
「「「「「ええ〜!!!!!!!!」」」」」
「無理だよ!!絶対間に合わないじゃん!!!」
「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ———————————-と言いたいところだが、それを掲げていたら幸運って舞い降りてくるんだな。」
「どういう事ですの?」
「これだよ。」





ドン!と俺の後ろにあるホワイトボードを叩く。そう—————————果南達が2年前に考案していたであろうその歌詞である。実を言うとあのあとじっくり解析して歌詞の全容とその作曲を秘密裏に手に入れていたのである。





「それは私達が考えていた歌詞————————」
「もしかして私にその曲の作曲データを渡せって言ったのは.............!」
「そう、ご名答だ鞠莉。」
「でもその歌詞と作曲をそのまま使うの?」
「もちろんそんなことはしない。勝手ながら俺が歌詞に少し手を加えておいたけどな。あとのところは梨子と千歌で確認して吟味しておいてくれ。」
「吟味?」
「念入りに調べておけってことよ。」
「ちなみに編曲者からするとこの曲はアンコールに歌った方がいいだろう。千歌と曜の話を聞くあたり、完成間近の曲は元気系の曲らしいしな。」
「ところで果南ちゃん。」
「何、千歌?」
「この曲の名前って何なの?」
「あ〜そういえば決めてなかったな〜」
「それならもう俺が考えてある。」
「才くんが?」
「ああ——————————






















『Step! ZERO to ONE』———————てのはどうかな?」


—————※—————





「よし、編曲は終わり。どうだったかなん?」
「それ私の持ちネタでしょ?」


果南が白い目で見てくるので、煽り返す。


「は?何言ってんだお前。」
「相変わらず惚けるのも天才級ってことだね。」
「冗談はさておいて(真顔)、どうだ?考えてる振り付けとマッチしそうか?」
「まぁ大体の曲調は千歌と梨子ちゃんから聞いてたから、予想通りといえば予想通りかな。あとは微調整だけやっちゃえば、完成するよ♪」



久々に果南の明るい声を聞いた気がして感無量である。

もちろん表情の変化はあるけれども、東京帰りから一連の出来事でもポーカーフェイスを大きく崩すことなく保っていた。

でも果南のシリアス顔とその1つ1つの言動からのシリアス感は俺には見るに堪えなかった。だからこそこのような明るい果南の声はどこか愛おしく、懐かしさを感じさせるものだった。





「じゃあ『Step! ZERO to ONE』の方も編曲は完成してるから、振り付けは元々考えていた奴をアレンジしてでも考えておいてくれ。」
「わかった——————————そういえばさ。」
「ん?」
「何で『Step! ZERO to ONE』って名前にしたの?」
「そうだな....................話せば長くなるけどいいか?」
「ちょっとくらいの長話なら付き合ってあげるよ。」
「そうか————————μ'sのことは知ってるよな?」
「ダイヤから散々聞かされたからある程度は知ってるよ。」





俺は果南に必要最低限であろうへの知識を問う。もちろんスクールアイドル初体験というわけではない果南にとってはμ'sは常識の範囲内だろう。もっと言ってしまえば、どこぞの生徒会長のおかげでみっちり仕込まれているはずではあるが今そんな事を言いまくっても仕方ないので保留しておこう。





「矢澤にこさんの弟の虎太郎曰く、μ'sは—————————ファイナルシングルに向けてあるカラクリを仕組んだんだよ。」
「カラクリ?」
「『SUNNY_DAY_SONG』———————『僕たちはひとつの光』———————『MOMENT_RING』.................思い当たらないか?」
「うーん........................なぞなぞ嫌い!」
「驚くほど明朗な解答だな....................数字だよ。」
「数字——————————でも思い当たるところはその『僕たちはひとつの光』くらいしかないよ?」
「わかってないな〜『Sunny』で3と2だよ。そしてリングで『0』だ。」
「うわぁ、気付かなかった................」
「そして俺たちはAqoursを0を1にしなきゃならない————————それだけじゃなく、俺たちはμ'sが終わらせたスクールアイドルの伝説をもそうしなきゃいけない。そういう意味での『Step! ZERO to ONE』だ!!」
「ふーん。何か、才らしいね。」
「そうか?」
「そんな風に捻って考えるのは子供の時からずっと変わってないね。」
「まぁ捻って考えるくらいじゃないと単純すぎて面白くないからな。」


俺、千歌、曜のお姉ちゃん的な存在だった果南。

そのロジックがわからなかったとしても、『俺らしさ』という習慣的な部分を見て理解してくれたのかもしれない。もう十数年も一緒にいるのだ。いわゆる癖というやつとしてわかっていてくれるのだろう。


「じゃあ私からも聞いていい?」
「え?」


突然投げ掛けられた質問の許可を問う文言に少しばかり意外さを感じる。



「才は..................何で仮面ライダーになったの?」
「あぁ......うーん。


分からん……しかし曖昧な言葉を言うと、拗ねられるので……

ならば拡大解釈をして『何故仮面ライダーを続けているか』という理由なら確実として持っている。



「仮面ライダーになった経緯は俺にも説明はできない。けど俺には使命がある。その《《Aqoursという夢を守る》》................善意を守るためにな。」
「正義のために戦う————————Aqoursのために戦う................それってさ。才には何の見返りもないんじゃない?」
「竜介先生が言ってたんだよ———————— 『見返りを期待したら、それは"正義"とは言わねぇぞ』———————ってな。だから俺は見返りには何も期待しない。正義のヒーローとして................」
「そっか.......................カッコいいじゃん。」
「バーカ、俺がカッコいい何て常識中の常識だぜ。」
「そうやって自分を褒めるところも変わってないね。」





俺は変わらない。もうこれからは自分を絶対に見失わない。というよりも自分を見失うような人間にAqoursを守る資格はないのかもしれない。





「そろそろ5時だな。ここら俺たちも帰るか...............」
「じゃあ私、先に帰ってるね。」
「おう、お疲れ。」





果南は少しばかり機嫌良くこの10畳くらいの空間から去ろうとしていた————————が、外への出口を前に果南の歩みは止まる。



「才。」
「ん?どうした?」
「どんなことが起こっても、何があろうとも、どんなに人に嫌われても—————————才は私たちにとってのヒーローだよ?」
「ぁ、あぁ..............」
「じゃ、また明日ね?」







—————————沼津市が5時であるということを公に示すために鳴るチャイムだ。その何とも言えない明るさに俺は乗る。










—————※—————




「そろそろガシャットをアップデートしなきゃな.....................やっぱりムテキの弱点の克服か..................まぁ、戦闘を維持できるんだったらどんな副作用あっても関係ないか。」






コツコツと音を立てながら廊下を歩く—————————実はビルドドライバーを竜介先生が自分の教室に忘れたというのだ。ということで仕方なく、教室に取りに行っての帰り道である。


話は戻すがムテキのアップデートは実を言うと週に1回くらい行なっている。主に機能の調整をしているのだが、今日はその機能を追加しようというのだ。前にも言った通り、ムテキにはたった1つだけ弱点が存在する。それは言わずもがな攻撃力である。
自分より格上のスペックを持ったものにはいくらバトル後にその敵のスペックを上乗せするよう調整してくれていても、そのバトル中では優位には進められないことになる。そこを克服できるかで、戦況は大きく変わるのだ————————!





「でも——————最初から考えてたやつを追加する方向で進めるか................———————————ん?生徒会室に明かりがついてるな............ということは...............」





教室がある棟と玄関のある棟を行き来する連絡通路から見えた明かり。おそらくダイヤがいるのであろう。そのことを分かった上で俺は生徒会室のドアを開ける———————





「よっ、ダイヤ。」
「あぁ、才さん。どうされたんですの?」
「いや?別に特に用事はないんだけどな、あまりに明かりがつきまくってるから気になってな。」
「そういうことでしたか.................実はこのボランティア活動の報告書を纏めるのですが、最近導入された初めてのソフトですので..................」
「なるほどね。ちょっと貸してみろ。」
「え!?ちょっ!」
「あぁ...............これね。ここを押して———————ほら、すぐできたぞ。」
「——————————何か一瞬何が起こったのかわかりませんが...............言いたいことはよくよくわかりましたわ。」
「分かってくれて何よりだぜ。流石は生徒会長、他のAqoursのメンバーとは察し方が違うな!!」






俺の言葉に少しばかり頬を紅潮させたかと思うと、すぎに俺にそっぽを向いて此方を見ようとしない。





「ま、まぁこのくらいは当然ですわ!」
「嘘つけ、途中までわからなかったじゃねぇか。」
「なあっ!?貴方の頭脳がおかしすぎるだけでしょう!?」
「分かった分かったって。」
「全く....................ところで..................才さん。」
「ん?」





次にダイヤに放った一言に俺は熟考を強いられる——————————





















「今日は.................................月が綺麗ですわね。」














 
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