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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第三幕その五

「そうなのに」
「それがなんだ」
「あの甘さがなのね」
「抵抗があるって人も多いんだ」
「日本以外の国では」
「そうなんだ」
「そうなのね、あの味は誰にも好かれるものじゃないのね」
 先生のお言葉に頷いています。
「そうなのね」
「これがね」
「成程ね、そのこと覚えておくわ」
 お静さんは先生に答えました。
「そうしておくわ」
「そういうことでね」
「ええ、海軍だとね」
「善哉とか羊羹だよね」
「そうしたものをよく食べていたのよ」
「大和で羊羹を造れたしね」
 先生はこの戦艦のお話を出しました。
「そうだったしね」
「流石先生、よく知っているわね」
「他にもラムネを造れたしね」
「そうそう、大和はね」
「それで冷暖房も利いていたのよ」
「当時の軍艦では珍しいことだったよ」
 冷暖房があることはというのです。
「内装も凄かったよ」
「いい戦艦だったわ」
「お静さんは大和に乗ったことあるのかな」
「一度化けてね、水兵さんに」
「そうしてなんだ」
「呉に行って試しに乗ってみたのよ」
 その大和にというのです。
「どんなものか興味を持ってね」
「そうしたんだね」
「そうしたらね」
「凄かったんだね」
「かなりね、それでなのよ」
 先生にさらにお話します。
「私も知っているのよ」
「そうだったんだね」
「それでその大和があった戦争からね」
 第二次世界大戦からというのです。
「結構経ってね」
「田中さんご夫婦は結婚したんだね」
「お二人共戦争中に生まれて」
 そうしてというのです。
「高校を卒業してすぐになのよ」
「就職してだね」
「結婚されたのよ」
「そうだったんだね」
「そしてそれからよ」
 結婚してからというのです。
「六十年よ」
「それだけ経って」
「ずっと一緒だったのよ」
「昭和から平成、令和と」
「一緒だったのよ、そう思うと凄いでしょ」
「本当にね、三つの元号の間ずっと一緒なんてね」 
 昭和から平成、令和のというのです。
「凄いことだよ」
「昭和は色々あったわ」
 お静さんは遠い目になりました、そのうえで先生に言うのでした。
「戦争だけじゃなくてね」
「高度成長にだね」
「何かとね、災害もあったしね」
「地震や台風に」
「何かとあったわ、けれどね」
 それでもというのです。
「今思うと懐かしいわ」
「悪い思い出はあるかな」
「今思うと殆どがいい思い出よ」
 そうなっているというのです。 
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