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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第三幕その四

「そうなんだね」
「ええ、もうすっかり日本人ね」
「国籍はもうそうなっているよ」
「そうだったわね」
「そうだよ」
「じゃあこう言うわ」
 お静さんは先生にあらためて言いました。
「今の先生は日本人の中の日本人よ」
「そうなっているんだね」
「国籍は日本だから」
 それでというのです。
「日本人でね」
「その中でなんだ」
「そう、物凄く日本のことを知っていて」
 そうしてというのです。
「日本を好きだから」
「大好きだよ、今では祖国イギリスと同じだけね」
「だからね」
「僕は日本人の中の日本だね」
「そうなっているわ」
 まさにというのです。
「作務衣も似合ってるしね」
「あれはいい服だね」
「凄くね」
「あとちゃんちゃんこもね」
 この服もというのです。
「いいね」
「それで冬はどてらね」
「今は着てないけれどね」
「そしてこたつもよね」
「大好きだよ」
「夏は風鈴よね」
「あの音がいいね」
 笑顔での返事でした。
「風情があって」
「わかってるじゃない、やっぱり先生はね」
「日本人の中の日本人だね」
「そう思うわ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「嬉しいよ、そう言ってくれたら」
「私ここまで日本人な人は知らないわ」
「そうなんだね」
「それじゃあね」
「うん、三丁目の田中さんだね」
「お二人に先生のことお話するわね」
 そうするというのです。
「それでお会いすることも」
「手配してくれるんだ」
「そうさせてもらうわ」
「宜しくお願いするよ」
「そういうことでね。しかし寒くなったから」
 お静さんは今度は季節のお話をしました。
「流石冬ね、お汁粉や善哉が美味しいわ」
「うん、甘くてあったまってね」
「いいわよね」
「僕はどちらも好きだよ」
「そこも日本人ね」
「お団子も羊羹もきんつばも好きでね」
 それでというのです。
「お汁粉も善哉もね」
「好きなのね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「外国ではね」
 日本以外の国ではというのです。
「あんこ自体がね」
「嫌いな人がいるの」
「抵抗がある人多いよ」
「そうなのね」
「これがね」
「あの甘さがいいのに」
 お静さんは意外といったお顔で述べました。 
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