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星河の覇皇

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第八十一部第三章 無関心でいられる訳その十二

「よくないから」
「だからですね」
「皇室の規模もね」
「大きくあるべきですね」
「そして宮家もね」
 この数もというのだ。
「多くあるべきよ」
「そういうことですね」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「いえ、アッディーン大統領の即位式は」
 伊東は小柳にあらためてこのことについて話した。
「是非ね」
「皇帝だからこそですね」
「その立場への即位式だから」
 そうしたものだからだというのだ。
「是非ね」
「陛下にですか」
「行って頂きたいわ」
「国家元首の方がですね」
「特に我が国はね」
「天皇陛下は皇帝であられるので」
「漢字では天皇となるわ」
 伊東は文字の話もした。
「けれど銀河語では皇帝ね」
「そうなっていますね」
「天皇というのは日本語の表現で」
 それでというのだ。
「他の多くの国の言語では皇帝ね」
「だからですね」
「皇帝には皇帝が赴くものよ」
「若し赴かないのなら」
「僭主ともなりかねないわ」
 君主の座にはある、だがそれは過ちとされているか公には認められていない。そうした不名誉な立場にある者だとだ。
「実際に日本の歴史では過去があるわね」
「皇帝ではなく僭主とした」
「中央アフリカはね」
 連合にあるこの国はというのだ。
「建国初期に帝国を名乗ったことがあったわね」
「当時の国家元首ボサカが、でしたね」
「最初は大統領だったけれど」
 これはナポレオンに憧れてだったと言われている。
「終身大統領になり」
「それから、でしたね」
「皇帝に即位したわ」
「中央アフリカ帝国皇帝ボサカ一世ですね」
「帝冠を被り」
 そしてだったのだ。
「豪奢なローブを着たわ」
「そうなりましたね」
「ええ、けれどね」
 伊東はここでさらに言った。
「当時の帝は即位式に参列されなかったわ」
「招待されはしましたね」
「ええ、けれど政府としてもね」
 当時の日本政府もだったのだ。
「断って」
「帝は参列されず」
「ボサカ一世の権威は成り立たずね」
 帝が参列されなかった、皇帝に皇帝と認められなかったというのだ。
「そしてね」
「僭主とみなされて」
「元々どうかという政治をしていたし」
 このことで既に問題があったというのだ。
「しかもそこで僭主とみなされて」
「その結果でしたね」
「失脚したわ」
「そうなりましたね」
「そうよ、だからね」
「陛下のご参列は」
「必要よ、中央政府大統領も参列するでしょうし」
 連合を代表する政府の元首もというのだ。 
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