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星河の覇皇

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第八十一部第三章 無関心でいられる訳その一

               無関心でいられる訳
 サハラでオムダーマンが勝利を収めた、このことで八条はオムダーマンの統一を確信した。しかしだった。
 各国の要人達は違った、これからのサハラを考える者はおろかその勝利のニュースを聞いてもという者すらいた。
 ニュージーランドの首相サイモン=オルコットは自分の目の前にいる赤い髪にグレーの目のアフリカ系の女性に話していた。見ればオルコットは金髪のアジア系の外見の男性で背は二メートルあり一メートル八十の女性よりもさらに大きい。
「そうか、オムダーマンがか」
「勝ちました」
 その女性ニュージーランド外相ラシェンヌ=ホルンが応えた。
「サハラの戦いでは」
「そうなのか」
「はい、その様になりました」
「わかった、ではな」
「サハラについては」
「最後まで見てだ」
 その戦局をというのだ。
「それからでいい」
「オムダーマンが勝ってもですね」
「我が国としてはだ」
「そちらについては」
「最後の最後までだ」
 それこそというのだ。
「見極めてもだ」
「遅くないですね」
「だからな、サハラについては」
 オルコットは日本の麦茶を飲んだ、よく冷えているそれは彼が来日した時に知った味でそこで気に入ったのだ。その麦茶を一口飲んでから同席しているホルンにも言った。ホルンが飲んでいるのはレモンティーだ。こちらもアイスだ。
「その話をな」
「情報ということで」
「聞いた」
「それだけですね」
「そうだ、やはりサハラのことはな」
「我々にとってはですね」
「二の次というかだ」
 優先順位のことも話した。
「かなり後だ」
「まずは連合の中ですね」
「我々の主な舞台は連合だ」
 自分達の国の中だというのだ。
「そこでどうあるかでだ」
「サハラとの外交は」
「利が出ても損が出てもな」
「誤差の範囲内ですね」
「貿易量でも零コンマの割合だ」
 その程度でしかないというのだ。
「だからな」
「サハラのことは」
「私自身あまり考えていない」
「むしろですね」
「またオーストラリアと話があるな」
「あちらから申し出て来ました」
 相手の方からだとだ、ホルンはオルコットに答えた。四十代後半であるが瑞々しい肌に整った顔の美女である。
「パプワニューギニアとの三国の交渉について」
「農作物の輸出入についてのな」
「あらためてです」
「まずは二国で話をしてな」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「話を決めたいと」
「そうだな、そうしただ」
「連合の中の方がですね」
「我々は関心がある」
「その通りですね」
「サハラはサハラだ」
 オルコットはこの認識も述べた。 
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